保育のコラム

【東京都】保育士向けの家賃補助が手厚い区TOP3!受けられる条件や期間は?

2024/01/27

東京においては、保育士の家賃補助制度(保育士宿舎借り上げ支援事業)が実施されています。これは、保育士の不足を解消し、新しい人材を確保するとともに、現職の保育士の定着を促進するための施策です。この制度により、保育士が長期間安心して勤務できる環境が整備されています。

上京を考えている方や、都内で親から独立して保育園に近い場所に住みたいと思っている保育士にとっては、この制度は非常に有益です。

保育園にとっても、この制度により地方からの応募者を引き寄せやすくなり、運営上の大きな助けとなっています。本記事では、区によって異なる保育士宿舎借り上げ支援事業について詳しく説明し、特に手厚い支援を行っている区を紹介します。

 

【東京都】保育士向けの家賃補助が手厚い区TO3

東京都内には多くの保育士が活躍していますが、都心部での生活は家賃が高いことが課題となっています。そこで、保育士向けの家賃補助が手厚い区をランキング形式でご紹介します。これらの区は、保育士の方々がより快適に生活し、保育の仕事に集中できる環境を提供しています。家賃補助だけでなく、生活の利便性やアクセスも考慮されており、保育士の方々にとって理想的な居住地と言えるでしょう。

 

<1位>千代田区

東京都では、保育士宿舎借り上げ支援事業における補助割合が、国と都で3/4、区市町村で1/8とされており、全体の7/8を行政が負担することになっています。千代田区は、これに加えて、区内に居住する場合に限り、家賃について月額48,000円まで全額(10/10)を負担する追加支援を行っています(この加算支援は区外の住居には適用されません)。家賃相場の高さを考慮して、家賃上限を82,000円と設定しており、この額を超える部分については補填が行われます。

家賃の上限補助額:
区内 119,750円(月額1戸あたり)家賃上限 130,000円
区外 71,750円(月額1戸あたり)家賃上限 82,000円

補助の割合:
7/8(国・都で3/4、区市町村で1/8 、事業者で1/8)区内加算は10/10
※残りの1/8を事業者がすべて負担するのか事業者と保育士が負担するのかは保育園による)

補助対象項目:
賃借料及び共益費。ただし礼金及び更新料についても、各月に割って計上できる。

対象となる職員:
保育施設等に勤務する常勤の保育従事職員であって世帯主又はこれに準ずる者
(保育従事職員)
保育施設等に勤務する施設長、保育士、保育補助者、栄養士、調理員、看護師 及び保健師をいう。ただし当該保育施設等の経営に携わる役員は除く。

(常勤の定義)
期間の定めのない正規職員、または1年以上の期間の労働契約を結ぶ、1日6時間以上かつ月 15日以上常態的に継続して勤務する者。当該保育施設等を適用事業所 とする社会保険の被保険者であること。

その他:
通常の通勤ルートで片道90分以内の居住施設(区外も含む)

参考|千代田区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱 (chiyoda.lg.jp)

 

<2位>港区

港区も千代田区と同様に、大変助けになる独自の加算制度を設けています。区内居住者には、30,000円の7/8に相当する26,250円までの補助が上限として提供されます。

家賃の上限補助額:
港区内 98,000円(月額1戸あたり)家賃上限 112,000円
港区外 71,750円(月額1戸あたり)家賃上限  82,000円

補助の割合:

区内加算含み7/8(国・都で3/4、区市町村で1/8 、事業者で1/8)
※残りの1/8を事業者がすべて負担するのか事業者と保育士が負担するのかは保育園による)

補助対象項目:
家賃及び共益費。敷金及び契約更新料を除く

対象となる職員:
港区内の保育施設等に常勤職員として勤務していること。常勤職員以外の者であっても、1日6時間以上かつ月20日以上勤務している場合は、常勤職員とみなす。(保育従事職員 保育施設等の施設長、保育士、保育補助者、調理員、看護師等)

