保育のコラム

【大阪府】保育士の平均年収は414万5,900万円!全国平均と比較

2024/02/26

東京都、神奈川県に続き、全国3位の人口をほこる大阪府。

それゆえ保育ニーズも高く、府内のいたる所で保育士不足が発生しています。

しかし、いくら子どもが好きで、やる気がある人でも保育士の年収が低く、生活に不安があれば続けられません。

 

そこで今回は、大阪府と全国の保育士の平均年収を比較しながら、大阪府内で実施されている保育士への補助支援制度についてまとめました。

 

大阪府で働く保育士の平均年収は414.6万円!

厚生労働省が発表する「賃金構造基本統計調査」による全国と大阪府の保育士の平均年収は下記の表の通りです。

 

表1:全国・大阪府の保育士(男女計)平均年収

 

地域

平均年収(万円)

保育士 男女計

全国

382.7

大阪府

414.6

参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より「(平均月収×12ヶ月)+平均賞与」で計算。

 

ご覧の通り、大阪府の保育士の平均年収は全国平均より高いことがうかがえます。

では、なぜ大阪の保育士の平均年収は全国平均より高いと思いますか?

 

大阪府は東京都、神奈川県に次ぐ人口の多い大都市です。

それに伴って産業や労働人口も多くなっているため、園児の数に対して保育士の数が不足すれば必然的に給与水準は高くなります。

大阪府の保育士の平均年収の高さは、大都市に伴う保育士ニーズの高さとも言えるでしょう。

 

男女別の平均年収

同じく厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による全国と大阪府の保育士の平均年収を男女別に見ると下記の表の通りになります。

 

表2:全国・大阪府の保育士(男女別)平均年収

 

地域

平均年収(万円)

保育士 男

全国

389.8

大阪府

331.1

保育士 女

全国

382.2

大阪府

421.3

参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より「(平均月収×12ヶ月)+平均賞与」で計算。

 

この表を見るかぎり、全国平均では男女の差がほとんどありません。

しかし、大阪府は同じ保育士でも男性に比べて女性の方がはるかに平均年収は高いことがわかります。男性保育士は全国平均と比べてもかなり低いですね。

 

この要因として考えられるのは、保育士の勤続年数が挙げられます。大阪府の女性保育士の勤続年数は、平均12年だったのに対し、男性保育士はわずか0.7年。平均年齢は女性保育士40歳に対して、男性保育士は22.7歳という若さ。

保育士は基本的に年齢が高いほどキャリアが長く、昇給を重ねているため、勤続年数が短く、平均年齢が若い大阪府の男性保育士は平均年収が低くなってしまうのです。

 

大阪府内で保育士の年収に差はある?

大阪府内の保育士の求人を見てみると、大阪市や堺市といった人口のトップを走る地域の月給は20~30万円で、中には30万円超えや高いものだと35万円を超える求人もありました。

一方、豊中市などでは月給18万円からの求人も見受けられましたが、全体的におよそ20万円~25万円が一般的でそれほどの格差は見受けられません。

 

大阪府内で保育士の年収に差がある理由

これには人口の多さや物価、家賃相場といったことが関係していると考えられます。

人口が多ければ労働人口も多くなり、共働きが増えるなどして保育ニーズが高まれば保育士確保のために保育施設側は月給を上げなければなりません。

そこに物価や家賃相場といったファクターが加わると必然的に年収に差が生まれやすくなります。

 

大阪府で実施されている保育士向けの補助支援制度(一部)

厚生労働省「職業安定業務統計」によれば、大阪府の保育士の有効求人倍率は3倍を超えて全国トップクラスです。このことから保育士の確保は急務と言えるでしょう。

そのため、大阪府のみならず府内の各市町村で保育士を支援する様々な施策を行っています。

 

大阪府が実施している保育士補助支援制度

大阪府としては保育の資格を取得したり、保育の仕事に復職したりするための以下のような補助支援制度があります。

 

①保育士修学資金貸付

②保育士就職準備金貸付

③未就学児をもつ保育士の保育料一部貸付

④未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金一部貸付

 

これらは、定められた要件を満たして大阪府内の保育所などで業務につけば“無利子”“返還免除”となりますので該当する場合は積極的に活用したいですね。

これから保育士を考えている人にとっては活用できる制度ばかりですので、ぜひチェックしてみてください。

 

詳細や資料請求の方法については、大阪府のホームページをご覧ください(大阪府「保育人材確保のための貸付事業」)。

 

①保育士修学資金貸付

保育士の資格を習得するために保育士養成施設への入学、または在学生に必要な費用を無利子で貸し付ける制度です。

 

表3:保育士修学資金貸付 概要

対象者

指定保育士養成施設で学ばれる方

用途

学費・入学準備金・就職準備金など

貸付額限度

学費月額5万円以内

入学準備金20万円以内(1回限り)

就職準備金20万円以内(1回限り)

貸付限度期間

2年以内

返還免除の条件

卒業後5年間保育所等に従事

備考

令和6年度の募集は現在未定

参考:大阪府ホームページ、大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター「「保育士修学資金」修学生募集要領」

