保育のコラム

フルタイムパート保育士の年収はどれくらい?

2024/05/16

時給制で雇用されていて、非正規職員であるパート保育士。

保育園での働き方が多様化している昨今では、パート勤務のニーズも高まっています。

 

パート保育士の働き方も、1日あたり数時間勤務する短時間パートであったり、正規職員と同じ勤務時間を働くフルタイムパートであったりとさまざま。

 

特に、フルタイムで働くパート保育士であれば、ときにクラス担任を任されたり、保護者対応や事務作業などをおこなったり、正規職員と同じ業務をすることも。

 

そこで今回は、フルタイムパート保育士にスポットを当てて、年収や待遇を見ていきながら、年収を上げる方法などについて詳しく解説していきます。

 

「フルタイムパート保育士って、年収や待遇はどうなっているの?」

「フルタイムパートで働いているけど、年収を上げるにはどうするの?」

 

など、フルタイムパートだからこその疑問が浮かぶのではないでしょうか。

フルタイムパート保育士として働いている方、フルタイムパート保育士について気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

フルタイムパート保育士の平均年収は約265万1,040円

まず、フルタイムパート保育士の平均年収を見てみましょう。

 

厚生労働省令和5年賃金構造基本統計調査によると、男女を併せたフルタイムパート保育士の平均年収は、約「265万1,040円」でした。

 

ちなみに、男性保育士の場合の年収は約「403万2,000円」、女性の場合は約「263万4,912円」となっています。

 

詳しい値は、下記の「表1」に記載しましたのでご覧ください。

 

表1:フルタイムパート保育士の平均年収

 

1時間当たりの所定内給与額

(時給)

平均年収

男女計

1,315円

265万1,040円

男性

2,000円

403万2,000円

女性

1,307円

263万4,912円

参考:厚生労働省令和5年賃金構造基本統計調査

※年収は1時間当たり所定内給与額×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

保育士資格の有無による年収の違い

保育士資格は、正規の保育士として働くために必要な国家資格ですが、保育補助であれば無資格でも働けます。

 

 そのため、保育補助として働いている人もいるわけですが、フルタイムパートで働く場合、保育士資格の有無による年収の違いはあるのでしょうか。

 

結論から言うと、保育士資格を持っている人の方が年収は高めになります。

 

パート保育士の給料は、時給で支払われ、保育士資格を持っていれば、平均時給は1,200~1,400円ほど。一方、保育士資格を持っていない場合の時給は、1,000~1,100円が相場となっています。

保育士資格を持っている人と比べると、持っていない場合は200~400円ほど低いことが多いようです。

 

働く保育施設による年収の違い(一例)

ひと言で保育施設といってもたくさんあり、もらえる給料はそれぞれ異なる場合があります。

 

ここでは、求人サイトなどの情報から大まかな時給をリサーチして、働く保育施設による年収の違いの一例を紹介していきます。

フルタイムパート保育士として働く場合の参考にしてみてください。

 

公立保育園

公立保育園で働く場合の時給は、1,200~1,500円ほどでした。

平均時給を1,350円として計算すると、月給は22万6,800円、年収は272万1,600円となります。

 

表2:公立保育園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

公立保育園

1,350円

22万6,800円

272万1,600円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

私立保育園

私立保育園で働く場合の時給は、1,100~1,600円ほどでした。

平均時給を1,350円として計算すると、月給は22万6,800円、年収は272万1,600円となります。

 

表3:私立保育園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

私立保育園

1,350円

22万6,800円

272万1,600円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

認可外保育園

認可外保育園で働く場合の時給は、1,100~1,900円ほどでした。

平均時給を1,500円として計算すると、月給は25万2,000円、年収は302万4,000円となります。

 

表4:認可外保育園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

認可外保育園

1,500円

25万2,000円

302万4,000円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

幼稚園

幼稚園で働く場合の時給は、1,100~1,300円ほどでした。

平均時給を1,200円として計算すると、月給は20万1,600円、年収は241万9,200円となります。

 

表5:幼稚園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

幼稚園

1,200円

20万1,600円

241万9,200円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

認定こども園

幼稚園で働く場合の時給は、1,100~1,400円ほどでした。

平均時給を1,250円として計算すると、月給は21万円、年収は252万円となります。

 

表6:認定こども園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

認定こども園

1,250円

21万円

252万円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

小規模保育園

小規模保育園で働く場合の時給は、1,100~1,500円ほどでした。

平均時給を1,300円として計算すると、月給は21万8,400円、年収は262万800円となります。

 

表7:小規模保育園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

小規模保育園

1,300円

21万8,400円

262万800円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

企業内保育園

企業内保育園で働く場合の時給は、1,000~2,000円ほどでした。

平均時給を1,500円として計算すると、月給は25万2,000円、年収は302万4,000円となります。

 

表8:企業内保育園で働く場合の一例

 

時給

月給

年収

企業内保育園

1,500円

25万2,000円

302万4,000円

※月給は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)で計算

※年収は、時給×8(時間)×21(月の勤務日数)×12(ヶ月)で計算

 

フルタイムパート保育士にボーナスや処遇改善手当は出る?

