【保育士転職成功体験談】心身が壊れてしまう前に、勇気を出して強引に辞める行動を取れたのが良かった!
2023/10/13
今の職場を辞めたい、転職したいと考える保育士さんの中には、人手不足や退職のタイミングなどにより、「今辞めたら園や他の保育士に迷惑がかかるのでは……」と二の足を踏んでしまっている方は多くいます。
保育士さんは責任感が強い方が多いため、「年度末まで」「あと1年は続けよう」とズルズルと働き続けてしまい体や心を壊してしまう方が多くいるのが現状です。
今回は、考えすぎてしまってなかなか転職に踏み切れない保育士さんの参考になればという思いで、実際に転職に成功されたSさんにインタビューし、体験談を聞かせていただきました。
保育園卒園のころから保育士の仕事に憧れていた
──Sさんが保育士になったきっかけや理由、経緯などを教えてください。
特に何か大きなきっかけがあったわけではないのですが、保育園に通っていた時に、担任の先生に憧れていました。
卒園するときには「保育園の先生になりたい」というふうに考えていたので、保育園の時からずっと追い続けてきた夢という感じです。
今は保育士として11年目
──これまでの経歴を教えてください。
短大を卒業して、まずは幼稚園に就職しました。その後は、1回転職をして今は会社としては2社目になります。
結婚や引っ越しなどで同じ会社が運営する保育園に移ったりもしているので、園としては3〜4園目ぐらいだと思います。
1社目は理不尽な1年目いじめの文化や保育観の不一致で転職
──1社目から転職を考えられた理由やきっかけは何だったのですか?
1社目は幼稚園で、新卒で入ったのですが、家族経営の幼稚園ということもあって、独特で理不尽な伝統が残っていました。
1年目の先生は基本的に先輩の先生に呼び出されて怒られる伝統みたいなのがあって、運動会の後に「運動会が失敗したのは1年目のせいだからね」と怒られたりしました。
それに、1年目は先輩の先生のコップの色や形を覚えて、先輩の先生にお茶やコーヒーを出さなければならないというお茶出しの文化がありました。
猫舌の先生にはあまり熱々で出しちゃいけないとか、暗黙のルールもあって、熱々で出した時には飲まれずに全部残されて放置されていたり、理不尽で陰湿な1年目いじめみたいな文化が根強く残っている園でしたね。
それに、朝は6時45分ぐらいには出勤して、夜は先輩の先生が全員帰るまで1年目は帰れないという毎日で、新卒で右も左も分からない状態でしたが、1年目いじめや睡眠不足もあって、日に日に心身共に疲れていってしまった感じです。
──1年目いじめや体調面が理由で転職を考えられたということですか?
はい。それもありますが、保育観の不一致というのも転職を考えた大きな理由の1つです。
子どもの数が多いマンモス幼稚園だったというのもあると思いますが、先生たちの目が隅々まで行き届いていないせいか、怪我をする子どもがとにかく多かったです。
何針縫う怪我とか、病院に連れていかなければならないような大きな怪我が多くて、幼稚園の安全管理体制に少し疑問を感じていました。
それに子ども達が雨の中、ずぶ濡れになりながら組体操の練習をさせられていたりとか、私がやりたい子どもの教育、保育はこれじゃないな、私はこの幼稚園に向いていないな、と思ったのが転職を決めた大きな理由です。
1回目の転職で重視したのは、エリアと給与水準と保育理念!
──1回目の転職はどのように行なったのですか?
転職サイトなどには特に頼らずに、自分で求人を探したりしながら、転職しました。
──1回目の転職で重視したのはどんなポイントですか?
元々地元で働きたいという希望が強かったので、地元周辺にある保育園ということと、1社目の幼稚園の給与が割と高かったので、給与水準をそこまで落とさずに働けるということ、そして保育理念に共感できること、の3つを重視しながら転職活動をしました。
また、最初に勤めた幼稚園のこともあって、できれば家族経営じゃないところがいい、というのもありました。
すべての園がそうではないと思うのですが、家族経営の園って現場からの指摘がしづらかったり、変な伝統が残ってしまっているイメージがありました。
他の保育園や幼稚園で働いている友達に話を聞いてみても、その傾向は大いにあったので、今回の転職では家族経営の園は避けようと思っていましたね。
あとは、自分の住んでいる市のHPに保育園一覧があったので、それぞれHPや園が運営するブログをチェックしたりしながら、どんんあ保育理念で運営している園なのかを徹底的にリサーチしました。
──1回目の転職はスムーズに行きましたか?引き止められたりはしましたか?