 

②保育士就職準備金貸付

すでに保育士の資格を持っているけど、現在は保育士または保育教諭として勤務していない方への制度です。

大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)の保育所などで新たに保育士として週20時間以上の勤務を条件に就職する際、再就職に必要な費用の貸付を受けることができます。

 

表4:保育士就職準備金貸付 概要

対象者

保育士で保育所等に就職される方

※大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)

用途

就職にあたっての転居費用や用品代など

貸付額限度

40万円以内

貸付限度期間

1回

返還免除の条件

2年間保育所等に従事

備考

募集期間:令和6年3月31日まで

参考:大阪府ホームページ、大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター「「大阪府保育士就職準備金貸付事業」 募集要項」

 

③未就学児をもつ保育士の保育料一部貸付

大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)の保育所などで、保育士として週20時間以上の勤務ができる方の制度です。

保育士として新たに就職、もしくは産休育休から復帰する際に、未就学児の保育料の一部を1年以内の期間で貸付を受けられます。

 

表5:未就学児をもつ保育士の保育料一部貸付 概要

対象者

保育士で保育所等に就職又は産休育休から復帰するために子どもを預ける方

※大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)

用途

保育所の保育料の半額

貸付額限度

月額2万7千円以内

貸付限度期間

1年以内

返還免除の条件

2年間保育所等に従事

備考

募集期間:令和6年3月31日まで

参考:大阪府ホームページ、大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター「「未就学児を持つ保育士の保育料一部貸付事業」 募集要項」

 

④未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金一部貸付

大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)の保育所などで保育士として雇用されている方の制度です。

勤務の時間帯により、子どもの預かり支援に関する事業を利用する際、利用料の半額を2年以内の期間で貸付を受けられます。

 

表6:未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金一部貸付 概要

対象者

保育所等に雇用されている保育士で、保育所等を利用し、別に預かり支援事業を利用する方

※大阪府内(大阪市・堺市をのぞく)

用途

子どもの預かり支援事業利用料金の半額

貸付額限度

年額12万3千円以内

貸付限度期間

2年以内

返還免除の条件

2年間保育所等に従事

備考

募集期間:令和6年3月31日まで

参考:大阪府ホームページ、大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター「「未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金一部貸付事業」 募集要項」

 

大阪市が実施している補助支援制度

大阪市では保育士不足が深刻な課題となっている中、保育士に対する独自の補助支援制度を充実させていますのでチェックしてみてください。

 

詳細や申請方法については、大阪市のホームページをご覧ください(大阪市「大阪市内の保育所等で働く保育士を支援する各種事業」)。

 

①潜在保育士等就職支援

保育所などに就職(復職)する潜在保育士に対し、就職準備金として40万円を上限に無利子で貸付を行う制度です。

この制度を利用した保育士が就職後2年以上継続して保育に従事した場合、この貸付額は返還免除になります。

 

表7:潜在保育士等就職支援 概要

対象者

保育所等に就職する潜在保育士等

用途

就職準備

貸付額限度

40万円以内

貸付限度期間

1回

返還免除の条件

保育士として就職後2年以上継続して保育に従事した場合

参考:大阪市ホームページ

 

②未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付

平成28年12月以降、大阪市内の保育所などに新たに雇用されて勤務する保育士が対象です。

子どもを保育所などへ預ける場合、その保育料の2分の1(上限2万7千円)を勤務開始の月から1年間貸付を受けられます。継続して2年間勤務した場合、その返還を免除できます。

 

表8:未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付 概要

対象者

平成28年12月以降、大阪市内の保育所などに新たに雇用されて勤務する保育士

用途

自分の子どもを保育所などへ預ける場合の保育料

貸付額限度

保育料の2分の1(上限2万7千円)

貸付限度期間

勤務開始月から1年

返還免除の条件

大阪市内の保育所などに継続して2年間勤務した場合

参考:大阪市ホームページ

 

③未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援

保育所などに勤務する未就学児を持つ保育士の方が対象です。

勤務する際に、預かり保育事業を利用した場合、利用料などの一部(年額上限12万3千円)の貸付を受けられる制度です。

大阪市内の保育所などに継続して2年間勤務した場合、その返還を免除できます。

 

表9:未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援 概要

対象者

保育所などに勤務する未就学児を持つ保育士

用途

子どもの預かり支援事業利用料金

貸付額限度

年額上限12万3千円

貸付限度期間

2年以内

返還免除の条件

大阪市内の保育所などに継続して2年間勤務した場合

参考:大阪市ホームページ

 

岸和田市が実施している補助支援制度

大阪府内でも待機児童の数がトップクラスの岸和田市。保育士の確保や離職防止にむけた給付金が充実していますのでチェックしてみてください。

 

詳細やお問い合わせは、岸和田市ホームページをご覧ください(岸和田市「岸和田市保育士応援特別給付金、岸和田市保育士就職祝い金について」)。

 

①岸和田市保育士応援特別給付金

岸和田市内の民間保育園・認定こども園・小規模保育事業所に初めて勤務を開始した方に4年間で最大65万円を給付しています。

 

