保育のコラム

メンタルクリニックを受診したところ、うつ病と診断…この先どう行動していけばよいか教えてください

2023/07/27

保育士の仕事は、抱える業務が多くてキャパオーバーになりがちで、心も体も休まる時がありません。責任も重く、常に気が張っている仕事です。

さらに、人間関係が複雑になりがちで、精神的負担の多い職種と言えます。

そんななか、うつ病や適応障害などの診断を受ける保育士は少なくないと聞きます。

 

本記事では、うつ病の症状と、診断された時どう行動していけばよいかを解説いたします。

自分が今どの状態に当てはまるか、どう進んでいけばよいかのきっかけとなれば幸いです。

 

保育士がうつ病で辞めたいと思ったら、これ以上無理をせず休むことが何よりも大切!

 

結論から申し上げますと、保育士がうつ病で辞めたいと思ったら、すぐに休む事が何よりも大切です。

これ以上無理をしないでください。

 

保育人材確保に関する調査 P23,質問21 保育施設からの回答 及びP71の統計によると、メンタルヘルスケアが必要な保育士が1人以上いる保育園は、経営主体に関係なく約27%もあるとのことです。

 

P42,質問23 保育士からの回答結果によると、すでにカウンセリングを受けているまたは薬を服用している3%、メンタルヘルスケアやカウンセリングを受けたいと思っている7%と合わせて10%、10人に1人はメンタルケアを必要としている事になります。

先輩や同僚に相談した56%、精神的負担を感じているが誰にも相談できないまたはまだしていない12% も合わせれば、実に78%もの保育士がなんらかの精神的負担を感じているということになります。

 

<参考資料>

厚生労働省 補助型調査研究 平成 28 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業

保育人材確保に関する調査 

 

無理をして仕事を続けるとさらに悪化して回復に時間がかかってしまう可能性も

 

日曜日の夜が憂鬱になったり、朝通勤する時がつらかったり、そんな感情と闘いながらも、なんとか我慢して通勤しているという方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、ここで無理をして仕事を続けると、さらに悪化してしまう事はまぬがれません。

悪化してしまうと、症状が重くなり、回復にも時間がかかってしまう可能性もあります。

 さらに重くなる前に、自分の事を最優先に考えましょう。

 

保育士を辞めたいと感じる原因となるうつ病の主な症状

 

それでは、うつ病の主な症状を見てみましょう。

 『こころの情報サイト』より、まとめました。

 

うつ病は気分障害のひとつです。

心に現れる症状(精神症状)と、体に現れる症状(身体症状)があります。

 

<精神症状>

・気分が落ち込む

・何をしても楽しめない

・悪いほうにばかり考えてしまう

・自分がダメな人間だと感じてしまう

・普段なら乗り越えられる問題も実際よりもつらく感じてしまう

・イライラする

・焦る気持ちが出てくる

・死んでしまいたいほどつらい気持ちになる

 

<身体症状>

・眠れない

・食欲がない

・疲れやすい

 

このように、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。

その他にも、家族が気付くサインや、自分で早めに気付くサインがあります。

 

<家族や周囲が気付けるサイン>

・表情が暗い

・自分を責めてばかりいる

・涙もろくなった

・反応が遅い

・落ち着かない

・飲酒量が増える

 

<うつ病かも?と気付く前のうつ病と思われるサイン>

・食欲がない

・性欲がない

・眠れない、過度に寝てしまう

・体がだるい、疲れやすい

・頭痛や肩こり

・動悸

・胃の不快感、便秘や下痢

・めまい

・口が渇く

 

このくらいですと、一般的にも「少し疲れているのかな?」程度に流してしまったり、無理をしてしまったりしがちです。

この時に無理をすると、悪化してしまう可能性が高いです。

 

<出典>

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所

知ることからはじめよう こころの情報サイト

 

保育士がうつ病で辞めたいと思った時の3つの選択肢

 

保育士がうつ病で「辞めたい」と思った時は、3つの選択肢があります。

詳しく見てみましょう。

 

【1】、一旦休職をしてゆっくり休む

 

いったんとにかく休むことです。

思い切って休職をして、ゆっくり療養します。

 

休職するためには医師の診断書が必須!上司や園長に相談しにくい場合は、先にメンタルクリニックを受診して診断書をもらおう

 

休職するためには、医師の診断書が必須です。

上司や園長に相談しにくい時は、先にメンタルクリニックを受診し、診断書をもらっておきましょう。

診断書があれば、上司や園長は反対する事は出来ません。スムーズに話や手続きが進むでしょう。

 

