保育のコラム

保育士の派遣は禁止されている?働くうえで知っておきたいことを解説

2025/07/11

派遣を検討している保育士の中には、「派遣保育士って、本当に禁止されていないの?」という疑問を抱える方が少なくありません。

その理由は、医療業務など人の生命を預かる仕事は派遣で働くことは禁止されているからです。

結論からいうと、現在、保育士派遣は労働者派遣法の対象職種として認められているため、違法ではありません。

それでも「派遣保育士って本当に大丈夫なの?」と感じる方がいるのは、法律が昔から現在へと変化していったことによって、間違ったイメージが広がってしまったことが原因のひとつです。

この記事では、派遣保育士の法律での立場や、実際の現場での働き方、気をつけたい契約のポイントまで、わかりやすくまとめて解説します。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

保育士の派遣は法律で禁止されている?

保育士の派遣は、法律で禁止されているわけではありません。

ルールを守っていれば、派遣という形で働くことは可能です。

ただし、2015年に「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)」が見直されて、派遣で働く方が同じ職場で長くなりすぎないようにするための決まりができました。

このとき、「ひとりの派遣スタッフが同じ場所で働けるのは最長で3年まで」とされました。

このルールの目的は、「派遣は一時的な働き方」という前提を守りながら、長く安定して働けるようにしたり、正社員になるチャンスを増やすためです。

保育の現場でも、働く方が短期間で入れかわってばかりでは、子どもたちが安心して過ごしにくくなってしまうもの。

そうした心配を減らすために、国や自治体がガイドラインを出していることもあります。

つまり、派遣保育士は「だめ」なのではなく、「きちんと決まりを守れば働ける」というのが正しい理解です。

詳しく知りたい方は、厚生労働省による、「児童福祉施設の設備および運営に関する基準」を参考にしてみてください。

ただし、派遣保育士としての副業は禁止されるケースも

派遣保育士として働いている方でも、副業ができない場合があります。

副業ができるかどうかは、働いている保育園の種類や、雇われ方(働き方)によって決まります。

たとえば、公立の保育園で働いている方は地方公務員にあたるため、法律で副業が禁じられているのです。

たとえ短時間のアルバイトでも、許可を取らずに他の仕事をしてしまうと、あとから問題になることがあります。

実際に、こっそり副業をしていたことでバレて、懲戒処分(会社や役所から罰を受けること)になったというケースもあります。

一方、私立の保育園で働く場合は、公務員ではないため、副業がすぐに禁止されるわけではありません。

ただし、正社員として働いているなら、雇い主が決めている就業規則の中に「副業は禁止」と書かれていることもあります。

就業規則を知らずに始めてしまい、あとから見つかって解雇されてしまうおそれもあるので、必ず会社にたずねて確認しておきましょう。

また、私立の保育園でパートや派遣として働いている場合、副業が可能なケースもあります。

ただし、働きすぎて体調をくずしてしまえば、本業に影響が出てしまいます。

副業は、自分のスキルや収入を増やせる良い方法でもありますが、体や時間、ルールに無理がないかをしっかり考えてから始めることが大切です。

派遣保育士がやってはいけない禁止事項はある?

派遣保育士として働くときには、「やってはいけない」とされていることが以下の通りあります。

  • 同じ職場での3年を超えた勤務
  • 契約にない残業
  • 日雇いでの派遣契約
  • 契約にない接待や出張
  • やむを得ない理由以外での契約期間中の退職

知らずにこうしたことをしてしまうと、契約を切られたり、派遣会社から次の仕事を紹介してもらえなくなるおそれがあります。

ここからは、各ポイントを順に詳しく見ていきましょう。

同じ職場での3年を超えた勤務

派遣保育士は、同じ保育園で3年以上続けて働くことができません。

これは法律で決まっていて、派遣という働き方が「一時的なもの」とされているからです。

たとえば、同じ保育園に3年以上勤務していた場合、その園の社員と同じように扱うべきだとみなされ、派遣という形では働けなくなります。

もし派遣会社や保育園がこのルールを無視して契約を続けていた場合、あとで法律違反だと指摘され、契約自体が無効になってしまうおそれもあるのです。

そうなると、保育園での勤務も突然終了することになり、生活が一気に不安定になってしまうことがあります。

契約にない残業

派遣で働くときは、最初に取り決めた時間だけ働くのが基本です。

契約に書かれていない残業は、たとえ園に頼まれても、原則としてしてはいけません。

たとえば、「急に人が足りないから」「イベントの準備があるから」と言われて、その場の流れで残ってしまった場合でも、それがたび重なると、派遣会社との信頼関係にヒビが入ります。

無断で残業を繰り返してしまうと、「契約違反」とみなされて、今後の紹介がなくなることもあります。

日雇いでの派遣契約

派遣という働き方では、日ごとの契約(その日だけ働く)は、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)の第35条の4・第1項により原則として禁止されています。

