保育のコラム

保育士の平均年収や給料相場ってどれくらい?

2021/04/05

保育士の転職について相談する

共働き世帯の子育てと仕事の両立を手助けし、子育て支援全般の窓口となる保育士は責任とやりがいのある仕事です。

しかし、保育士として働くとなると気になるのがお給料のことです。

「保育士の給料は安い」と言われがちですが、実際はどうなっているのでしょうか?

今回は気になる保育士の給与額や昇給制度の有無など、リアルな給与事情についてお伝えいたします。

“ずっと保育士編集部”

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

保育士の年収ってどれくらい?給料相場

一口に保育士のお給料と言っても、運営母体や地域によって異なるのが実情です。

さらに、公立保育園で公務員として働く場合と、私立保育園に勤務した場合でもお給料は異なってきます。

例えば、東京都の公立保育園の例に挙げると、給料相場は賞与等を含めて年収600万というケースもあります。

これに対して、私立保育園では賞与を含めて年収300万前後(35歳前後の保育士の場合)となっており、かなりの差があることが分かります。

一般的には、公立保育園では一般の地方公務員と同じ給与体制で給料が支払われるため、私立より150万円~200万円ほど上回るようです。

>>「公立保育園と私立保育園の保育士の待遇面(給料・福利厚生など)と働き方の違いとは?」

厚生労働省「保育士等確保対策検討会」第3回公開資料「保育士等に関する現状」によると保育士全体の平均年収は323万円、平均月収は22万円前後、平均時給は1251円です(※平成27年調査)。

資格を要する仕事としては少々低めの水準です。

また、実際の求人を見ると、月収15万程度の求人や、時給800円台のところもあり勤務先によってかなり幅があるようです。

私立保育園の場合は、運営母体の収入源が「公的な補助金(税金)」と保護者から納められる保育料から成り立つため、運営母体の収入源と運営費によって保育士の給料が決まります。

このことも給料に差が生じる要因の1つと考えられます。

では、実際に働く上で働き方や年代、運営組織によって具体的にどのような違いがあるのか、給与相場と給与体系を見ていきましょう。

働き方別保育士の給料相場と給料体系

まず、働き方別に見ていきます。

働き方とは、時短やサテライト勤務等、様々な要素を含みますが、本記事内でいう働き方とは、雇用形態とさせていただきます。

正職員

まず、正職員の保育士の給与相場は次表1のようになっています。

表1:保育士の給料

 

平均年齢

年収

月給

ボーナス

公立保育園※1

45歳

約555万円

約32万円

約171万円

私立保育園※2

36歳

約327万円

約22万円

約59万円

※1:参考元厚生労働省「平成28年度賃金構造基本統計調査」

※2:参考元:『東京都練馬区「平成28年度練馬区人事行政の運営等の状況の公表」

表2:役職者の給与

 

施設長

主任保育士

保育士

公立保育園

(平均勤続年数)

約654万円

(33.6年)

約596万円

(28.2年)

約345万円

(11.8年)

私立保育園

(平均勤続年数)

約638万円

(24.1年)

約460万円

(21.1年)

約306万円

(8.5年)

※参考元:厚生労働省「幼稚園・保育園等の経営実態調査結果」

正職員の場合、雇用先が公立保育園か私立保育園かで給与体系は大きく異なります。

公立保育園で働く保育士は、地方公務員に該当しますが、私立保育園では保育園運営団体に雇用されるいわゆる会社員と同じです。

平均給与がくで見ると、現在は公立保育園の方が総じて高給となっています。

また、給与体系も異なります。

公立保育園で働く保育士はほぼ年功序列で定期昇給があります。

一方、私立保育園の場合は実力や役職等、その運営団体の給与規定に準じますので、一概に定期昇級や年功序列を望めるものではありません。

このように比べると、公務員保育士の方が優位に感じるかもしれませんが、運営団体によっては一般の会社員と同じく、役職や実力次第でキャリアアップができたり、それに伴う昇給が望める場合もあります。