その他:
当該施設の経営に携わる法人の役員は除く。

参考|港区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱 (city.minato.tokyo.jp)

 

<3位>渋谷区

渋谷区の最大の特徴は、引っ越し費用の補助がある点です。引っ越しには初期費用もかかるため、この制度は大変助かります。特に、地方から上京を考えている方々にとっては、移住のハードルを下げる効果が期待できるでしょう。

家賃の上限補助額:
区内のみ 100,000円(月額1戸あたり)

補助対象項目:
家賃及び共益費

対象となる職員:
渋谷区内保育施設等に勤務する常勤の保育士

その他:
・礼金、敷金、転居費用補助(引越し代)最大150,000円
・補助期間あり
・希望者多数の場合は抽選

参考|渋谷区社会福祉事業団 令和5年度 保育士 採用選考実施要項 - 社会福祉法人 渋谷区社会福祉事業団 (shibuyaswc.jp)

 

その他の区

他の区でも、それぞれ特有の制度が設けられていますので、詳細は下記の表でご確認いただくとよいでしょう。

中央区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、更新料、礼金
対象となる職員:
・区内の認可保育所、認定こども園、東京都認証保育所、小規模保育事業などの地域型保育事業所に勤務している。
・宿舎に入居している常勤の保育士、施設長、保育補助者、調理員、看護師等。
その他:経営に携わる法人の役員は除く
賃借料の一部を補助対象職員が負担している場合は、賃借料から負担額分を除いた額が補助対象経費

新宿区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:家賃、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:常勤

文京区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8

台東区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
1戸あたり月額 82,000円又は実際の負担額のいずれか低い方の金額補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:区内の認可保育所・認定こども園・小規模保育事業・事業所内保育事業・認証保育所に勤める常勤保育士又は常勤保育従事者で世帯主
その他:住宅は区内に限る

墨田区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:
対象となる職員:
・区内の保育所等に勤務する保育士、栄養士、調理師又は看護師等。
・常勤の職員として採用された保育士等。(所定労働時間が1日6時間以上で、月20日以上の職員として採用されている者を含む)
その他:役員は除く

江東区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
1戸あたり月額82,000円又は実際の負担額のいずれか低い方の金額
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料および共益費(管理費)
対象となる職員:区内の保育従事職員
その他:保育従事職員から入居に係る費用を徴収している場合は、当該費用を補助金の額から控除する

品川区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料および共益費(管理費)
対象となる職員:保育施設等に常勤職員として勤務していること。(常勤職員以外の者でも1日の勤務時間が6時間以上、1月の勤務日数が20日以上のものも含む。)
その他:保育施設等の経営に携わる法人の役員は対象外

中野区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)
対象となる職員:区内保育施設等に勤務する常勤の保育従事職員(1ヶ月の勤務日数が20日以上であり、かつ1日の勤務時間が6時間以上であること)
<保育従事職員:保育施設等の施設長、保育士、保育補助者、栄養士、調理員、看護師等>
その他:保育施設等を管理又は運営する法人の役員でないこと

杉並区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:家賃
対象となる職員:区内で雇用されている施設長、保育士、調理員、栄養士、看護師、助産師および保健師
対象施設:
杉並区内の私立認可保育所、地域型保育事業所、公設民営認可保育所、認証保育所、定期利用保育施設
その他:雇用年数等の制限なし

豊島区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
※隣接区に住む場合、上限62,000円まで
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料・共益費・礼金・更新料
対象となる職員:区内の保育施設等に勤務する保育士、調理師、栄養士、看護師。常勤又は雇用契約が1日6時間以上、月20日以上。
その他:区内または隣接区以外の住居は対象外

北区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)
対象となる職員:区内の保育施設等に勤務する保育士、調理師、栄養士、看護師。常勤又は雇用契約が1日6時間以上、月20日以上。
その他:居住市区町村の制限なし

