保育のコラム

保育士と幼稚園教諭の違いは?仕事内容や活用できる職場、資格の取得などを比較!

2021/10/25

小学校入学前の子どもたちを預かる場所には大きく保育園と幼稚園があります。

 

そこで働く保育士と幼稚園教諭、どちらも子どものお世話をする仕事となりますが、実際はどのような違いがあるのでしょうか。

 

また、すでにどちらかで働いている場合、もう一方の仕事へキャリアチェンジすることは可能なのでしょうか。

 

今回は、知っているようで知らない保育士と保育園教諭の違いから、キャリアチェンジが可能かどうかまでをご紹介します。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

保育士と幼稚園教諭の違いって何?

 

保育士と幼稚園教諭の1番の違いは管轄省庁です。

保育士

厚生労働省

幼稚園教諭

文部科学省

 

管轄省庁の違いは、子どもへ提供する専門性も異なります。

 

保育士は、保育に欠ける子どもに対する福祉的観点による「保育」であるのに対し、幼稚園教諭は教育的観点による「教育」を担い、それぞれ同じように子どもに接していても異なるねらいを持って子どもに接しています。

 

では、具体的に仕事内容や働ける場所、資格の取り方などについて違いはあるのでしょうか。

 

ここからはそれぞれの違いについてご紹介します。

 

.仕事内容はどう違う?

 

保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いを下記の表にまとめてみました。

 

 

保育士

幼稚園教諭

子供の年齢

0歳から小学校就学前

満3歳から小学校就学前

保育目的

専門的な知識や技術を持って生活全般に関わる指導を行う

適切な環境を整えて幼児期の心身の成長を助ける

保育時間

標準8時間

標準4時間

勤務体制

シフト制

固定時間制

勤務時間

8時間

8時間

 

保育士は「保育に欠ける子ども」を預かることが前提なので、保護者の代わりに預かる時間は多くなります。

 

また、年齢についても違いがあります。

 

それに伴い保育士の勤務体制も異なります。

 

原則的に就業時間自体は8時間ではあるものの、子供の預かり時間が長い保育園ではシフト制により朝7時くらいから出勤する早番と夕方19時ごろまで勤務する遅番などがあります。

 

一方で、幼稚園では一定時間の保育時間のためほとんどの幼稚園教諭が同じ時間に出勤、退勤します。

 

保育内容も、生活を介助する保育園と、教育的成長を助ける幼稚園では大きく異なります。

 

ただし、最近は保育園でも小学校入学時に学力的差が出ないように教育に力を入れる保育園も多くなってきています。

 

※勤務体制や勤務時間等は園により異なります

 

働ける場所(職場)に違いはある?

 

保育士が働ける職場は、保育園以外にも児童養護施設など子どもの福祉に関わる多彩な職場で働くことができます。

 

一方で、幼稚園教諭が働ける職場は幼稚園、認定こども園などが多くなります。

 

決して優劣があるわけではありませんが、資格のもつ特有の専門性が異なるため、資格自体を幅広く活かしたい場合は、保育士の方が多様な広がりがあるといえます。

 

保育士と幼稚園教諭の資格の取り方は?

 

同じ子どもの保育という側面がありながら、性質の異なる保育士と幼稚園教諭。

 

どちらも国家資格に当たりますが、資格の取り方から異なるのでしょうか。

 

ここからは二つの資格の取得についてご紹介します。

 

保育士資格

 

保育士資格を取得するためには2つの方法があります。

 

一つは、試験を受験して合格する方法と、指定の保育士養成機関(専門学校、短大・4年制大学)で単位を取得し卒業する方法です。

 

試験を合格して保育士資格を取得する場合は、独学や通信講座、専門スクールなど、様々な方法で保育士資格の取得を目指すことができるので、社会人になった後に国家資格を受験する方も増えています。

 

保育士資格を取得した後、都道府県知事に対して登録申請手続きを行い、保育士証の交付を受け、正式に保育士として働くことができるようになります。

 

保育士資格の具体的な受験に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。

 

>>「保育士になるには?主婦や社会人でもなれる?保育士資格を取る方法

 

幼稚園教諭免許

 

幼稚園教諭免許は、大学や短大の幼稚園教諭の教職課程を卒業することで資格を取得できます。

 

そして、幼稚園教諭免許資格取得後は、都道府県教育委員会に申請し免許状が授与されます。

 

幼稚園教諭免許状には「1種」「2種」「専修」の3種類があります。

 

1種は4年制大学を卒業した人、2種は短期大学・専門学校を卒業した人、専修は大学院を修了した人に発行される免許状ですが、内容に違いほとんどありません。

 

ただし、2種に比べて1種や専修のほうが免許状取得までの学習期間は長いこともあり、就職後に月収が高い傾向にあります。

 

保育士と幼稚園教諭、両方の資格を取得するためには?

