保育のコラム

保育士から異業種への転職は可能?メリット・デメリットは?

2024/02/27

保育士の仕事は、やりがいがある反面、体力・精神面での負担が大きく、異業種へ転職したいと考える方もいるのではないでしょうか。

新しいキャリアを選択することで、自分の人生を充実させることができるでしょう。

とはいえ、慣れている今の環境から未経験の環境へ移ることを思うと、

「どんな仕事が向いているのかわからない・・・」

「未経験の仕事だけどやっていけるのかな?」

などの不安や疑問が頭に浮かんできますよね。

そこで今回は、異業種転職を考える保育士さんに向けて、転職のメリット・デメリット、オススメの転職先などを解説していきます。

保育士から異業種への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

保育士でも異業種への転職は可能?

 

保育士から異業種への転職は、今までと関連のない仕事をする可能性があり、場合によってはハードルが高くなります。

たとえば、転職先の企業でマーケティングスキルが必要な場合、スキルがなければゼロから学ばなければなりません。

くわえて、人間関係も今までとは大きく異なります。

選んだ業界によっては、思うような待遇を叶えることは難しいと言えます。

しかし、今まで保育士で培ってきた能力や経験を活かせる職業はたくさんあります。

保育士として働くことに迷いや限界を感じたときは、思い切って異業種への転職を検討してみてください。

 

保育士が異業種への転職を考える理由

 

保育士が異業種への転職を考えるとき、その背景にはどのような理由が隠されているのでしょうか。

東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査」によると、保育士の退職理由は以下のとおりです。

 

1位 給料が安い(61.6%)

2位 仕事量が多い(54.0%)

3位 労働時間が長い(35.4%)

4位 職場の人間関係(30.1%)

5位 他業種への興味(28.9%)

 参考:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査」

 

これを見ると、上位の1位~4位までが職場への不満ということがわかります。

働きはじめた当初は、保育士への憧れや、子どもたちの成長に寄り添える喜びに溢れていたはずです。

ところが、実際に働いてみると、理想と現実のギャップを目の当たりにして苦しさを感じた方もいるでしょう。

長い労働時間の割にもらえる給料が低く、人間関係がギクシャクしている職場であれば、転職を考えることは無理もありません。

 

保育士が異業種に転職するメリット

 

ここからは、保育士から異業種へ転職するメリットを4つご紹介していきます。

 

メリット1:収入アップが期待できる

 

国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、令和5年における民間の給与所得の平均は「460万円」となっています。 

これに対し、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、保育士の平均給与は「408万円」でした。

※計算方法:(きまって支給する現金給与額×12)+年間賞与その他特別給与額

このことから、業種や職種、会社の規模などでも変わりますが、保育士から異業種へ転職することで収入アップが期待できそうです。

 

メリット2:土日にしっかりと休める

 

保育士の勤務体系の多くはシフト制です。

思うように土日休みが取れないことで、ストレスを感じる方もいるでしょう。

保育業界は慢性的な人手不足のため、保育士の負担が大きくなりやすいことは否定できません。

近年は、働き方が多様化し、土日も子供を預かる保育園があるため、勤務先によっては振替休日が取れないこともあるでしょう。

「家族とプライベートの時間を合わせられない・・・」

「参加したいイベントがあるけど、土日開催だから行けない・・・」

このような悩みを抱える方は、休日が土日の職場に転職することで、メリハリのある働き方ができます。

 

メリット3:持ち帰り仕事やサービス残業を減らせる

 

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均的な残業時間は、1ヶ月に3時間とされています。

これは、残業代が支払われた時間で算出された値なので、残業代が発生しない持ち帰り仕事やサービス残業は含まれません。

そのため、平均値より長い時間仕事をしている可能性があります。

一般企業の多くは、勤怠管理システムやアプリを導入して厳格に就業時間を管理しているので、基本的に持ち帰り仕事やサービス残業はありません。

転職する職場をしっかり吟味することで、ちゃんと働いた分の手当をもらうことができます。

 

メリット4:精神的・肉体的負担が軽減できる

 

保育士の仕事は、精神面だけでなく体力面もかなり重要です。

保護者の対応といった精神的な負担にくわえて、抱っこや、おんぶなどで肉体的な負担を感じている場合は、転職をすることで負担を軽減できるかもしれません。

たとえば、「体力的にしんどい・・・」と思うのであれば、デスクワーク中心の事務職が向いています。

逆に「気疲れして・・・」というのであれば、体を動かす職場がよいでしょう。

 

保育士が異業種に転職するデメリット

デメリット1:保育士特有のやりがいを得られなくなる

 

保育士の仕事をしていると、子どもたちの成長を肌で感じることができます。

子どもたちと過ごすなかで、一人ひとりの成長を垣間見たときなど、保育士としての喜びを実感したのではないでしょうか。

保育士は、子供の命を預かる大切な仕事です。

責任やプレッシャー、保護者からのクレームも時にはありますが、その分やりがいや感謝も多いもの。

どんな業種でもやりがいはありますが、異業種へ転職した場合は、保育士ならではのやりがいを感じられなくなることがあります。

 