表10:岸和田市保育士応援特別給付金 概要

対象者

①市内の民間保育園・認定こども園・小規模事業所で初めて勤務を開始した方 (過去に1度でも勤務経験がある方は対象外)

②120時間以上/月の勤務する方

③1年以上の雇用契約を結んでいる方

給付額限度

最大65万円

給付限度期間

4年間

備考

令和7年3月31日までの新規採用者に限る

参考:岸和田市ホームページ

 

表11:岸和田市保育士応援特別給付金 支給額

回数

>勤務期間

支給額

備考

1

勤務開始日以後引続き 6箇月間勤務

30,000円

5回目以降の給付にあたっては、本市在住者(36箇月勤務に到達する日を含む直前の1月1日時点で本市に住民票があること)であること。

2

勤務開始日以後引続き 12箇月間勤務

50,000円

3

勤務開始日以後引続き 18箇月間勤務

70,000円

4

勤務開始日以後引続き 24箇月間勤務

100,000円

5

勤務開始日以後引続き 36箇月間勤務

200,000円

6

勤務開始日以後引続き 48箇月間勤務

200,000円

参考:岸和田市ホームページ

 

②岸和田市保育士就職祝い金

岸和田市内の民間保育園・認定こども園・小規模保育事業所で新たに勤務を開始し、令和5年4月1日以降に採用の方は10万円を給付されます。

ただし、初年度1回限りで6ヶ月間の勤務が必要です。

 

表12:岸和田市保育士就職祝い金 概要

対象者

「岸和田市保育士応援特別給付金」の対象者のうち、

令和5年4月1日、令和6年4月1日採用の方(居住地は問いません)

給付額限度

10万円

給付限度期間

初年度1回 ※6ヶ月間の勤務が必要

備考

令和7年3月31日までの新規採用者に限る

参考:岸和田市ホームページ

 

豊中市が実施している補助支援制度

豊中市も新たに保育士として働く方に対して独自の助成金制度をおこなっています。

 

詳細や申込み方法については、豊中市ホームページをご覧ください(豊中市「とよなか保育士助成金」)。

 

①とよなか保育士応援手当

豊中市内の民間保育施設などで新たに勤務する方で、新卒・未経験の方・復職した方・市外から転職した方に対して支給されます。

支給額は、年間24万円(月額2万円)、最大は3年間で72万円です。

 

表13:とよなか保育士応援手当 概要

対象者

豊中市内の民間保育施設等で新たに勤務する方で、新卒・未経験の方・復職した方・市外から転職した方

給付額限度

年間24万円(月額2万円)

給付限度期間

3年間以内

備考

※すでに、とよなか保育士応援手当の交付確定を受けたことがある方は除く

申込期間:令和6年5月31日まで

参考:豊中市ホームページ

 

②とよなか保育士歓迎一時金

近隣地域以外から豊中市に転入した方で、豊中市内の民間保育施設に就職する際に必要費用として支給されます。支給額は、1回限りで10万円です。

 

表14:とよなか保育士歓迎一時金 概要

対象者

近隣地域以外から豊中市に転入し、豊中市内の民間保育施設に就職する方

給付額限度

10万円

給付限度期間

1回

備考

※すでに、とよなか保育士応援手当の交付確定を受けたことがある方を除く

申込期間:令和6年5月31日まで

参考:豊中市ホームページ

 

池田市が実施している補助支援制度

池田市では、私立の保育所などで働く保育士のための独自の補助金制度があります。

 

詳細や申し込み方法については、池田市ホームページをご覧ください(池田市「私立保育所の保育士として働きたい方へ(池田市の補助金制度)」)。

 

池田市保育士等就職支援補助金(就職お祝い金)

池田市内の私立保育所などに就職が決まった方は一時金を受け取れます。

 

表15:池田市保育士等就職支援補助金(就職お祝い金)

対象施設

池田市内の私立保育所・認定こども園・小規模保育事業所

対象者

対象施設で就職が決まった正規職員または非常勤職員(実勤務が週35時間以上の方に限る)の保育士及び保育教諭

支給金額

正規職員10万円

非常勤職員5万円

備考

・池田市に在住していない方も対象

・当該施設で1年以上継続して勤務する必要があり

・退職などにより勤務期間が満たない場合は補助金を返還

参考:池田市ホームページ

 

大阪府は年収が高いだけでなく、市町村独自の補助支援制度が充実している!

大阪府は保育士の年収が全国的に見ても高いことがわかりました。

ただ、男女別で見ると男性は全国平均以下、女性は全国平均以上となり、女性保育士が平均値を上げています。これには勤続年数が大きく関わっていました。

それには、大阪府や府内の各市町村が行っている独自の補助支援制度をうまく活用しながら勤続年数を上げ、キャリアに伴った年収アップが可能ではないでしょうか。

 

何よりも大阪府内の多くの自治体が保育士を望んでいます。

保育士に興味がある方、これから保育士の勉強をする方、保育士として就職する方は、この機会に大阪府内のたくさんの補助支援制度を利用して保育士ライフを楽しんでください。

 

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