そうですね。11月、12月の面談の頃には、心身共に辛い状態になってしまっていて、辞めたい意向を園に伝えたんですが、認めてもらえなかったんですよね。
一緒に入った同期の先生も、うつ病になってしまうぐらいでしたし、プライベートでも「ちょっとお茶しよう」みたいな感じで引き止められたりしました。
──引き止めに合う中、どのように辞められたのですか?
私の場合は、辞めたくても認めてもらえないし、心身共に辛かったというのもあって、勇気を出して、行かないという選択をしました。
辞めたい意向はきちんと伝えているのに、辞めさせてくれないというのは会社としても、ちょっと違うのかなぁと思いましたし、「もう来ません」と伝えることはきちんと申告してますし、勇気を出して行かない選択をとりました。
私が行かなくなって初めて、園側としては認めざるを得ない状況になった感じです。
──その後、園から何か連絡はありましたか?
はい。ちょこちょこと園から「来れないか?」みたいな連絡が来たりしました。
でも、私としては面談の時点でしっかりと辞めたい意向は伝えていますし、その後も「辞めたい」ということを言い続けていました。
なかなか辞めることを認めてくれないので、心身共に限界でしたし、体を壊してまでやる仕事ではないと思って、「退職を受け入れてくれるようであれば必要な書類などを送付してください」と言って、淡々と手続きを進めて行った感じです。
──休職とかそういう選択肢は考えなかったのですか?
もちろん、そういう提案もあったのですが、私としてはもう戻るつもりがなかったので、お断りしました。
パートや派遣で収入をつなぎながら、ゆとりをもって転職活動をしたのが良かったと思う!
──転職先はスムーズに決まりましたか?
そうですね。1社目の幼稚園を辞めてから、パートや派遣で収入をつなぎながら、ある程度ゆとりを持ちながら転職活動をしていきました。
というのも、当時の私は、4月からしか働けない求人しかない、と思い込んでいたんですね。なので、とりあえずそれまでどうやって収入をつなごうかな、と考えてパートや派遣で働き始めたという感じです。
これは結果論ですが、急いで転職先を決めて、また失敗して、というのを繰り返すよりも、私としては、しっかりと転職先を吟味する時間があったことが良かったなと思います。
派遣やパートは残業がなかったり、時間的な余裕がかなりあったので、ネットを使って色々と求人を調べたり、園見学に行ったり、気持ちに余裕を持った状態で、じっくり選ぶことができました。
──2社目の保育園に転職しようと思った決め手は何ですか?
まずは保育理念に共感できるということです。
大きな規模の株式会社が運営している保育園で、HPを見て「すごくいいな」と直感的に思いました。
それに、求人の条件を見ても給与水準がそこまで下がらないという点や、きちんと女性のライフステージを考えた産休や育休などの制度も整っていたり、「ちゃんとしている会社だな」というのも好印象でした。
何より、見学に行った時に働く先生方の雰囲気がとても良かったですね。
前の幼稚園のような怖い雰囲気だったらどうしようと思っていたので、特に園見学では先生方の雰囲気をしっかり見ました。
保育園の環境や清潔感も好印象でしたね。
今であれば、きっと子ども達の安全面だったり、色々な観点で園を見ていくと思いますが、当時は新卒から1〜2年目だったということもあって、そのぐらいしか見るポイントが思いつかなかったです。
本当に園見学で色々と見て、直感的に「いい」と思った、というのが最大の決め手ですね。
2社目の保育園は風通しが良く、管理体制がしっかりしていて働きやすいと感じている!
──今現在2社目の保育園で働いていて、自分らしく働けているなという実感はありますか?また、それはなぜそう思いますか?
