保育のコラム

保育士は派遣でも扶養内で働ける!収入の目安と働き方のコツを解説

2025/09/11

保育士の資格を活かして働きたいと思っても、子育てや家事との両立を考えるとフルタイムで働くのは現実的ではないと感じる方も少なくありません。

特に配偶者の扶養内で働きたい場合は、働き方や収入面でさまざまな不安を抱えがちです。

そうした中で注目されているのが「派遣保育士」という働き方です。

短時間や週数日の勤務に対応しやすく、扶養内で収入を調整しやすい点が大きな魅力といえます。

本記事では、扶養内で働く仕組みや年収の上限、派遣で働く際の収入シミュレーション、メリット・デメリット、注意点までを解説します。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

扶養内で働くとは?保育士が知っておきたい制度と収入のルール

「扶養内で働く」とは、配偶者が会社の健康保険や厚生年金に加入している場合、一定の条件を満たせば、自分はその扶養家族として扱われ、保険料を支払わずに働ける仕組みです。

これは「社会保険上の扶養」に該当する状態です。

特に子育てや家事と両立しながら、少しだけ働きたいという保育士にとっては、家計への負担を抑えながら社会とつながれる働き方といえるでしょう。

なお、「扶養」には税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があり、それぞれで適用条件や得られるメリットが異なります。

たとえば、税制上の扶養に該当すると所得税や住民税が軽減され、社会保険上の扶養に該当すると健康保険や年金の保険料を支払う必要がなくなります。

このように、扶養内で働くには一定の条件を守る必要があり、働き方によっては制度から外れてしまうこともあります。

とくに重要なのが「年収の壁」と呼ばれる収入基準。

年収の壁を超えてしまうと税金や社会保険料の負担が発生するため、注意が必要です。

次に、扶養の適用範囲に関係する収入の上限や、保育士として働く際に特に注意すべき点について詳しく見ていきましょう。

扶養内で働くには年収の上限がある

扶養内で働き続けるためには、年収の上限を把握しておかないと、税金や社会保険の扱いが変わり、思わぬ出費につながる可能性があります。

扶養には、税制上の扶養と社会保険上の扶養があり、それぞれに異なる収入基準があります。

扶養内で働きたい場合は、それぞれの「年収の壁」を意識して収入を調整することが大切です。

特に、130万円の壁を超えると社会保険の扶養から外れ、自分で健康保険料や年金を支払う必要があるため、手取りが大きく減る可能性があります。

また、150万円の壁を超えると配偶者特別控除が徐々に縮小し、世帯の税負担が増える点に注意が必要です。

以下の表では、主な「年収の壁」と、それを超えた場合に生じる影響を整理しました。

年収の壁 関係する制度 超えた場合の影響
103万円 所得税 (配偶者控除) ・配偶者控除の対象外になる (扶養控除が使えなくなる)
106万円 社会保険 (一定条件を満たす場合) ・社会保険に加入が必要 ・自身で保険料を負担
130万円 社会保険 (健康保険・年金) ・配偶者の扶養から外れる ・自身で健康保険と年金に加入
150万円 所得税 (配偶者特別控除) ・控除額が段階的に減る ・納税額が増える

なお、社会保険の「一定の条件」とは、以下に挙げる5つの条件すべてに当てはまる場合を指します。

この場合、年収が106万円を超えると社会保険への加入が義務付けられます。

  • 勤務先の従業員数が101人以上であること(2024年10月からは51人以上)
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 月額賃金が8.8万円以上であること(年収換算で約106万円)
  • 雇用期間が2ヶ月を超える見込みであること
  • 学生ではないこと

自分がどの制度に該当しているか、勤務先の規模や働き方によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。