荒川区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:区内の保育施設等に勤務している常勤職員であること、又は保育施設等に勤務している常勤職員以外の者で、1日に6時間以上、かつ、1月に20日以上勤務しているものであること。
保育施設等の施設長、幼稚園教諭、保育士、保育補助者、調理員、看護師等
その他:区内の住居のみ

板橋区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:
・区内保育施設等に勤務する保育士、保健師、看護師、栄養士、調理師
・常勤または1年以上の契約で1日6時間以上かつ月20日以上勤務の職員
その他:施設長、施設の管理者及び経営に携わる法人の役員は除く

練馬区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:区内にある保育施設等に勤務する常勤の保育従事職員
その他:原則は区内。電車等で通勤に支障がないと判断した場合区外可

足立区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料
対象となる職員:区内保育施設等に勤務する保育士、看護師、栄養士その他:礼金・更新料は2ヶ月分までを限度として毎月の限度額内で計上

葛飾区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:家賃
対象となる職員:区内の私立認可保育所・公設民営認可保育所・認定こども園・小規模保育事業所・認証保育所に勤務する保育士・保健師・助産師・看護師・准看護師・管理栄養士・栄養士等
その他:経験年数による制限、施設あたりの人数制限なし
葛飾区独自の住宅手当補助職員一人当たり月10,000円あり

江戸川区

家賃の上限補助額:71,750円(一戸当たり家賃82,000円上限)
補助の割合:7/8
補助対象項目:家賃
対象となる職員:区内の保育施設等(認可保育所・小規模保育所・事業所内保育所・認定こども園・認証保育所含む)に勤務する保育従事職員
その他:採用されてから「5年以内」の保育士及び看護師

 

東京都の保育士が家賃補助を受けるための条件

東京都内の保育士が家賃補助(保育士宿舎借り上げ支援事業)を受けるための条件は、区によって若干の違いがありますが、一般的には区内の保育施設で勤務することが求められます。さらに、企業主導型保育園や子ども園、小規模保育室などの施設に関する規定も区によって異なるため、注意が必要です。

この制度は、保育従事職員用の宿舎の借り上げを行う事業者に対して、地方自治体が補助金を提供することで、保育人材の確保、定着、そして離職防止を目的としています。したがって、この制度に参加していない保育施設での就職の場合、保育士は補助を受けられません。

就職先の園、または就職予定の園で制度の詳細を確認することが重要です。

加えて、常勤職員であること、住居が区内にあることなどの条件が設けられています。非常勤職員や派遣職員など、一定の条件を満たさない場合は制度を利用できない点を留意しましょう。

 

東京都の家賃補助を受けられる期間

東京都内で利用可能な家賃補助(保育士宿舎借り上げ支援事業)の提供期間は定まっていません。元々は、採用後の5年目までの職員を対象としていましたが、2016年の緊急対策で、6年目以降の職員にも対象が拡大されました。地区によっては、7年目や10年目まで、あるいは期間の制限がない場合もあります。希望する区の具体的な規定は、各自でご確認ください。

 

東京都の家賃補助を受ける際の注意点

東京都内で家賃補助(保育士宿舎借り上げ支援事業)を受ける際に留意すべき4つの注意点を、以下に挙げていきます。

 

注意点1:制度が廃止される可能性がある

この制度の将来は未定であり、いつまで続くか、あるいは廃止されるかは現時点では決まっていません。縮小している区も存在します。その主な理由は、国の施策に大きく依存しており、国の支援がなければ制度が持続しない可能性があるからです。つまり、国家予算の影響を大きく受けるというわけです。

本来、この制度は首都圏の保育士不足や待機児童問題に対処し、地方からの人材を確保し定着させることを目的としていました。しかし、各区が独自の工夫を凝らし手厚い支援を提供している結果、都内在住者も含めて人材が確保されつつあると言われています。

 

