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2020年、子育てへの意識が高まった一年に コミュニティ創出で子育て家庭の孤立化の防止へ 2021年はオンライン・オフラインの両軸がカギ

2020.12.21ニュースリリース

 総合保育サービスを提供している株式会社 明日香(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 :萩野 吉俗、以下 明日香)は、子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」より保育業界に関する「2020年総括および2021年度展望レポート」を発表いたしました。

 

■コロナ禍で見出したオンラインにおける「保育の取り組み」の可能性

 新型コロナウイルスにより、4月に緊急事態宣言が発令されました。その結果、保育園の多くが休園に。新年度が始まる4・5月に保育の実践が行えなくなったことで、当社では、緊急事態宣言中に「オンライン保育園」を開催しました。オンラインにて保育園と園児の家庭を直接つなぎ、歌や読み聞かせ等をリアルタイムで実施しました。

 また、対面での実習が中止となった保育学生に向けて、「オンライン保育実習」を開催し、園の雰囲気や日頃の保育の現場を知る場として提供しました。就職前に実施される保育実習では実際に就職したあととのギャップを少なくし、活躍してもらうために行われていますが、今年はコロナの影響で保育園の受け入れができない状況となりました。

 オンライン保育実習の開催後、当社では保育実習を行わずに保育士資格の取得を目指す保育士希望者に向けて、2020年9月に「保育実習に関する実態調査(/topics/20200930.html)」を発表しました。本調査では、94.3%(n=106)の保育士希望者が保育園への就職に不安を感じ、うち4割(n=100)が「保育現場を知らないこと」を不安の理由にあげていました。

 

 

 

対面が基本である保育ですが、そのなかでもオンラインでの様々な取り組みに可能性を見出した2020年だったと言えます。


■休園中の保育士への対応が今後の課題に

 一方で、休園にならなかった保育施設も存在しています。医療関係者や介護施設従事者等エッセンシャルワーカーの子どもを預かる保育施設は、緊急事態宣言中も開園していました。エッセンシャルワーカーがコロナ禍でも現場に出ていることと同様に、保育士も彼らを支えるため、現場で保育を行っています。保育士も医療関係者と同様にエッセンシャルワーカーとして重要な役割を果たしていることが明らかになった一年であると言えます。その反面、感染症が拡大する中で今後保育士をどう守るかが課題にもなっています。

 当社では保育士を対象に「緊急事態宣言下における保育士の実態把握調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000043389.html)」を2020年6月に実施しました。この結果、69.4%の保育士が6月の保育園の開園にあたり不安を感じていた(n=98)ことが明らかになりました。緊急事態宣言下においては、開園するにあたり、感染者が出た際の対応や第二波への恐れを感じる声が寄せられました。この結果から、エッセンシャルワーカーとして日々業務を行いながらも、感染リスクを感じながら働いている保育士が多いことがわかりました。

 休園措置になった場合、各自治体からの指示によって保育園の対応が決まるため、園側の職員に対する取り組みは各園・法人で変わります。保育園は行政からの補助金によって運営されていることが多いため、事業者側が取り組みを行えることが少ないのが現状です。

 現在、当社が運営している保育園では全職員が復帰しています。ただし、コロナの第三波の可能性があるなかで、今後再び休園措置がとられる可能性を見越して、オンラインへの対応を強化することが事業者全体に求められるでしょう。オンライン対応の有無が保育園の質にも影響してくると考えています。

 保護者にとってオンラインでの対応が浸透する中で、事業者としてみたときに、保育園そして保育士を守という観点からもオンラインへの対応は急務だといえます。

 

■保護者・保育者によるコミュニティ共創の重要性

 また、当社では2020年は公式SNSを強化し、積極的に情報発信を行ってきました。コロナ禍での保育は今までよりも難しく、保育士を支えられるようなSNSをを目指しています。