臨時職員

臨時職員とは、公立保育園で働く正職員以外の保育士のことです。

正職員と同じ地方公務員となりますが、あくまで「臨時」の扱いとなります。

正職員と異なり、臨時職員はあらかじめ雇用期間が限定されているほか、給与面でも正職員とは大きな差があるのが実情です。

公務員版の契約社員のようなイメージです。

臨時職員の給与は時給制が一般的で、1,000円前後が多いようです。

なお、自治体によりますが、臨時保育士は交通費、ボーナス、退職金などがない自治体もあります。

実際に交通費が支給される割合は47.2%、ボーナスが支給される割合は27.1%、退職金が支給される割合は2.4%というデータもあります。

待遇や給与体系については各自治体によりますが、あまり高いとは言えないでしょう。

勤務したい自治体の募集要項をしっかりと確認することが大切です。

契約職員

契約社員保育士とは雇用期間に定めがある保育士のことを言います。

平均給与額は約18~20万円です。

契約社員の月収は18万円前後で、園によってはこれに資格手当や交通費などがプラスされます。

一般的には正職員よりも少ない印象のある契約社員保育士ですが、保育士不足の現状、ほぼ正職員と同じ給与額の園も増えています。

平均年収は保育士平均である323万円前後、低いと250万円前後という場合もあります。

契約社員は賞与が全くなしという園もありますが、正職員と同様1.4ヶ月~2ヶ月分の賞与を年2回支給している所もあります。

園の規定によって決まるので、求人情報の賞与欄もしっかりとチェックしておきましょう。

また、給与体系は契約更新時に変更されることもありますので、実力次第で正職員へ変更や、昇給なども望めます。

派遣保育士

派遣保育士とは、保育園との直接契約ではなく、派遣会社を仲介し保育園に派遣される保育士のことです。

主に時給制で、時給の相場は1,200円〜1,800円ほどです。

派遣保育士には基本的にボーナスの支給はありません。

交通費やその他の待遇も時給に含まれていることが多いため、求人票はよく確認しましょう。

派遣保育士は1年契約の求人が最も多く、更新の際は派遣会社によって給与交渉が行われます。

実力次第では、更新時の給与アップが可能です。

詳しくは「派遣保育士という新しい働き方!保育士が派遣で働くメリットとデメリット」の記事にも詳しく解説してありますので、合わせてご覧ください。

パート・アルバイト(有資格)

パート・アルバイト保育士とは、非正規職員の保育士です。

パート・アルバイトは、数時間・週に数日、早番・遅番のみ、フルタイム勤務などさまざまです。

また、場合によっては無資格でも採用されるケースはありますが、やはり有資格者の方が給与も高めになります。

パート保育士も主に時給で給与が支払われます。

保育士資格を持っているパート保育士の平均時給は1,100円〜1,200円くらいです。

賞与の支給はない場合も多いですが、年に1度寸志の支払いが行われる保育園も増えているようです。

パート・アルバイト(無資格)

パート・アルバイト保育士の中には保育士資格がなくても良い求人があります。

時給は900円〜1,000円くらいで、保育士資格を持っている職員より200円程度下がることが多いようです。

賞与は基本的にはありませんが、寸志の支給を行う保育園は増えてきています。

一般的なパートやアルバイトとほぼ同等の時給ですので、「子どもが好き!」という方や、今後保育士の資格を取得し、保育士として働く前に現場経験を積んでおきたいという方にとっては、やりがいのある仕事になるでしょう。

年代別保育士の給料相場

厚生労働省「保育士等確保対策検討会」第3回公開資料「保育士等に関する現状」によると

年代別保育士の給与は下記の表の通りです。

表3、保育士の平均賃金(年齢階級別)