注意点2:区外に住む場合は補助額が変わることがある

前述の各区の情報によれば、住居の場所に関しては、区によって異なる場合があります。一部の区では、住居が区内に限定されているのに対し、他の区では区内外で補助額が変動することがあります。原則としては区内、特に保育園の近隣であることが望ましいですが、通勤経路などの条件に応じて、区外の住居でも補助が受けられることがあるようです。

 

注意点3:物件は法人契約になる

この制度は保育士が自治体から直接補助を受けるものではなく、保育士等の宿舎として借り上げられる社宅に対して、事業者への補助として設計されています。そのため、宿舎の物件契約は保育士個人ではなく、事業者側(法人)が行います。

物件を探すプロセスは、保育園によって異なります。自分で物件を探し、事業者に借り上げを依頼する場合もあれば、保育園が予め社宅として契約している指定の部屋に住む場合もあります。就職や転職に際して引越しをする時は、事前に詳細をしっかりと確認することが重要です。十分な確認を怠ると、不利益を被る可能性があります。

 

注意点4:敷金、仲介手数料などは基本的に個人負担となる

多数の区では、賃借料、共益費(管理費)、礼金、更新料が補助の対象となっています。礼金と更新料については、最大2ヶ月分を12回に分割して、月額の上限内で計上することが可能です。しかし、敷金と仲介手数料は補助の対象外であり、これらの費用は個人が負担するか、保育園が負担するかは園によって異なります。

 

東京都で保育士が受けられるその他の補助制度

保育士の人材確保と定着率向上を目的に、東京都は家賃補助(保育士宿舎借り上げ支援事業)以外にも、多様な補助制度を提供しています。東京都内の保育士にとって利用可能なその他の補助制度について、詳しく見ていきましょう。

 

1.保育士修学資金貸付事業(貸付)

保育士資格取得を目指す保育学生に対して就学資金を貸し付けます。

【貸付上限額】
月額50,000円(ただし、2年間分、120万円が上限)
入学時、卒業時に入学準備金・就職準備金として200,000円ずつ加算可能
養成施設卒業後、都内保育施設に5年間勤める事で、返還免除となります。
※ただし、貸付には所得制限等一定の基準あり

 

2.未就学児をもつ潜在保育士に対する保育所復帰支援事業(貸付)

未就学児をもつ潜在保育士が、保育所等への復帰にあたり、保育所等へ入所させた時に、保育料の一部を貸し付けする制度です。

【貸付上限額】
保育料の半額で月額27,000円上限
(貸付期間は保育士が勤務する期間(最長1年間貸付))
【条件】
・週20時間以上保育士として勤務する事
・保育所等へ引き続き2年以上勤務する事で返還が免除される

 

3.潜在保育士の再就職支援事業(貸付)

潜在保育士が保育所等へ就職が決定した時に、就職準備金の貸し付けを行う制度です。

【貸付上限額】 
40万円以内(再就職に必要な経費等を一人一回限り)
【貸付条件】
・週20時間以上保育士として勤務すること
・保育所等へ引き続き2年以上勤務する事で返還が免除される

 

4.保育士等キャリアアップ補助

保育士等が専門性を高め、充実感を持って働けるように、キャリアアップに向けた取り組みに要する費用の一部が東京都の補助を通じて支援されています。これらのプログラムは、東京都社会福祉協議会によって実施されており、保育士等の職員が専門的なスキルを磨きながら、より長期的なキャリアを築くための援助を提供しています。

参考|東京都福祉局 保育人材確保の取組について 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)

 

区によって家賃補助額は異なる!補助内容を知って賢く制度を利用しよう!

東京都の家賃補助制度は、地方から上京して就職や転職を考えている保育士や保育学生にとって大変有益な支援となります。家賃は生活費の中で大きな割合を占めるため、この制度は、特に家賃の負担を感じている方々にとって安心感を提供することでしょう。各区ごとに補助額や内容、条件が異なるため、詳細を確認し、保育園を選ぶ際の参考にすることが重要です。賢く制度を活用するために、必要な情報をしっかりと把握しましょう。

 

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