ただし、60歳以上の方や、学生、あるいは副業で年収が500万円以上ある方など、ごく一部の人には例外があります。

しかし、保育士として登録している方の多くは、対象になりません。

保育の仕事は子どもの命を守るという重要な仕事です。

そのため、短期だけで慣れないうちに終わってしまう日雇い派遣では、トラブルになりやすいのです。

日雇いで保育士の求人を見つけた場合には、まず派遣会社に確認を取りましょう。

契約が法律に合っていないものなら、働いたあとに給料がもらえない可能性もあります。

契約にない接待や出張

保育士の仕事の中には、基本的に接待(お酒の席の同席など)や出張はありません。

それでも、まれに保護者の会合への参加や、系列園へのヘルプなど、契約にない内容を求められることがあります。

もしも、契約外のことをしてしまえば、あとで事故が起きたときに責任の所在があいまいになり、自分が悪いことにされてしまう可能性すらあります。

契約に書いていない内容を求められたときには、その場で無理に引き受けず、必ず派遣会社に相談してください。

やむを得ない理由以外での契約期間中の退職

派遣として働く場合、基本的に契約の終了日までは働く約束になっています。

体調不良や家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合は別です。

しかし、「気が変わった」「他にいい仕事を見つけた」などの理由で突然やめるのは問題です。

実際に、途中で退職したことで、保育園からクレームが入り、その派遣会社から紹介がストップされたという事例もあります。

次の仕事がうまく決まらなければ、しばらく無収入になることもあります。

やめたいと感じたら、まず派遣会社の担当者に話をし、今後の働き方について相談することが大切です。

派遣保育士に関するよくある質問

派遣保育士について、よくある質問は次の2点です。

  • 派遣保育士は担任になれない?
  • 公立保育園では派遣保育士の勤務は禁止されている?

以下からは、それぞれ順に回答していきます。

派遣保育士は担任になれない?

結論からいうと、原則として派遣保育士が「クラス担任」になることはできません。

これは法律上の禁止というよりも、労働者派遣法のルールから外れてしまうからです。

労働者派遣法では、「派遣労働者は、派遣先の指揮命令下で業務に従事するが、労働契約は派遣元と結んでいる」という二重構造が特徴です。

そのため、以下のような責任や判断が求められる「管理的業務」は、原則として派遣労働者には任せられません。

  • 保護者対応・面談の主担当
  • 年間指導計画や月案・週案などの作成
  • 行事の企画・運営の責任者

これらは「担任の先生」としての大事な仕事です。

誰が責任を持つのかはっきりしないまま派遣の方が担当してしまうと、なにか問題が起きたときにトラブルになることがあるのです。

ただし、人手が足りない保育園では、担任ではないと言いながら、実際はそれに近い役割をお願いされることもあるようです。

しかしながらそれは、正しいルールから外れてしまっているかもしれません。

派遣で働くときは、どこまでの仕事をするのかを最初にはっきりさせておくことが大切です。

自分に合わない仕事を無理に引き受けてしまうと、あとで大きなストレスや責任を背負うことにもなりかねません。

公立保育園では派遣保育士は禁止されている?

公立保育園でも派遣保育士の勤務は可能です。禁止されていません。

実際に、次のようなケースで派遣保育士が活用されています。

  • 正職員の産休・育休や病欠などの代替要員
  • 突発的な欠員の一時的な補充

特に東京都などの自治体では、民間保育園よりも高時給で募集されているケースもあり、時給は1,800円〜2,200円程度が相場となっています(※2024年時点)。

一方で、公務員との違いには注意が必要です。

公立保育園に勤務する正規職員は地方公務員であるのに対し、派遣保育士は外部委託された民間人材であり、立場や待遇、権限にはっきりとした違いがあります。

そのため、公立保育園で勤務する場合も、任される業務の範囲は慎重に調整されなければなりません。

派遣保育士は禁止ではない!自分らしい働き方を見つけよう

今回は、派遣保育士という働き方は禁止されているのかどうかについて解説しました。

派遣保育士は法的にも制度的にも「禁止」されているわけではありません。

むしろ、自分に合った働き方を実現する選択肢のひとつです。

とはいえ、派遣という働き方に不安や疑問を感じる方も多いかもしれません。

「自分に向いているのか分からない」、「どうやって探せばいいのか迷っている」、といった方に向けた、専門的な相談の場もあるのです。

株式会社明日香が運営する「ずっと保育士」では、保育士のキャリアや働き方についての無料相談を実施。

以下のような支援も行っています。

  • 希望の働き方(短時間・フルタイム・期間限定など)に合った求人の紹介
  • 保育園との条件交渉や業務内容のすり合わせ
  • 就業後のフォローアップ

子育て中やブランク明け、転職を検討している方にとって、派遣という働き方は勤務時間や勤務地、働き方のスタイルを自分の状況に合わせて選びやすい、現実的で調整しやすい選択肢です。

保育の現場に関わりながら、自分らしいワークライフバランスを築くことができます。

まずは無料相談を活用して、自分に合った職場を探してみましょう。

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