保育のコラム

幼保一元化とは?幼保一元化のメリットと問題点

2017/10/05

幼保一元化のメリットと問題

 

ニュースなどで、「幼保一元化」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。しかし、実際にはどのようなことなのかを把握している方は少ないかもしれません。

 

待機児童解消などに期待が持たれている幼保一元化ですが、現状を見ると改善すべき点も存在します。

そこで今回は、幼保一元化のメリットと問題点をご紹介します。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

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幼保一元化とは?

 

 

 

幼保一元化

 

幼保一元化とは、幼稚園と保育園の一元化を目指す政策のことです。

所管や法令、目的、対象年齢などにおいて明確に区別されていた2つの施設を一元化することで、教育水準の均等化や育児サービスの効率化を図ります。

「幼保一体化」という呼称が使用される場合もありますが、両者に意味の違いはありません。

 

幼保一元化が誕生した背景には、少子化による幼稚園の経営難や待機児童問題などがありました。最近では共働き家庭の増加など、家庭環境の多様化に伴い、求められる保育のニーズも多様化しています。

 

そのため、幼稚園と保育園という二元的な制度は時代と合わなくなってきたとされ、2003年に幼保統合施設の制度化が打ち出されました。

2006年には「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が制定され、幼保一元化を初めて形にした施設として「総合子ども園」の創設を目指しました。

総合こども園は、幼稚園と、0~2歳を対象とした認可保育所でのサービス実施を計画していましたが、2014年に行われた修正協議によって創設は見送られ、現行の「認定子ども園」を拡充していく方向にシフトチェンジしています。

 

 

幼保一元化のメリット

 

 

 

幼保一元化のメリット

 

幼保一元化の最大のメリットとしては、幼稚園と保育園2つの施設の長所が生かせることが挙げられます。

 

幼稚園の立場から見ると、従来では短い時間しか保育できませんでしたが、幼保一元化を行うことで延長保育が受けられるようになります。さらに、幼稚園では預かることのできない満3歳未満の乳幼児の入所も可能です。

 

 

一方、保育園からの観点では、入所条件として「保護者が就労していること」を挙げていますが、その条件が緩和されるため入所しやすくなることがメリットでしょう。

 

 

また、保育と教育を一緒に受けられることもメリットの1つです。

 

最近は、読み書きや英会話などを教えている保育園が増えているものの、あくまで保育園は教育ではなく保育を担う施設になります。

しかし、幼保一元化することによって子どもたちは幼稚園教育を受けられるようになるため、就学への不安を軽減することが可能になります。家庭環境や年齢が異なる子どもと接することになるため、就学後の集団生活にもなじみやすくなるでしょう。

 

幼保一元化の問題点

 

 

さまざまなメリットがある幼保一元化ですが、実際に幼稚園と保育園が一元化された際に、適切な保育環境や教育内容をどう保障していくべきか、まだ十分に議論されていません。

 

また、幼保一元化の運用を始めてから期間が短い施設が多いため、幼稚園教諭と保育士との間に職務上の混乱が生じることが予想されます。

 

昼食の方法や乳幼児1人あたりに付く職員の数など、さまざまな点で調整を行う必要があります。また、職員は幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を取得する必要があるため、人材の確保も重大な問題の1つといえるでしょう。

 

 

さらに、幼稚園の施設内に乳児保育用の施設や給食室などの設置も必要となるため、大幅な改築を行わなければなりません。

 

このような理由から、万全な状態で子どもを預けられるような環境を整えるためには、しばらく時間を要することになるでしょう。

 

 

おわりに

 

 

 

今回は幼保一元化の概要と、そのメリット、問題点についてご紹介しました。

 

さまざまな問題点はあるものの、幼保一元化が実現されれば効率的な運営を期待することができます。

さらに、保育士にとっては活躍の場が増えるきっかけとなるかもしれません。今後の動向にも注目していきましょう。

 

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