はい。運営会社自体も規模が大きいということもあって、管理体制がしっかりしている感覚があります。
何か悪いところが現場であったら、積極的に意見を出し合って改善していこう、という気質があって、何かやりづらさがあったとしても改善していけるんじゃないか、何か不安なことがあっても乗り越えていけるんじゃないか、という安心感がすごくありました。
実際に、私が働いているのは、大きな株式会社が運営するたくさんの園のうちの1つなんですが、大きい枠に守られている感覚があったといいますか…。
マニュアルとかも他の園に比べるとずいぶん充実していて、「あとは現場に全部任せました」という丸投げ感がないんです。
割と現場に運営側が寄り添ってくれる感じがあって、今でも転職してよかったなという風に思います。
──風通しが良く、管理体制がしっかりしているという安心感は大切ですよね。
そうですね。やっぱり前の幼稚園のように運営側に全然意見が通らない風通しの悪さもなく、現場で働く人であっても、そうでなくてもフラットに意見が言えるような環境が安心感につながっていますね。
現場の保育士の先生、主任、園長、エリアマネージャー、部長みたいな感じで、割と管理体制がピラミッド構成になっています。
全国の園長が集まる会議だったり、関東圏の園長が集まる会議、地域の園長が集まる会議みたいな感じで、細かく体制作りが成されている印象もあります。
現場の保育士としては、とても働きやすい環境で、満足していますね。
過去の自分に「勇気を出して辞めな」と言いたい!
──もしSさんが、過去の辞めたくても辞められず、心身ともに疲弊していた自分にアドバイスを送れるとしたら、どんなアドバイスをしますか?
そうですね。「勇気出して辞めな!」って言うと思います。
当時は新卒で1年目だったので分からなかったけれど、辞めることって、悪いことじゃないと思います。
自分に合わない園で働き続けて疲弊していくぐらいなら、もっと自分に合った園で働いた方がずっといい、って思いますね。
実は私、2社目に転職したその年に結婚して、主人の引っ越しもあって1度退職してるんです。
他の地域で同じ会社が運営する系列の園で働いて、また主人の異動で地元に戻ってきた際に、元の園に戻って今は働いている感じです。
前の幼稚園は確かに強引に辞めたかもしれませんが、結果的に勇気を出して辞めたからこそ、「戻りたい」と思うぐらい、大切な職場に出会えたんだと思います。
なので、「勇気を出して辞めな!もっと他にあなたに合った園があるよ!」って言ってあげたいですね。
自分がいなくても、世の中はなんだかんだ回っていく
──中には、子ども達に悪いという気持ちや、職場の同僚の先生方への罪悪感から辞めたくても辞められない保育士の先生も多いと聞きますが、その点についてはどう思いますか?
そうですね。「自分がいなくても、なんだかんだ世の中回るよ」って思いますね。
「今私が休んでしまったら、辞めてしまったら…」とか、周りへの迷惑を考えて辞めるに辞められない先生ってすごく多いと思うんですが、結局は残された先生方で現場を回すしかないので、自分がいなくても、なんだかんだ回るはずなんです。
1人欠けていたとしても、子ども達は関係なく登園してきますし、残った他の先生たちでカバーしていくしかないので、回していくしか選択肢がないはずなので、「自分が一人いなくなったから回らなくなる」と考えるのではなくて、「なんだかんだ自分がいなくても現場は回るよ」ということを伝えたいですね。
──Sさんは年度末よりも前に辞められていますが、年度末より前に辞めることに何か感じたりしましたか?
そうですね。確かに当時は私も、年度末前に辞めることに対して、「他の先生に申し訳ないな」「子ども達に悪いな」と思いました。
でも、心身共に限界だったので、今考えてもあのタイミングで「行かない」という行動を起こして、辞めて正解だったなと思います。
心身を壊してまで年度末まで頑張らなくていいと思います。
「無理だ、限界だ」って思ったのであれば、辞めて、次の転職先が決まるまでの期間を空けてゆっくり転職活動をした方が、ずっといいんじゃないかなぁと思いますね。
新卒7ヶ月で辞めたことがキャリアに影響したことは一度もない!