 

保育士と幼稚園教諭の両方を取得する職員のことを保育教諭といいます。

 

そして、現在増えている幼保連携型認定こども園は、学校教育と保育を一体的に提供する施設であるため、「保育士資格」と「幼稚園教諭免許状」の両方の免許・資格を有することを原則としています。

 

通常、保育士・幼稚園教諭それぞれの養成課程がある大学・短大で、カリキュラムを履修すれば両方の資格を取得できますが、現時点で片方の資格のみを保有している場合、もう一方の資格を得るにはどのようにすれば良いのでしょうか。

 

ここからは現在片方のみの資格を保有している人が、もう一方の資格を得る方法をご紹介します。

保育士が幼稚園教諭の資格を取得する方法

 

幼稚園教諭は、本来、指定養成機関である大学・短大で単位を取得する必要があります。

 

しかし、現在は幼保特例制度を利用することで、一定の保育士の実務経験があれば、少ない学習負担で幼稚園教諭免許が取得できます。

 

特例措置を受けられる受講資格は下記の通りです。

幼稚園教諭一種免許状

出願時に学士の学位があり、保育士資格を有し、保育士として3年かつ4,320時間以上の実務経験がある方(見込みでも可)

幼稚園教諭二種免許状

出願時に高等学校を卒業しており、保育士資格を有し、保育士として3年かつ4,320時間以上の実務経験がある方(見込みでも可)

 

上記の受講資格を持った上で、下記の5科目8単位の習得が必要になります。

 

教職入門

2単位

教育制度論

2単位

保育課程論

1単位

保育内容と方法

2単位

幼児理解の理論と方法

1単位

 

上記科目を受講後各都道府県教育委員会に教育職員免許状の授与申請をすることで幼稚園教諭免許状が取得できます。

 

幼稚園教諭が保育士の資格を取得する方法

 

保育士の資格は指定養成機関である大学・短大・専門学校に通うか、それらに通わずとも試験に合格すれば取得可能です。

 

ただし、幼稚園教諭免許所有者は、免除申請をすることにより、「保育の心理学」、「教育原理」、「実技試験」が受験免除となります。

 

また、上記以外の残りの科目についても、指定保育士養成施設において科目履修等により筆記試験科目に対応する教科目を修得した場合はその限りではありません。

 

指定保育士養成施設が発行する「幼稚園教諭免許所有者保育士試験免除科目専修証明書」(幼教専修証明書)の提出により、証明書に記載の筆記試験科目が免除されます。

 

修得した教科目が、筆記試験科目に対応するかどうかは、卒業した(教科目を修得した)学校(養成施設)に確認が必要です。

 

幼保特例制度とは

 

上記で説明した保育士が幼稚園教諭免許を取得したり、逆に幼稚園教諭が保育士の取得をすることが簡易であるのは、幼保特例制度によるものです。

 

幼保特例制度とは、資格の併有を促進することを目的に、保育施設等における実務経験を評価して、もう一方の資格取得に必要な単位数などを軽減する制度のことです。

 

2015年に施行された「認定こども園法」により、幼保連携型認定こども園で働くためには、保育士資格・幼稚園教諭免許状の両方を持つ保育教諭となることが必須条件となりました。

 

そのため、2025年3月まで特例措置により、比較的学習負担が少ない形で資格や免許の取得ができるようになっています。

 

保育士・幼稚園教諭それぞれの特徴を知って、自分に合う仕事を見つけよう!

 

保育士、幼稚園教諭は子どもの保育をするという点においては同じ部分もあれば、違いもあります。

 

どちらが良いというよりも、それぞれの特徴を知った上で、自分にあった方を選択することが大切です。

 

また、保育教諭として、どちらの要素も活かせる働き方を選ぶことも可能です。

 

子どもを取り巻く環境が変わりつつある今、保育士や幼稚園教諭の働き方も変化してきました。

 

これから長くキャリアを積む中で、より自分にぴったりの働き方を目指していきましょう。

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