潜在保育士とは?保育士が現場復帰しない理由と行われている対策
2020/02/26

「保育士不足」という言葉を聞いたことがありますか?
実際に、保育士不足で閉園せざるをえない保育園もあり、保育士不足は深刻な社会問題のひとつです。
そこで注目されているのが「潜在保育士」と言われる保育士です。
では、潜在保育士とは一体どのような保育士なのでしょうか?
今回は、保育業界における保育士不足解消の救世主になりうる潜在保育士について詳しくみていきます。
【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
そもそも潜在保育士とは?
潜在保育士とは、保育士資格を持っているにもかかわらず、保育士として働いていない人のことを言います。
実は、保育士資格をもつ178万人のうち、実際に保育士として働いている人はわずか68万人で、潜在保育士は110万人もいるとされています(参考:子ども家庭庁「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」)。
毎年多くの保育士が誕生しますが、
「保育士は国家資格なのに報われない」
「保育士の仕事と家庭は両立できない」
などを理由に仕事を離れていく人が多いのが現状です。
潜在保育士が現場復帰しない主な理由とは?
潜在保育士が保育の現場に復帰しない主な理由は何なのでしょうか。
東京都福祉局「令和4年 東京都保育士実態調査」によると、保育士の復職意向は、「雇用の条件さえ合えば、働きたい又は保育の仕事に転職したい」が59.0%となっています。
つまり、潜在保育士の過半数は、条件さえ整っていれば復職したいと思っていることがわかりました。
その復職するための条件が以下の内容です。
・勤務時間(1日)
・給与等(年収)
・通勤時間(片道)
ここからは、それぞれの理由について詳しく説明していきます。
理由1:勤務時間(1日)
保育士は、女性が9割を占める職業です。
女性は、結婚・出産・育児というライフイベントが重なるうえに、家庭の仕事はまだまだ女性が担うことが多いのが現実です。
そのため、保育士の仕事と家庭を両立させる難しさを感じてしまいます。
というのも、保育士の仕事は、基本的にシフト制です。
朝番は7時から、遅番は19時までなど、朝早く、夜遅くの勤務になりがち。
近年では、延長保育や夜間保育なども一般的になってきており、21時ごろまで勤務することも珍しくはありません。
自分自身も子どもを抱えていると、両親などのサポートが充実していない限り、勤務時間を全うすることが難しいのです。
理由2:給与等(年収)

保育士は専門性が高く、責任も重い仕事であるにもかかわらず、他業種と比較すると給料が見合っていないと感じる人が多くいます。
とくに子育てや、生活費がかかる世代にとっては、現在の給与水準では家計を支えるのが難しいと感じるケースも少なくありません。
また、正規職員であっても残業代がつかない場合があり、「やりがい」だけでは保育士の仕事を続けにくいという現実があります。
収入面の不安が解消されなければ、復職に踏み切れないのも当然です。
理由3:通勤時間(片道)
保育園の勤務は、早朝から始まることが多く、家を出る時間が非常に早くなることがあります。
とくに、子育て中の保育士や親の介護など、家庭の事情を抱える人にとって、長い通勤時間は大きな負担です。
勤務地が限定される保育業界では、希望に合った勤務地が見つからないことも珍しくありません。
結果として、遠方への通勤を強いられることがあります。
満員電車やバスでの移動も体力的なストレスとなり、復職へのハードルとなっています。
通勤負担の軽減は、保育士の働きやすさに直結するため、柔軟な配置やリモート対応できる業務の導入が今求められます。
潜在保育士が復帰しない理由は他にもある
これまで、潜在保育士が復職をためらう理由について見てきました。
もちろん、これらが大きな理由となっているわけですが、実はそればかりではないのです。
実は、潜在保育士が復職をためらう隠れた理由に「ブランク」があります。
保育の現場から離れていた期間が長いと、制度や保育内容の変化についていけるか不安を感じる人が多くいます。
とくに、ICT(情報通信技術)化や、保育指針の改定など、現場の環境が大きく変わっていることもあり、「自分に務まるだろうか…」と自信をなくすケースも少なくありません。
ほかにも、ブランクがあることで職場の人間関係にうまくなじめるかという心配もあります。
再スタートの不安を軽減するには、復職支援研修やサポート体制の充実が不可欠です。
安心して復職できる環境づくりこそが、多くの潜在保育士の背中を押すことにつながるでしょう。
潜在保育士の復帰のために行われている対策とは?
潜在保育士の復帰・復職に関して、地方自治体や民間企業で様々な政策が行われています。
地方自治体では、再就職支援のための知識や、スキル向上のためのセミナーなどが開催されています。
潜在保育士が復帰の際に不安に思う「最新の知識・技能」について補完する取り組みがあります。
また、民間企業では、時短勤務や派遣勤務など「家庭との両立」に向けた取り組みが実行されています。
詳しくは、次の記事にまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。
家庭との両立しやすい労働環境をつくる事が大切

保育士資格を取得している人の多くは、もともと「子どもが好き」で保育士を志しており、保育士業務を離れてもその気持ちが消えたわけではありません。
しかし、自分自身の生活や、ライフステージの変化が、保育士に復帰できない理由になっています。
そのため、保育士の給料だけでなく、労働時間の柔軟さ、ブランクの解消などが潜在保育士を復職させるカギとなるでしょう。
そして、保育園だけでなく、保育士を支援するあらゆる民間企業、自治体が働きやすい労働環境を作るべく動き出しています。
もし、あなたが保育士へ復職したい希望があれば、これらの施策を利用し、復帰する道を選ぶことができます。
保育士として、自分のライフステージとともに働ける時代が今来ているのです。
カテゴリ
保育士キャリア
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「保育士不足」という言葉を聞いたことがありますか?
実際に、保育士不足で閉園せざるをえない保育園もあり、保育士不足は深刻な社会問題のひとつです。
そこで注目されているのが「潜在保育士」と言われる保育士です。
では、潜在保育士とは一体どのような保育士なのでしょうか?
今回は、保育業界における保育士不足解消の救世主になりうる潜在保育士について詳しくみていきます。