──新卒1〜2年目で辞めたことに対して、転職先の面接では何か聞かれましたか?また、どう答えましたか?
私の場合は正直にありのまま答えました。
誰から見てもわかることだったので、それを逆に取り繕って言っても見透かされるだろうなぁと思いましたし、そのまま正直に答えましたね。
同じような思いで転職をしてきている先生も多い業界なので、実際は新卒1〜2年目で転職したからと言って、何か影響が出るようなことはないかと思います。
これは、私の経験則であって、あくまで持論なのですが、保育士の転職の場合は、たとえ新卒1〜2年目で辞めてしまったとしても、たくさん転職歴があったとしても、それをむしろ「色々な園での経験がある」と言う風にポジティブにとらえてくださる園が多いような気がします。
流石に「1ヶ月で辞めた」なんてことが何度も続くような場合であれば、流石に面接官も深く追求してくると思うんですが、転職歴が多かったり、短い期間で転職してしまったとしても、保育業界の場合は他と違ってそんなに不利に働かない、ということが多いと思います。
──「3年は働かないと」とよく言われると思うのですが、自分の今後のキャリアに影響がでるんじゃないか?とか当時不安になりましたか?
はい。なりました。前の幼稚園にいたっては4月の入職から7ヶ月しか働いていない内に辞めてしまったので、「この先不利に働くのでは?」と不安にはなりました。
ですが、辞めた後に派遣やパートで時間的な余裕もあって、冷静に判断ができる体調・メンタル状態だったからこそ、そこまで大きな不安には発展しませんでしたね。
割と冷静だったというか。
少なくとも私のキャリアでは、1社目を7ヶ月で退職しているということがマイナスに働いたことは一度もないですね。
- ポイント1:辞めるに辞められない雰囲気の中、勇気を出して「保育園に行かない」と言う行動をとれたこと
- ポイント2:一度やめて、派遣やパートで収入をつなぎながら、時間のゆとりを持って転職活動をじっくり行えたこと
ー 取材協力:株式会社トビバコ
カテゴリ
保育士インタビュー
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今の職場を辞めたい、転職したいと考える保育士さんの中には、人手不足や退職のタイミングなどにより、「今辞めたら園や他の保育士に迷惑がかかるのでは……」と二の足を踏んでしまっている方は多くいます。
保育士さんは責任感が強い方が多いため、「年度末まで」「あと1年は続けよう」とズルズルと働き続けてしまい体や心を壊してしまう方が多くいるのが現状です。
今回は、考えすぎてしまってなかなか転職に踏み切れない保育士さんの参考になればという思いで、実際に転職に成功されたSさんにインタビューし、体験談を聞かせていただきました。
保育園卒園のころから保育士の仕事に憧れていた
──Sさんが保育士になったきっかけや理由、経緯などを教えてください。
特に何か大きなきっかけがあったわけではないのですが、保育園に通っていた時に、担任の先生に憧れていました。
卒園するときには「保育園の先生になりたい」というふうに考えていたので、保育園の時からずっと追い続けてきた夢という感じです。
今は保育士として11年目
──これまでの経歴を教えてください。
短大を卒業して、まずは幼稚園に就職しました。その後は、1回転職をして今は会社としては2社目になります。
結婚や引っ越しなどで同じ会社が運営する保育園に移ったりもしているので、園としては3〜4園目ぐらいだと思います。
1社目は理不尽な1年目いじめの文化や保育観の不一致で転職
──1社目から転職を考えられた理由やきっかけは何だったのですか?