保育士が扶養内で働く際には好条件に注意すべき場合もある

派遣保育士の時給は1,200円〜1,500円と高水準であることが多く、たとえば週3日・1日5時間の勤務でも、年収が103万円を超える可能性があります。

たとえば、時給1,400円で週3日・1日5時間勤務の場合、月収は約84,000円、年収ではおよそ100万円となり、103万円のラインに迫る収入になります。

さらに、有給休暇の取得や臨時手当、処遇改善費なども年収に含まれるため、想定よりも収入が増えてしまうケースも少なくありません。

扶養内で働き続けるには、勤務日数や時間だけでなく、毎月の収入を確認しながら、年間の見込み額を把握しておくことが大切です。

毎月の給与明細を確認し、エクセルや家計簿アプリで収入の累計を記録しておくと、年間の見込み額が把握しやすくなります。

保育士が扶養内で働くなら派遣がおすすめ

扶養内で無理なく働きたい保育士にとっては、勤務時間の柔軟さや時給の高さといった特徴から、派遣という働き方は特に適した選択肢といえます。

派遣保育士ならではの特徴や、扶養内で働きやすい理由として、次が挙げられます。

  • 短時間・柔軟に働けるから
  • 時給制で収入を調整しやすいから
  • 派遣なら求人の探し方も充実しているから

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

短時間・柔軟に働けるから

派遣保育士の働き方は、たとえば週2日・1日4時間といった勤務も可能なため、子どもの送り迎えや家事と無理なく両立しやすいのが特徴です。

土日休みや残業なしの案件も多く、子育てや家事との両立を重視する方にとっては働きやすい環境といえるでしょう。

また、派遣会社によっては「扶養内で働きたい」という希望を事前に伝えておくことで、その条件に合った求人を優先的に紹介してもらえるケースもあります。

希望を伝える際は、「年収の上限を103万円以内に抑えたい」と具体的に数値を伝えると、よりマッチした求人を紹介してもらいやすくなります。

働き方の自由度が高いため、ライフスタイルに合わせた勤務がしやすいのが魅力です。

時給制で収入を調整しやすいから

派遣保育士の多くは時給制で働いており、時給1,200円〜1,500円程度の求人が一般的です。

月々の勤務日数や労働時間に応じて収入が決まるため、年間の収入を逆算して働き方を調整しやすい点も、扶養内勤務と相性の良いポイントといえます。

たとえば「1日4時間・週3日勤務」で月収8万円以内に抑えるようにすれば、年収103万円以下に調整しやすく、扶養の範囲内に収まる働き方ができるでしょう。

 

また、シフトも柔軟に組めることが多く、「今月は少なめに」「来月は少し多めに」といった調整がしやすいため、家庭の予定や体調に合わせて無理のない働き方が可能です。

派遣なら求人の探し方も充実しているから

派遣保育士の求人は、希望条件に合わせて探しやすいのが魅力です。

求人サイトや派遣会社の検索機能では、「扶養内OK」「短時間勤務」「ブランク歓迎」などの条件で絞り込むことができ、自分に合った働き方を見つけやすくなっています。

また、派遣会社のコーディネーターに相談すれば、働き方や収入の希望をもとに求人を紹介してもらえるため、初めての方でも安心です。

さらに、ミスマッチを防ぐために、職場環境や担当業務について事前に詳しく説明してもらえることもあり、不安を軽減しやすいのが利点です。

派遣保育士が扶養内の年収103万円以内で働く場合のシミュレーション

扶養の範囲にとどめるためには、年収を103万円以内、月収でおよそ85,000円前後におさえることが目安となります。

ここでは、時給や勤務時間の組み合わせごとに、年間収入のイメージをシミュレーションしてみましょう。

時給 1日の勤務時間 週の勤務日数 月収目安 年収目安
1,200円 4時間 週3日 約57,600円 約69万円
1,400円 5時間 週3日 約84,000円 約100万円
1,500円 5時間 週3日 約90,000円 約108万円(超過注意)