フルタイムパート保育士は、労働時間や仕事内容が正規職員の保育士とほとんど変わらないとされていますが、ボーナスや処遇改善手当は支給されるのでしょうか。

 

ここでは、フルタイムパート保育士に対する処遇について見ていきたいと思います。

 

まず、ボーナスから見ていきましょう。

正規職員の保育士にはボーナスが支給されることは一般的ですが、パート保育士には基本的にボーナスは支給されません。

 

しかし、フルタイムパート保育士の場合は、正規職員に準じたボーナスを支給する保育園もあるようです。そのほかにも、ボーナスの代わりに寸志を支給する保育園も増えてきているとのこと。

保育士不足の背景から、日ごろの労いとともに、少しでも保育士に還元しようという傾向が高まってきています。

 

次に、処遇改善手当はどうでしょうか。

処遇改善手当とは、保育士の給料アップのために、国や自治体から出る補助金のこと。

 

処遇改善手当には、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲがあり、フルタイムパート保育士の場合は、処遇改善加算Ⅰを受け取ることができます。

もらえる金額は、保育施設の平均勤続年数に応じて、月額1万2,000円~最大月額3万8,000円となります。

 

詳しくは、こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」をご覧ください。

 

フルタイムパート保育士の年収を上げるにはどうすればいい?

これまで、フルタイムパート保育士の年収をいろんな角度から見てきました。

 

フルタイムパート保育士は、正規職員と労働時間や仕事内容がほとんど同じにもかかわらず、正規職員と比べると年収が低いと言えます。

 

冒頭でもお伝えしたように、フルタイムパート保育士の平均年収は約「265万1,040円」。

一方で、保育士の平均年収は約「385万3,600円」です(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)。※決まって支給する現金給与額×12(ヶ月)で計算。

 

そこで、フルタイムパート保育士の年収を上げるためには一体どうすればいいのでしょうか。

ここからは、フルタイムパート保育士の平均年収を上げる方法を3つほど紹介していきます。

 

<1>一つの保育施設で長く勤める

まず、1つ目の方法は、一つの保育施設で長く勤めることです。

 

保育士は、勤続年数が給料に大きく反映される傾向にあるため、同じ保育施設に長く勤めることで、勤続年数に応じた昇給が用意されています。

先ほどお伝えしたような処遇改善手当などがよい例でしょう。

 

保育士不足の昨今、保育施設側としても、中長期的に活躍してくれる保育士を重宝しているので、報酬面でのインセンティブを設けているところも増えてきました。

そのため、保育施設を転々とするよりも、同じ施設に長く留まり続けることで、着実に年収アップへの道を歩めると言えます。

 

フルタイムパート保育士として、年収を上げるつもりなら、採用時から長期勤務を念頭においておくとよいかもしれません。

 

<2>スキルアップを目指す

2つ目の方法は、スキルアップを目指すことです。

 

最近では、時代の変化にともなって、保育に対するニーズも変化してきました。

たとえば、アレルギーやメンタルケアの専門知識、新たな保育・教育方法などの資格を取得することで、周囲から必要とされる存在になり、年収を上げることができるでしょう。

 

具体的には、以下のような資格です。

 

・環境アレルギーアドバイザー

・保育カウンセラー

・リトミック指導員

・イングリッシュエキスパート保育士

 

ほかにも、「保育士等キャリアアップ研修」で年収を上げることができます。

 

保育士等キャリアアップ研修とは、保育士の給料アップや、専門性の向上などを目的に国が定めた制度のこと。

研修を修了し、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」といった役職に就任できれば、月5千円~4万円の給料アップをすることができます。

一定の条件をクリアしていれば、正規職員だけでなく、パートでも参加可能ですよ。

 

より詳しく知りたい方は、過去の保育のコラム

保育士等キャリアアップ研修とは?処遇改善によって給料はどう変わるの?」をご覧ください。

 

<3>他の保育施設に転職する

最後の3つ目は、他の保育施設に転職することです。

 

求人情報で高い時給を設定している保育施設などに転職することで、今よりも年収を上げることができるでしょう。

 

たとえば、大企業が運営する企業主導型の保育園では、企業の業績にもよりますが、一般的な保育施設よりも年収アップが期待できる場合があります。

大都市圏の保育施設も、高い生活コストを考慮している場合が多いので、地方に比べると給料が高めに設定されていることも。

 

そして、転職を考えたときは、保育専門の求人サイトを活用することをオススメします。

 

保育専門求人サイト「ずっと保育士」は、保育士や幼稚園教諭を対象にした求人専門サービス。

フルタイムパートの求人も探せる保育専門の転職サイトとして、きっとあなたの役に立つはず。

 

「フルタイムパート保育士として年収を上げたい」

「時給が高くて、キャリアアップしやすい保育施設に行きたい」

 

そんな方へ向けた保育の仕事を紹介しています。

きっとあなたに合う求人情報が見つかると思いますので、ぜひ活用してみてください。

 

フルタイムパート保育士でも年収アップを狙える!

いかがだったでしょうか?

 

今回は、フルタイムパート保育士にスポットを当て、いろんな方向から年収を見てきました。

たしかにフルタイムで働いていても、正規職員の保育士の方が年収で優遇されているかもしれません。

 

しかし、フルタイムパート保育士でも十分年収アップを狙えます!

 

フルタイムパート保育士は、ボーナスや寸志をもらえたり、処遇改善手当をもらえたりすることもわかりました。

くわえて、フルタイムパート保育士が年収を上げる方法についても詳しく紹介してきました。

 

ご紹介したすべてを実践することは難しいかもしれませんが、1つでもできれば少しでも年収アップに貢献できるでしょう。

 

フルタイムパート保育士で年収を上げたい方は、本記事を参考に実践してみてくださいね。

 

 

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