1社目は幼稚園で、新卒で入ったのですが、家族経営の幼稚園ということもあって、独特で理不尽な伝統が残っていました。
1年目の先生は基本的に先輩の先生に呼び出されて怒られる伝統みたいなのがあって、運動会の後に「運動会が失敗したのは1年目のせいだからね」と怒られたりしました。
それに、1年目は先輩の先生のコップの色や形を覚えて、先輩の先生にお茶やコーヒーを出さなければならないというお茶出しの文化がありました。
猫舌の先生にはあまり熱々で出しちゃいけないとか、暗黙のルールもあって、熱々で出した時には飲まれずに全部残されて放置されていたり、理不尽で陰湿な1年目いじめみたいな文化が根強く残っている園でしたね。
それに、朝は6時45分ぐらいには出勤して、夜は先輩の先生が全員帰るまで1年目は帰れないという毎日で、新卒で右も左も分からない状態でしたが、1年目いじめや睡眠不足もあって、日に日に心身共に疲れていってしまった感じです。
──1年目いじめや体調面が理由で転職を考えられたということですか?
はい。それもありますが、保育観の不一致というのも転職を考えた大きな理由の1つです。
子どもの数が多いマンモス幼稚園だったというのもあると思いますが、先生たちの目が隅々まで行き届いていないせいか、怪我をする子どもがとにかく多かったです。
何針縫う怪我とか、病院に連れていかなければならないような大きな怪我が多くて、幼稚園の安全管理体制に少し疑問を感じていました。
それに子ども達が雨の中、ずぶ濡れになりながら組体操の練習をさせられていたりとか、私がやりたい子どもの教育、保育はこれじゃないな、私はこの幼稚園に向いていないな、と思ったのが転職を決めた大きな理由です。
1回目の転職で重視したのは、エリアと給与水準と保育理念!
──1回目の転職はどのように行なったのですか?
転職サイトなどには特に頼らずに、自分で求人を探したりしながら、転職しました。
──1回目の転職で重視したのはどんなポイントですか?
元々地元で働きたいという希望が強かったので、地元周辺にある保育園ということと、1社目の幼稚園の給与が割と高かったので、給与水準をそこまで落とさずに働けるということ、そして保育理念に共感できること、の3つを重視しながら転職活動をしました。
また、最初に勤めた幼稚園のこともあって、できれば家族経営じゃないところがいい、というのもありました。
すべての園がそうではないと思うのですが、家族経営の園って現場からの指摘がしづらかったり、変な伝統が残ってしまっているイメージがありました。
他の保育園や幼稚園で働いている友達に話を聞いてみても、その傾向は大いにあったので、今回の転職では家族経営の園は避けようと思っていましたね。
あとは、自分の住んでいる市のHPに保育園一覧があったので、それぞれHPや園が運営するブログをチェックしたりしながら、どんんあ保育理念で運営している園なのかを徹底的にリサーチしました。
──1回目の転職はスムーズに行きましたか?引き止められたりはしましたか?
そうですね。11月、12月の面談の頃には、心身共に辛い状態になってしまっていて、辞めたい意向を園に伝えたんですが、認めてもらえなかったんですよね。
一緒に入った同期の先生も、うつ病になってしまうぐらいでしたし、プライベートでも「ちょっとお茶しよう」みたいな感じで引き止められたりしました。
──引き止めに合う中、どのように辞められたのですか?
私の場合は、辞めたくても認めてもらえないし、心身共に辛かったというのもあって、勇気を出して、行かないという選択をしました。
辞めたい意向はきちんと伝えているのに、辞めさせてくれないというのは会社としても、ちょっと違うのかなぁと思いましたし、「もう来ません」と伝えることはきちんと申告してますし、勇気を出して行かない選択をとりました。
私が行かなくなって初めて、園側としては認めざるを得ない状況になった感じです。
──その後、園から何か連絡はありましたか?
はい。ちょこちょこと園から「来れないか?」みたいな連絡が来たりしました。
でも、私としては面談の時点でしっかりと辞めたい意向は伝えていますし、その後も「辞めたい」ということを言い続けていました。
なかなか辞めることを認めてくれないので、心身共に限界でしたし、体を壊してまでやる仕事ではないと思って、「退職を受け入れてくれるようであれば必要な書類などを送付してください」と言って、淡々と手続きを進めて行った感じです。
──休職とかそういう選択肢は考えなかったのですか?
もちろん、そういう提案もあったのですが、私としてはもう戻るつもりがなかったので、お断りしました。
パートや派遣で収入をつなぎながら、ゆとりをもって転職活動をしたのが良かったと思う!