【記事監修】ずっと保育士編集部
「ずっと保育士」は、保育ひとすじ30年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。
そもそも潜在保育士とは?
潜在保育士とは、保育士資格を持っているにもかかわらず、保育士として働いていない人のことを言います。
実は、保育士資格をもつ178万人のうち、実際に保育士として働いている人はわずか68万人で、潜在保育士は110万人もいるとされています(参考:子ども家庭庁「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」)。
毎年多くの保育士が誕生しますが、
「保育士は国家資格なのに報われない」
「保育士の仕事と家庭は両立できない」
などを理由に仕事を離れていく人が多いのが現状です。
潜在保育士が現場復帰しない主な理由とは?
潜在保育士が保育の現場に復帰しない主な理由は何なのでしょうか。
東京都福祉局「令和4年 東京都保育士実態調査」によると、保育士の復職意向は、「雇用の条件さえ合えば、働きたい又は保育の仕事に転職したい」が59.0%となっています。
つまり、潜在保育士の過半数は、条件さえ整っていれば復職したいと思っていることがわかりました。
その復職するための条件が以下の内容です。
・勤務時間(1日)
・給与等(年収)
・通勤時間(片道)
ここからは、それぞれの理由について詳しく説明していきます。
理由1:勤務時間(1日)
保育士は、女性が9割を占める職業です。
女性は、結婚・出産・育児というライフイベントが重なるうえに、家庭の仕事はまだまだ女性が担うことが多いのが現実です。
そのため、保育士の仕事と家庭を両立させる難しさを感じてしまいます。
というのも、保育士の仕事は、基本的にシフト制です。
朝番は7時から、遅番は19時までなど、朝早く、夜遅くの勤務になりがち。
近年では、延長保育や夜間保育なども一般的になってきており、21時ごろまで勤務することも珍しくはありません。
自分自身も子どもを抱えていると、両親などのサポートが充実していない限り、勤務時間を全うすることが難しいのです。
理由2:給与等(年収)
保育士は専門性が高く、責任も重い仕事であるにもかかわらず、他業種と比較すると給料が見合っていないと感じる人が多くいます。
とくに子育てや、生活費がかかる世代にとっては、現在の給与水準では家計を支えるのが難しいと感じるケースも少なくありません。
また、正規職員であっても残業代がつかない場合があり、「やりがい」だけでは保育士の仕事を続けにくいという現実があります。
収入面の不安が解消されなければ、復職に踏み切れないのも当然です。
理由3:通勤時間(片道)
保育園の勤務は、早朝から始まることが多く、家を出る時間が非常に早くなることがあります。
とくに、子育て中の保育士や親の介護など、家庭の事情を抱える人にとって、長い通勤時間は大きな負担です。
勤務地が限定される保育業界では、希望に合った勤務地が見つからないことも珍しくありません。
結果として、遠方への通勤を強いられることがあります。
満員電車やバスでの移動も体力的なストレスとなり、復職へのハードルとなっています。
通勤負担の軽減は、保育士の働きやすさに直結するため、柔軟な配置やリモート対応できる業務の導入が今求められます。
潜在保育士が復帰しない理由は他にもある
これまで、潜在保育士が復職をためらう理由について見てきました。
もちろん、これらが大きな理由となっているわけですが、実はそればかりではないのです。
実は、潜在保育士が復職をためらう隠れた理由に「ブランク」があります。
保育の現場から離れていた期間が長いと、制度や保育内容の変化についていけるか不安を感じる人が多くいます。
とくに、ICT(情報通信技術)化や、保育指針の改定など、現場の環境が大きく変わっていることもあり、「自分に務まるだろうか…」と自信をなくすケースも少なくありません。
ほかにも、ブランクがあることで職場の人間関係にうまくなじめるかという心配もあります。
再スタートの不安を軽減するには、復職支援研修やサポート体制の充実が不可欠です。
安心して復職できる環境づくりこそが、多くの潜在保育士の背中を押すことにつながるでしょう。
潜在保育士の復帰のために行われている対策とは?
潜在保育士の復帰・復職に関して、地方自治体や民間企業で様々な政策が行われています。
地方自治体では、再就職支援のための知識や、スキル向上のためのセミナーなどが開催されています。
潜在保育士が復帰の際に不安に思う「最新の知識・技能」について補完する取り組みがあります。
また、民間企業では、時短勤務や派遣勤務など「家庭との両立」に向けた取り組みが実行されています。
詳しくは、次の記事にまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。
家庭との両立しやすい労働環境をつくる事が大切
保育士資格を取得している人の多くは、もともと「子どもが好き」で保育士を志しており、保育士業務を離れてもその気持ちが消えたわけではありません。
しかし、自分自身の生活や、ライフステージの変化が、保育士に復帰できない理由になっています。
そのため、保育士の給料だけでなく、労働時間の柔軟さ、ブランクの解消などが潜在保育士を復職させるカギとなるでしょう。
そして、保育園だけでなく、保育士を支援するあらゆる民間企業、自治体が働きやすい労働環境を作るべく動き出しています。
もし、あなたが保育士へ復職したい希望があれば、これらの施策を利用し、復帰する道を選ぶことができます。
保育士として、自分のライフステージとともに働ける時代が今来ているのです。