保育のコラム

保育士10年目です。今の保育園を辞めたいと考えていますが、どう判断すべきか迷っています。

2022/08/30

保育士10年目です。今の保育園を辞めたいと考えていますが、どう判断すべきか迷っています。

10年という節目を機に自分の仕事を見つめ直すことは、どんな職業でもあることです。

今一度キャリアを見直し、退職を考えるものの、辞めることが正しいのか判断に困ることはあるでしょう。

今回は、10年という節目を迎えた保育士が今の保育園を辞めたいと考えるときの判断についてご紹介します。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

10年目の保育士が辞めたいと思う主な理由

10年目になった保育士は、すでに専門リーダーや副主任、主任保育士など役職についている人も少なくありません。

それだけキャリアを築いた保育士がどんな理由で辞めたいと思うのでしょうか。

ここからは保育士10年目に辞めたいと思う理由を具体的にご紹介します。

理由1:給料が上がらず、将来性に不安を感じている

保育士の給料が安いとは言われますが、実は新卒給与は他職種とさほど変わりません。

しかし、昇給や手当などが少ないことが多いため、10年目になった際に保育士以外の同級生などと比べ給料が低いと感じてしまうことがあります。

10年経って、人生のライフステージが変わることも多い年代になると、今後の生活設計などを考えて退職を決意することがあります。

理由2:職場の人間関係が悪く、ギスギスしている

保育士の職場は女性が多く、うまく人間関係が築けているときは良いのですが、一度ギスギスし始めるとどうすることもできなくなります。

また、管理職となったことでギスギスした人間関係を解消するための働きかけをする必要が出てきたものの、人間関係を良くすることは非常に労力を費やします

園長や上司と保育士たちの板挟みになるなど、心労が多くなることで、退職したいと考えるようになることもあります。

理由3:結婚や妊娠、子育てなどライフスタイルの変化

保育士は女性が9割以上と非常に女性比率の高い仕事です。

新卒から保育士の仕事についた場合、10年目は30〜32歳くらいの年齢となり、結婚や出産などライフステージの変化を迎え始め、仕事とのバランスが取れなくなってしまうことがあります。

最近では結婚や出産をしても働き続ける環境を整える保育園も増えていますが、家庭との両立に不安を抱え退職を検討する保育士は少なくありません。

プライベートでこれまでの働き方を考え直すきっかけが退職への意思へ繋がっていくことがあります。

理由4:昇進やキャリアップがない

10年目の保育士は、専門職リーダーや副主任、主任保育士など役職へのキャリアアップしている人が多い時期ですが、保育園によっては役職の空きがなかったりキャリアプランが明確ではない場合があります。

役職の空きがなかったりキャリアプランが明確ではない場合、昇進に伴う昇給などの手当もないため、今後のキャリアに不安を感じてしまうことがあります。

保育園のキャリア制度のプランがない場合、今後の保育士としてのキャリアに不安を感じることから他の保育園への転職などを考えることになります。

理由5:責任の重い仕事を任せられる事が多く、プレッシャーに耐えられない

10年目の保育士はベテランと言われる保育士になります。

役職などにも就き、仕事への責任は重くなるばかりです。

もちろん積み重ねてきた経験があるものの、日々の保育中のプレッシャーに精神的に追い込まれる方もいます。

プレッシャーへの考え方は人それぞれですが、「自分だけがプレッシャーに耐えられないのではないか」と感じてしまう場合、より精神面での不安定さが生まれ仕事をすること自体もままならなくなってしまうことで辞めたいと考えるようになる方もいます。

理由6:体調やメンタル面に影響が出てきている

保育士は子どもたちとの遊びや抱っこなど日頃から体力が必要です。

特に腰痛は保育士の職業病とも言えるほど多くの保育士が悩んでいる症状なので、10年目にもなると、腰痛など体調面へのケアをされている人は多いと思います。

また、日常保育の他、役職者などとしてのプレッシャーなど体調面、メンタル面で不調が出てきてしまうこともあり、結果的に仕事ができなくなってしまうようになります。

10年目の保育士が辞めたいと思った時は健康状態で判断しよう

10年目まで続けてきた保育士にとって辞めるという決断には勇気が必要です。

これまで長年積み上げてきたキャリアや居心地の良さなど、今の職場にも良い面がたくさんあるからこそ続けてきたという側面もあります。

では、本当に辞めるべきかどうなのかの判断はどこですれば良いのでしょうか。

辞める・辞めないの判断基準の一つの目安となるのが健康状態です。

ここからは、健康状態によって判断する行動についてご紹介します。

<1>健康状態が悪い場合は、すぐに休職や退職の相談をしよう

退職を考えた理由に体調や精神面の限界を感じている場合、すぐにでも休職などの手続きを進めることが大切です。

すでに限界まで達している場合は、冷静な判断はできず、安易に退職を選んだとしてもその後の道も冷静に判断できるとは限りません。

まずはゆっくりと体と心を休め、自分の考えをまとめる時間を作ることが先決です。

10年目の保育士は、休職制度などの活用も可能ですし、万が一休職が取れずに退職となってしまったとしても、失業保険などの給付もあります。

保育士の仕事は身体が資本です。

まずはゆっくりと自分を労わることを優先し、その後に今後のことが考えられる状況を作っていきましょう。

<2>健康状態に余裕がある場合は、3日以上のまとまった休みや、短期休職で少し休んでみよう

健康状態に多少の余裕があるものの、冷静に考える時間がないと思う場合は思い切って3日以上のまとまった休みか短期休職をとって、職場から離れる時間を作ってみることも一つの方法です。