──転職先はスムーズに決まりましたか?
そうですね。1社目の幼稚園を辞めてから、パートや派遣で収入をつなぎながら、ある程度ゆとりを持ちながら転職活動をしていきました。
というのも、当時の私は、4月からしか働けない求人しかない、と思い込んでいたんですね。なので、とりあえずそれまでどうやって収入をつなごうかな、と考えてパートや派遣で働き始めたという感じです。
これは結果論ですが、急いで転職先を決めて、また失敗して、というのを繰り返すよりも、私としては、しっかりと転職先を吟味する時間があったことが良かったなと思います。
派遣やパートは残業がなかったり、時間的な余裕がかなりあったので、ネットを使って色々と求人を調べたり、園見学に行ったり、気持ちに余裕を持った状態で、じっくり選ぶことができました。
──2社目の保育園に転職しようと思った決め手は何ですか?
まずは保育理念に共感できるということです。
大きな規模の株式会社が運営している保育園で、HPを見て「すごくいいな」と直感的に思いました。
それに、求人の条件を見ても給与水準がそこまで下がらないという点や、きちんと女性のライフステージを考えた産休や育休などの制度も整っていたり、「ちゃんとしている会社だな」というのも好印象でした。
何より、見学に行った時に働く先生方の雰囲気がとても良かったですね。
前の幼稚園のような怖い雰囲気だったらどうしようと思っていたので、特に園見学では先生方の雰囲気をしっかり見ました。
保育園の環境や清潔感も好印象でしたね。
今であれば、きっと子ども達の安全面だったり、色々な観点で園を見ていくと思いますが、当時は新卒から1〜2年目だったということもあって、そのぐらいしか見るポイントが思いつかなかったです。
本当に園見学で色々と見て、直感的に「いい」と思った、というのが最大の決め手ですね。
2社目の保育園は風通しが良く、管理体制がしっかりしていて働きやすいと感じている!
──今現在2社目の保育園で働いていて、自分らしく働けているなという実感はありますか?また、それはなぜそう思いますか?
はい。運営会社自体も規模が大きいということもあって、管理体制がしっかりしている感覚があります。
何か悪いところが現場であったら、積極的に意見を出し合って改善していこう、という気質があって、何かやりづらさがあったとしても改善していけるんじゃないか、何か不安なことがあっても乗り越えていけるんじゃないか、という安心感がすごくありました。
実際に、私が働いているのは、大きな株式会社が運営するたくさんの園のうちの1つなんですが、大きい枠に守られている感覚があったといいますか…。
マニュアルとかも他の園に比べるとずいぶん充実していて、「あとは現場に全部任せました」という丸投げ感がないんです。
割と現場に運営側が寄り添ってくれる感じがあって、今でも転職してよかったなという風に思います。
──風通しが良く、管理体制がしっかりしているという安心感は大切ですよね。
そうですね。やっぱり前の幼稚園のように運営側に全然意見が通らない風通しの悪さもなく、現場で働く人であっても、そうでなくてもフラットに意見が言えるような環境が安心感につながっていますね。
現場の保育士の先生、主任、園長、エリアマネージャー、部長みたいな感じで、割と管理体制がピラミッド構成になっています。
全国の園長が集まる会議だったり、関東圏の園長が集まる会議、地域の園長が集まる会議みたいな感じで、細かく体制作りが成されている印象もあります。
現場の保育士としては、とても働きやすい環境で、満足していますね。
過去の自分に「勇気を出して辞めな」と言いたい!
──もしSさんが、過去の辞めたくても辞められず、心身ともに疲弊していた自分にアドバイスを送れるとしたら、どんなアドバイスをしますか?