 SNSを通じ、コロナ禍での子育て家庭や保育士等との関係性構築において「コミュニティ創出」の手段として有効でありながら、リアルとともに活用することが今後求められると考えています。オンラインでユーザーとつながることで、孤立しやすい子育て中の保護者とコミュニケーションをとる機会がうまれました。

 2020年7月に当社が発表した、子育て中の母親を対象とした調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000043389.html)では、緊急事態宣言中の育児と仕事の両立に悩む母親が78.0%(n=109)と、家庭内で育児を完結することの難しさを実感した親は多く存在しました。その一方で、外出自粛期間を経て、保育園・保育士の重要性を実感した母親は95.4%(n=109)と、改めて保育園の存在意義を感じる経験になった保護者も多いという結果が明らかになりました。

 テレワークや外出自粛を受け、保護者の在宅時間が飛躍的に増加しましたが、その結果、日々の子どもの様子を見る機会が増加した家庭も多いでしょう。また、保育園や保育士の重要性を多くの人が理解していることから、より良い保育のために、保護者とのコミュニケーションをより強化することが保育園に求められると考えています。

 2020年10月に発表した子育て中の母親を対象とした調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000043389.html)では、冬に向けた育児に関する悩みのうち、「先生やお母さん方とお話できないのがストレス」との声があがりました。感染リスクを留意しつつ、保護者の意見を吸い上げ、施設運営に活かす姿勢を示すことで、より信頼される保育園になるのではないでしょうか。

 

■2021年以降、保育事業者は「選ばれる保育園」としての取り組みが必要に

 2020年においては、コロナを受け各企業で事業・組織・人材の見直しが図られ、生産性の向上が強く求められました。この動きを保育業界としてみると、生産性は、保育の質の追求にあると言えます。保育を行うという業務内容の転換や時間短縮は難しく、そのためその業務時間内に行う保育の内容の質をいかに高められるかがポイントです。

 保育の質を高めることは、保育事業者にとって極めて重要になってきています。コロナの影響を受けながらも、多くの企業は国から企業への補償により倒産をある程度抑制されていました。しかしながら、大手企業の業績不振など、いまだに雇用面における危険性は多くはらんでいます。これまで共働きが不要だった家庭や、非常勤等の勤務で生活が賄われていた家庭等の生活が大きく変わる可能性があり、いわゆる潜在的待機児童(隠れ待機児童)がこれから爆発的に表面化する恐れがあります。

 一方で、国は2024年までに14万人分の保育の受け皿を拡張しようとしていますが、保育事業者から見れば、施設の増加を手放しで喜べるわけでもありません。現に、園児確保と保育士採用の両面で施設間の競争が今まで以上に激化しています。実際に、保育施設の中には、十分な園児が確保できず、閉園となるケースも出てきています。「持続可能な保育施設運営」から遠ざかれば少子化対策どころではありません。

 それではどうなっていくべきなのか。それは、保育事業者も「選ばれる保育園」であるという意識を持ち、保育の質を高めていくことが必要です。この第一歩は、「保護者とのコミュニケーション」です。

 例えば、今回のコロナでの休園措置について、保護者に書面でのみ通知した保育園が多いと考えますが、例えばオンラインを活用して保護者向けオンライン説明会を実施し、質問を受け付けるなど、コミュニケーションを取る方法はいくつも存在します。

 このような状況下の今こそ、保育事業者間のパートナーシップを深め、知見や経験を共有し、保育業界の持続可能性を真剣に取り組む時期だと考えます。当社は、今年一年の取り組みとして、保育と地域、保育と保護者等を繋ぐ「子ねくとラボ」事業として、保育や育児にまつわる数多くの調査を発表しました。保育従事者だけでなく、子育て家庭や保育学生など育児にかかわる様々な層の思いや現状を発信しました。2021年に向け、当社ではより一層、保育に関する実態調査やレポートを発信し、保護者と保育が接点を持ち、業界全体の地位向上を目指します。