デメリット2:年齢が高くなると採用されにくくなる

 

年齢が高くなると、どのような業種でも採用されにくくなることは否めません。

特に異業種への転職は、希望条件が叶わないことも覚悟しておきましょう。

選択肢がある程度限られる可能性はありますが、だからといって転職できないわけではありません。

今まで培ってきたコミュニケーション能力や臨機応変さ、企画力などを武器にアピールすることが重要です。

 

デメリット3:スキルやルールを一から覚える必要がある

 

異業種に転職すると、その業界や企業特有のスキルやルールを一から覚えなくてはなりません。

各業界には、たいてい特有のルールや考え方が存在するので、保育士時代の常識が通用しない場面も出てくるでしょう。

くわえて、何もない状態から新たな人間関係を築く必要があります。

どんな職種に就くにせよ、保育士の仕事を辞めて異業種で仕事をするのは決して楽ではありません。

そのため、転職への強い意志や覚悟が求められます。

 

保育士におすすめ!異業種の転職先5選

<1>一般事務

 

体力を必要とする保育士と違い、デスクワーク中心の一般事務は、体力に自信がなくても転職しやすい職業です。

職場では、各部署との連携、外部からの電話応対、訪問者の接客など、臨機応変に動ける能力が求められます。

まさに今まで保育士として培われたスキルを活かせる職業といえるでしょう。

 

<2>接客業

 

人と接することが得意で、臨機応変さが求められる接客業は、保育士で培ってきた能力を活かしやすいです。

小売店や飲食店、ホテルなど、活躍できる職場がたくさんあります。

おもちゃ店や写真館の受付などは、子どもと触れあう機会も多く、保育士経験が重宝されるでしょう。

接客業は未経験者でも歓迎されやすく、やる気さえあれば転職しやすい業種です。

 

<3>介護職

 

人のお世話をする介護職は、保育士と共通点が多く、今までの経験が活きる職業です。

対象が高齢者なので、お世話をしながら人生の先輩から学ぶことも多いでしょう。

介護福祉士などの資格を取得することで、給与アップや手当の期待もできます。

人の役に立ちながらスキルアップしたい方にオススメです。

 

<4>営業職

 

相手と良好な関係を築くための対人スキルが必要な営業職。

園児や保護者、職場の人たちと良好な関係を築いてきたコミュニケーション能力がきっと役立つでしょう。

営業成績に応じてインセンティブがつく場合もあり、結果を残すことができれば、給与だけでなく自分のモチベーションを高めることができます。

外回りのイメージがありますが、今はZoomなどのオンラインで仕事ができ、体力的なハンデは解消されています。

 

<5>IT業界

 

未経験者を歓迎する求人も多く、ITの知識がなくても転職は可能です。

パソコンとインターネット環境さえあれば、在宅勤務できる企業が多いことも魅力の一つ。

保育士とは共通点がなさそうですが、一緒に仕事をする仲間やクライアントがいる以上、今まで養ってきたコミュニケーションスキルが役に立ちます。

ITスキルの習得や経験を積めば、将来フリーランスとしての独立も可能です。

パソコン操作が苦にならず、基本がある程度身に付いていれば、抵抗なく転職できるでしょう。

 

異業種に転職したら保育士に戻れない?

 

保育士から異業種に転職してみたけれど「やっぱり保育士として働きたい」という方もいると思います。

慢性的な保育士不足が叫ばれているなか、保育経験があることで歓迎される場合も少なくありません。

子ども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」によると、令和6年1月における全職種の平均有効求人倍率は「1.35倍」に対し、保育士は「3.54倍」です。

これは、保育士1人に対して、3.5件の求人が来ている計算になります。

保育園にとっても、現場の事情を知り、即戦力で働ける保育士の存在は心強いでしょう。

特に「保育士を急いで補充したい」と考えている保育園では、若手よりも経験者を優遇する場合もあり、好待遇での復職が叶うかもしれません。

復職に伴う保育士の補助制度も活用できるので、もう一度保育士として働きたいと思ったら検討してみるのもアリです。

 

転職先に迷ったら異業種転職も視野に入れよう!

 

転職は思っている以上に時間やエネルギーを消費します。

大事な一歩を踏みだす前に、なぜ保育士を辞めたいのか、じっくり考えてみましょう。

「職場の人間関係が悪く、公私ともに影響が出ている」

「保育施設の方針が自分と合わない」

などの場合は、ほかの保育施設へ移ることで保育士として活躍できそうです。

令和2年に厚生労働省が発表した資料では、保育士の転職者のうち過半数(53.1%)が保育業界へ再就職しています(厚生労働省「保育士の現状と主な取組」)。

ただ、再び保育の現場へ戻ったとしても、同じような理由で退職してしまう可能性もあります。

そんなときは、思い切って異業種への転職を視野に入れてみてください。

保育士とは違った環境に身を置くことで、新しい知見や経験を得られるでしょう。

仮に転職がうまくいかなかったとしても、保育業界は慢性的な人手不足です。

保育士の経験をもち、即戦力として活躍できる人であれば、きっと歓迎してくれるでしょう。

 

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