そうですね。「勇気出して辞めな!」って言うと思います。
当時は新卒で1年目だったので分からなかったけれど、辞めることって、悪いことじゃないと思います。
自分に合わない園で働き続けて疲弊していくぐらいなら、もっと自分に合った園で働いた方がずっといい、って思いますね。
実は私、2社目に転職したその年に結婚して、主人の引っ越しもあって1度退職してるんです。
他の地域で同じ会社が運営する系列の園で働いて、また主人の異動で地元に戻ってきた際に、元の園に戻って今は働いている感じです。
前の幼稚園は確かに強引に辞めたかもしれませんが、結果的に勇気を出して辞めたからこそ、「戻りたい」と思うぐらい、大切な職場に出会えたんだと思います。
なので、「勇気を出して辞めな!もっと他にあなたに合った園があるよ!」って言ってあげたいですね。
自分がいなくても、世の中はなんだかんだ回っていく
──中には、子ども達に悪いという気持ちや、職場の同僚の先生方への罪悪感から辞めたくても辞められない保育士の先生も多いと聞きますが、その点についてはどう思いますか?
そうですね。「自分がいなくても、なんだかんだ世の中回るよ」って思いますね。
「今私が休んでしまったら、辞めてしまったら…」とか、周りへの迷惑を考えて辞めるに辞められない先生ってすごく多いと思うんですが、結局は残された先生方で現場を回すしかないので、自分がいなくても、なんだかんだ回るはずなんです。
1人欠けていたとしても、子ども達は関係なく登園してきますし、残った他の先生たちでカバーしていくしかないので、回していくしか選択肢がないはずなので、「自分が一人いなくなったから回らなくなる」と考えるのではなくて、「なんだかんだ自分がいなくても現場は回るよ」ということを伝えたいですね。
──Sさんは年度末よりも前に辞められていますが、年度末より前に辞めることに何か感じたりしましたか?
そうですね。確かに当時は私も、年度末前に辞めることに対して、「他の先生に申し訳ないな」「子ども達に悪いな」と思いました。
でも、心身共に限界だったので、今考えてもあのタイミングで「行かない」という行動を起こして、辞めて正解だったなと思います。
心身を壊してまで年度末まで頑張らなくていいと思います。
「無理だ、限界だ」って思ったのであれば、辞めて、次の転職先が決まるまでの期間を空けてゆっくり転職活動をした方が、ずっといいんじゃないかなぁと思いますね。
新卒7ヶ月で辞めたことがキャリアに影響したことは一度もない!
──新卒1〜2年目で辞めたことに対して、転職先の面接では何か聞かれましたか?また、どう答えましたか?
私の場合は正直にありのまま答えました。
誰から見てもわかることだったので、それを逆に取り繕って言っても見透かされるだろうなぁと思いましたし、そのまま正直に答えましたね。
同じような思いで転職をしてきている先生も多い業界なので、実際は新卒1〜2年目で転職したからと言って、何か影響が出るようなことはないかと思います。
これは、私の経験則であって、あくまで持論なのですが、保育士の転職の場合は、たとえ新卒1〜2年目で辞めてしまったとしても、たくさん転職歴があったとしても、それをむしろ「色々な園での経験がある」と言う風にポジティブにとらえてくださる園が多いような気がします。
流石に「1ヶ月で辞めた」なんてことが何度も続くような場合であれば、流石に面接官も深く追求してくると思うんですが、転職歴が多かったり、短い期間で転職してしまったとしても、保育業界の場合は他と違ってそんなに不利に働かない、ということが多いと思います。
──「3年は働かないと」とよく言われると思うのですが、自分の今後のキャリアに影響がでるんじゃないか?とか当時不安になりましたか?
はい。なりました。前の幼稚園にいたっては4月の入職から7ヶ月しか働いていない内に辞めてしまったので、「この先不利に働くのでは?」と不安にはなりました。
ですが、辞めた後に派遣やパートで時間的な余裕もあって、冷静に判断ができる体調・メンタル状態だったからこそ、そこまで大きな不安には発展しませんでしたね。
割と冷静だったというか。
少なくとも私のキャリアでは、1社目を7ヶ月で退職しているということがマイナスに働いたことは一度もないですね。
- ポイント1:辞めるに辞められない雰囲気の中、勇気を出して「保育園に行かない」と言う行動をとれたこと
- ポイント2:一度やめて、派遣やパートで収入をつなぎながら、時間のゆとりを持って転職活動をじっくり行えたこと
ー 取材協力:株式会社トビバコ