※参考元:厚生労働省「保育士等確保対策検討会」第3回公開資料「保育士等に関する現場

年齢別にみると、30歳前後で年収は300万円を超えることとなりますが、一般的なサラリーマンや国家資格保有者ということを考えると低いという印象になるでしょう。

この点については、今国や自治体をあげて保育士の待遇改善に力を入れて改善がなされているところです。

事業規模別保育士の給料相場

私立保育園の保育士の年収は、その保育園の運営母体の規模によっても異なります。

総務省の発表するデータによると、事業所別の年収は下記の表の通りです。

表4:【事業規模別】保育士の年収

事業所規模

1,000人以上

100〜999人

10〜99人

年収

約361万円

約348万円

約365万円

※参考元:総務省「賃金構造基本統計調査」

一般的に、事業規模が大きいほど年収が高いと思いがちですが、100人以下の事業所の年収が最も高くなっていることがわかります。

保育士不足の現状から、待遇改善を図る保育業界では、事業規模が小さい方が柔軟な対応が可能なのかもしれません。

また、大規模事業者は年収に現れない福利厚生が充実していることも多くあり、その分年収に反映されていない可能性もあります。

自分にとって必要なものは何か、保育士自身がきちんと考え、求人票やコンサルタントなどを通じてしっかりと確認していくことが大切です。

男女別保育士の給料相場

総務省の発表するデータによると、男女別の年収は下記の表の通りです。

表5:【男女別】保育士の年収

 

年収額

保育士(保母・保父)男

約377万円

保育士(保母・保父)女

約340万円

※参考元:総務省「賃金構造基本統計調査」

保育士は圧倒的に女性の多い職種であり、仕事内容に男女差は一切ありませんが、年収は男性の方が高い傾向にあるようです。

女性保育士が仕事を辞める理由には「妊娠・出産」が上位の理由にあります。

男性保育士には出産がないため、勤続可能な年数が女性より長くなり、年収の高さに反映されているため高くなっていると考えられます。

しかし、一般的な男性の年収と比べると、男性保育士の中には収入がネックとなり、保育士の道を諦めてしまう人がいるのも実情です。

ただし、防犯や力仕事の関係もあり、男性保育士の需要は増えてきています。

男性保育士も、女性保育士と同様に待遇改善が進んでおり、昔に比べると良い求人情報も多くなってきているため、今後平均給与も上がっていく可能性は十分にあります。

一般的な平均収入と比べると高いの?低いの?

国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者の平均年収は次の通り発表されています。

表6:平成28年平均年収

 

平均給与

平成28年分男

521万円

平成28年分女

280万円

平成28年分合計

422万円

※千円以下は四捨五入

※参考元:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査結果」

一般の平均給与取得者の年齢は46歳です。

参考に再度表1保育士の保育士の給料と比較してみます。

表7:【比較】保育士の給料と一般平均給与

 

平均年齢

年収

公立保育園※1

45歳

約555万円

私立保育園※2

36歳

約327万円

一般平均年収(男女)

46歳

約422万円

一般平均年収(女)

46歳

約280万円

公立保育園の保育士については、平均年齢はほぼ同じで、年収は一般平均年収(男女)よりも上回っています。

一方私立保育園の保育士は平均年齢が10歳低く、年収も一般平均年収(男女)より低いです。

ただし、保育士の多くが女性という立場で考えた場合、一般平均年収(女)よりも私立保育園の保育士の年収は50万円近く高いことがわかります。

多くの私立保育園の保育士が勤続年数がそれほど長くなく、やめている実情は残念ではありますが、年収だけで一般的な仕事と比較した場合、決して低いとも言い切れないのです。

保育士の給料は今後上がる?

女性の社会進出とともに保育園へ子どもを預ける親は増え、保育園へのニーズが急激に高まっています。

その結果、保育園や保育士が不足し社会問題として取り上げられています。

しかし、保育士資格を持った潜在保育士は7万人を超えており、「保育士」そのものがいないわけではありません。

そのため、現在、国を挙げて保育士不足の解消に取り組んでおり、給与待遇の改善、職場環境の改善、多様な働き方への取り組みなどが積極的に行い、保育士を魅力的な仕事にしようとしています。

給与に関しては、厚生労働省のホームページでも「保育士確保」として、私立保育園の保育士の給与を平均3%改善することを発表しています。

保育士は将来ある子どもの基礎を育む大切な仕事であり、社会で必要な仕事です。

これからその待遇や給与はまずます改善に向かう事は間違いないでしょう。

 

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