忙しい日々から一旦離れ、冷静に今の状態を考えてみましょう。

辞めることだけが正しい選択でも、今の保育園で頑張り続けることだけが正しい選択でもありません。

今、あなたがどうしたいのか、これからどのような保育士としてのキャリアを築いていきたいのか、自分だけでなくパートナーや子どもたち家族など含めてどのような働き方が理想的であるのかなど、紙に書き出すのもおすすめです。

保育士はとにかく忙しすぎることが問題の一つでもあるので、意図的に時間を作り出すようにしてみることで冷静になれるかもしれません。

<3>健康状態に問題がない場合は、普通に転職を考えよう

健康状態に問題がなく、退職の意思が固まったら、まずは在職のまま転職活動をしてみましょう。

転職活動をすると、まずは職務経歴書を作成したり、自己PR、転職理由などを考えることになります。

自分の考えをまとめ、感情的に嫌になっているのか、今後を見据えて転職をしたいのかなど自分自身のことを言語化することでより転職に向けて今後の自分の希望が明確になります。

また、転職活動では他の保育園の情報を知ることになります。

自分が次の道でやろうとしていることが叶うのかどうかや他の保育園の様子を知ることができることで、自分の考えに沿った転職をすることも可能ですし、反対に今の保育園の良いところや向いているところが見えてくるかもしれません。

転職先に迷っている場合は、派遣保育士登録をしておくのがおすすめ!

今後の転職先に迷っている場合は、一旦派遣保育士として働いて今後のキャリアや働き方について考えていく方法もあります。

10年目の保育士の場合、「辞めると今までのキャリアが崩れてしまうのでは」という考ええる方は多いと思います。

体調やメンタルに余裕がある場合は、正職員としてブランクなく転職をするのが最善の策ですが、体調やメンタルに不安がある場合は一旦派遣保育士として働きながら、体調やメンタルが整ったタイミングで正職員に戻るのがおすすめです。

派遣というとあまり良いイメージを持っていない方は多いと思いますが、実は保育士の場合は雇用、給与、仕事量などの面で安定した働き方と言えます。

例えば、給与の面では時給1,200円〜1,800円が相場となっています。

正職員の給与を時給換算すると、相場は約1,527円なので、それほど差はありません。※1

また、仕事量の面では、派遣保育士は基本的に保育補助などのサポート的な役割を担当することになるため、正職員よりも肩の力を抜いて働くことができます。

また、ライフスタイルの変化があれば、柔軟に働き方を変えることができるので、結婚、妊娠・出産、夫の転勤などの予定がある方にもおすすめです。

派遣保育士から正職員に戻る場合は、応募や面接などの手順を踏む必要がありますが、保育士専門の人材派遣会社である明日香では、派遣だけではなく正職員の求人も取り扱っているため、派遣として働いている時期から正職員として転職活動を行う時期まで、サポートを受けることができます。

転職先に迷っている場合は、派遣保育士も視野に入れて転職活動を進めてみてください。

※1:厚生労働省「令和3年度賃金構造基本統計調査」より

10年目の保育士が辞める一般的な流れ

退職を考えたとき、まず最初に行うことは退職の意思を伝えることです。

法的には退職希望日の14日前までに申告をするようになっていますが、一般的には1ヶ月程度前に申告するのが良いとされています。

まずは直属の上司に退職意思を伝え、その後園長に伝えます。

園長に伝えた後、保育園側から退職に関する書類等が発行されますので提出します。

退職日には保険証や貸与品の返却を行い退職となります。 

一緒に働く同僚などに伝える場合は、保育園側の指示に従うようにしましょう。

職場の環境などに配慮して情報の解禁日を設ける保育園もあります。

また、引き継ぎについても、後任者が困ることのないようにできる限りしっかりと行うことで、あなた自身の今後の成長に繋がります。

子どもたちや保護者へ退職を伝えるかどうかも保育園の方針によります。

せっかく関わりのあった方々へ直接自分から伝えたいという思いがあったとしても、今後の影響を考えて退職後にプリントなどで伝えるのみにするなど保育園側にも方針があります。