上記のように、時給や勤務時間が少し変わるだけで年収は大きく変動します。

たとえば、時給1,500円で週3日勤務の場合、年間収入はすぐに103万円を超えてしまうため注意が必要です。

時給が高めの求人では、週2〜3日の勤務でも扶養ラインを超えてしまうことがあるため、あらかじめ年間の見込み収入を計算しておくことが大切です。

扶養内で働く派遣保育士のメリット

派遣という働き方は、扶養内で働きたい保育士にとって自由度が高く、主に以下のようなメリットがあります。

  • 柔軟な働き方ができる
  • 時給が高めで安定した収入が得られる
  • 派遣会社のサポートを受けられる

週2〜3日の短時間勤務や残業のないシフトなど、ライフスタイルに合わせて働きやすい点が魅力です。

たとえば、「午前中だけの勤務」や「保育園の開園〜10時まで」など、家庭と両立しやすい時間帯の案件を探すことがおすすめ。

また、派遣会社が条件交渉や職場とのやり取りをサポートしてくれるため、ブランクのある方でも安心して復帰しやすい環境が整っているといえます。

たとえば、派遣会社が勤務先との条件調整や事前の職場見学を代行してくれることもあるため、ブランクがある保育士でも復帰前の不安を軽減できるのです。

扶養内で働く派遣保育士のデメリット

派遣という働き方には多くのメリットがある一方で、扶養内で働く際に知っておきたい注意点もあります。

  • 有期雇用で安定性が低い
  • ボーナスや福利厚生は少ない
  • キャリアアップは望みにくい

派遣保育士は基本的に有期契約であり、労働者派遣法第35条により、同じ組織単位(部署など)で働けるのは原則最長3年までとされています。

そのため、長期的な勤務や安定した収入を希望する方にはやや不向きな面もあります。

また、正社員に比べてボーナスや福利厚生が限定され、キャリアアップの機会が限られる点にも注意が必要です。

派遣保育士が扶養を超えないために注意すべきポイントと働き方のコツ

扶養内で働き続けるには、収入の管理や勤務条件の調整が重要です。

ここでは、気づかないうちに年収の壁を越えてしまわないよう、あらかじめ押さえておきたいポイントについて解説します。

  • 希望条件は派遣会社にしっかり伝える
  • 勤務時間とシフトの自己管理を習慣にする
  • 有給・特別手当も年収に含まれることに注意する

以下からは、それぞれの注意点について、具体的なコツとともに紹介します。

希望条件は派遣会社にしっかり伝える

扶養内で働き続けるためには、登録の段階で「扶養内希望」であることを派遣会社にきちんと伝えることが重要です。

あいまいなまま進めてしまい、希望に合わないシフトや収入条件の案件を紹介されてしまわないよう、以下のポイントをしっかり伝えましょう。

  • 扶養内で働きたいこと(年収の目安や上限)
  • 希望する勤務日数と時間帯(例:週3日・1日4時間)
  • 土日休みや残業なしなど、家庭との両立に必要な条件
  • 通勤距離や園の雰囲気など、職場環境に関する希望

これらの条件をあらかじめ伝えておけば、希望に合った求人を紹介してもらいやすくなり、ミスマッチも防ぎやすくなります。

勤務時間とシフトの自己管理を習慣にする

派遣保育士は時給制の求人が多く、働いた分がそのまま収入に反映されるため、日々の勤務時間やシフトの管理がとても重要です。

月々の勤務時間や日数をもとに、年収の見込みを逆算しながら働くことで、扶養内におさめやすくなります。

また、シフトの自由度が高い派遣なら、「今月は少なめに」「来月は少し多めに」といった柔軟な調整も可能です。

無理のないペースを維持するためにも、定期的な自己チェックを習慣にしておきましょう。

有給・特別手当も年収に含まれることに注意する

派遣保育士の給与には、時給以外にも以下のような手当が含まれることがあります。

  • 有給休暇の取得分の給与
  • 処遇改善手当
  • 通勤手当(非課税分を超えた場合)
  • 年末年始や祝日手当
  • 残業代(発生した場合)
  • 臨時ボーナスや特別支給金

扶養内に収めたい場合は、こうした手当の有無や支給額にも注意し、年間収入として計算に入れておくことが大切です。

特に処遇改善手当は保育士特有の制度で、必ず給与の一部としてカウントされます。

支給額によっては扶養内の上限を超える原因となるため注意が必要です。

また、通勤手当については、公共交通機関を利用する場合は月15万円までが非課税とされています。

超えた分は給与収入として課税対象となり、年収計算に含める必要があります。

自家用車通勤の場合も距離に応じた非課税限度額が定められているため、勤務先に確認しておくと安心です。

なお、繁忙期の臨時手当や有給の消化など、月によって変動する要素は見落とされがちなので注意しましょう。

扶養内でも派遣など保育士資格を活かせる働き方を選ぼう

扶養内で働きながら、保育士資格を活かすことは十分に可能です。

制度の仕組みや収入の上限を理解し、自分に合った働き方を計画的に選ぶことで、家庭と両立しながら無理なく働き続けることができます。

特に派遣という働き方は、勤務日数や時間の調整がしやすく、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる選択肢です。

「少しだけ働きたい」「ブランクがあって不安」という方でも、自分らしいペースで復帰を目指せます。

「ずっと保育士」では、扶養内勤務や短時間勤務を希望する方にも、安心して働ける派遣求人をご紹介しています。

働き方のご希望やライフスタイルに合わせて、専任のコーディネーターが一人ひとりに寄り添い、無理のない職場復帰をサポート。

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