周囲への混乱を招かないためにも、退職についてどのように伝えるかは園長や上司に聞いてみてから進めるようにしましょう。

保育士10年目で辞めたいと思った人によくあるトラブルと対処法

仕事も完全に理解し、重要な役職を任されるようになった10年目の保育士が辞めたいと考え始めると、さまざまなトラブルがあります。

具体的にどのようなトラブルがあるか、事前に知っておくことで対応も変わります。

ここからはよくあるトラブルについて解説します。

トラブル1:自分が辞めたら保育園が大変…と考えると転職や退職に踏み切れない

10年目の保育士は責任のあるポジションにいるだけに、今自分が抜けてしまうことによる周囲への迷惑を考えてしまいます。

人員不足と言われる保育業界で、自分のポジションをそのまま引き継ぐことのできる後任保育士がすぐに採用できるわけではないことも理解しているため、辞めるということを自分のわがままのように感じてしまい、退職の相談さえ踏みとどまってしまうこともあります。

周りの保育士が大変になるかもしれないのであれば、通常よりも早いタイミングでの退職交渉により後任採用までの時間をたっぷり作ることもできますし、しっかりと引き継ぎ書を作成することで周りへの困りごとを最小限に抑えることができます。

トラブル2:人間関係が悪く、休職や退職の相談を園長などにできる状態ではない

退職の第一歩は園長や上司へ退職意思を伝えることですが、そもそも人間関係が悪く退職の意思さえ伝えられない、聞いてもらえない場合もあります。

退職の意思を伝えられない、聞いてもらえない場合は、まずはお住まいの地域の労働基準監督署にある退職相談窓口に相談してみることをおすすめします。

退職に関するトラブル自体は労働基準監督署が直接介入してくれる問題ではありませんが、窓口の相談員たちは数々の退職に関する相談を受けているため、個々の状況に応じた解決手段について相談に乗ってくれるはずです。 

また、最近では退職代行サービスを提供している業者もあります。

どうしても直接の交渉ができない場合は、こうしたサービスを利用することも検討してみましょう。

任されている仕事的に、園側になかなか休職や退職を認めてもらえない

10年目の保育士は保育園にとってすぐに替えが効く人材ではありません。

そのため、保育園に休職や退職をすぐに認めてもらえず引き止め交渉が長引くこともあります。

休職に関しては、すでに体調や精神面に限界がきている場合、医師の診察を受け診断書を提出しましょう。

退職についてはさまざまな引き止め交渉がありますが、自分自身が決断したことについて強い意志を持って交渉するしかありません。

あいまいな返答を避け、期限を設けた話し合いを心がけましょう。

体力的にも精神的にも限界で、相談する気力がない

すでに体力的にも精神的にも限界で気力さえわかない場合は、まずは医療機関を受診しましょう。

退職などの交渉をするためには、普段以上のエネルギーが必要ですがすでにあなたの心や体が悲鳴をあげている状態では難しいです。

まずは医療機関の診断書を持って、休職などを求め、心身を休ませることだけに専念しましょう。

今後の転職先や、金銭関係の不安から休職や退職をしたくてもできない

仕事を辞めると当然給料がなくなります。

次の仕事がすぐに見つかるのか、金銭的に生活していけるのかなど不安になるものです。 

体調面に問題がないようであれば、次の転職先は今の保育園にいる間にしておく方がおすすめです。

現在は保育士不足が続いており、10年のキャリアのある保育士にはたくさんの求人があります。

退職前に次の転職先が決まっていると安心して退職できます。

仮に次の転職先がない場合であっても、10年目になる保育士は雇用保険などから失業手当など社会保険の適用を受けることができます。

支給までに時間はかかるため、一定の貯金は必要ですが、正規の手続きをして給付金を受け取ることも可能です。

また、短期でのベビーシッターや保育士派遣など正社員の雇用形態よりも短期間で仕事に就くことができる雇用形態もあります。

保育士自体は需要の高い仕事なので、そこまで不安にならなくとも大丈夫です。

同じ保育園に10年いたので、他の保育園や転職先に馴染めるかが不安

10年も同じ保育園で続けていると、ある程度今の保育園に居心地の良さも感じている方も多いでしょう。

また、10年の間に途中入社してくる保育士などが新しい環境に馴染むために苦労している姿を見ていることもあります。

そのため、新しい環境にいって同じように心地よい環境で仕事がすぐにできるとは考えられず、辞めることをためらってしまうこともあります。

たとえ10年目であっても、自分の体調がどうか?を優先に考え、辞めるかどうかは判断しよう!

10年目の保育士は、保育園でもベテランと言われる立場となり、役職への責任感や積み上げてきたキャリアを失う怖さなどから辞めることに気後れしてしまう気持ちが出てきます。

また、仕事の全体が見えているからこそ、自分が辞めた後の保育園運営を心配する気持ちもあるでしょう。

長年勤めた保育園には少なからず愛着もあるはずです。

しかし、そんな思いを持った上でなお辞めたいという気持ちを固めた場合、退職や転職は悪いことではありません。

そして、体調やメンタル面での健康は何にも変えられるものではありません。

責任感や周囲の目を気にしすぎることよりも、あなた自身の本心を大切にしましょう。

もしも転職に関して悩んでいる場合は、まずは次の登録フォームから保育士登録をして、専任コーディネーターに現在抱える悩みなどを相談してみてください。

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