休職4日目以降は傷病手当金を受け取ることができる

 

休職して4日目以降は、最大支給を開始した日から通算して1年6ヵ月間、傷病手当金を受け取ることが出来ます。

 

受給資格は以下の通りです。

 

1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 

健康保険対象の治療だけでなく、自費診療でも支給対象になります。また、自宅療養でも可能です。申請には、就業できない事について診断書などの証明が必要になります。

ただし、労災保険の給付対象(業務上・通勤災害)や美容整形など病気と見なされないものは支給対象外です。

 

2.仕事に就くことができないこと

就業が難しいかどうかの判定は、療養担当者(主治医)の診断を基に、仕事の内容を考慮して判断されます。

 

3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の事由による病気やケガの療養のため3日間連続で休んだ場合、その後4日目以降からの支給となります。

断続的に2日出勤して1日休み、という繰り返しは対象になりません。

 

4.休業した期間について給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、

給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。

 

<出典>

全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

 

【2】退職してしっかりと回復させる

 

とにかく退職して、期限を気にせずゆっくり療養し、しっかり回復させる選択です。

休職しても、「早く回復して職場復帰しなくては」と考えると落ち着かない気分になる場合は、退職を選択するのも手です。

 

【3】業務的負担が少ない保育施設に転職する

 

業務の負担が少ない保育施設への転職という選択もあります。

サービス残業は当たり前、保育士の負担が大きく離職率も高い、一般的にブラックと言われる労働条件の保育園から、残業少なめで休日がしっかりありプライベートとの両立が出来る、自分に合った保育園に転職したことで救われた保育士も多くいます。

転職エージェント等に相談してみても良いかもしれません。

 

ただし、うつ状態の時は大きな決断をしないことが重要!まずは休職をしてある程度回復してから退職・転職を考えよう!

 

ただし、うつ状態の時は大きな決断をしないことが重要です。

まずは休職をしてじっくり療養しましょう。

 

うつ状態にある時は、物事を悲観的に見てしまいがちのため、前向きな判断が出来ません。

そのため大きな決断はしない方が賢明です。

うつ状態の時には、どうしても思考力や決断力が低下し「何もやる気が起きない」「情緒が不安定である」といった状況になっています。

そのような状況では、広い視野を持って前向きな決断をすることは難しいでしょう。

 

また、無理な決断をして実行したあと、さらに「何をやってもダメだ」「どうせ私なんて」「どうして自分はこんなに出来ないのだろう」などと自責の念にかられ、うつ状態が悪化する、自殺のリスクが高まる、などの危険性をはらんでいます。

 

そのため、退職・転職については、ある程度回復してから考える事が重要です。

 

<参考>

厚生労働省 こころの耳

 

保育士がうつ病で辞める時の一般的な流れ

 

保育士がうつ病で辞める時の一般的な流れをご紹介します。

 基本的には、通常と流れは同じです。

 ただし、うつ病の場合、休職した末に復帰せず退職となる場合もあるので、そちらも合わせてご紹介します。

 

まずは退職の意思を伝えることから始まりますが、休職せずすぐに退職を決断した時は、先にクリニックを受診し、診断書を取っておきましょう。

その後の話がスムーズになります。

 退職の意思は、法的には退職希望日の14日前までに申告をするよう法律で定められていますが、一般的には1ヶ月程度前に申告するのが良いとされています。

すぐに辞めたいといった場合も相談しましょう。

 

まずは直属の上司に退職意思を伝え、その後園長に伝えます。

その後、保育園側から退職に関する書類等が発行されますので提出します。

退職日には保険証や貸与品の返却を行い退職となります。

 

休職していた場合も同様に、休職期間が終わる14日前までに申告をします。

この場合は出勤できないので、電話で申告し、書類については郵送対応など、園の指示にしたがいましょう。

どうしても気が重く、退職の連絡や手続きが困難な場合は、退職代行サービスの利用を検討しても良いかもしれません。

 

一緒に働く同僚などに伝える場合は、保育園側の指示に従うようにしましょう。

職場の環境などに配慮して情報の解禁日を設ける保育園もあります。

 

子どもたちや保護者へ退職を伝えるかどうかも保育園の方針によります。

せっかく関わりのあった方々へ直接自分から伝えたいという思いがあったとしても、今後の影響を考えて退職後にプリントなどで伝えるのみにするなど保育園側にも方針があります。

 

周囲への混乱を招かないためにも、「うつ病で辞める」などと正直に言う必要はありません。

退職についてどのように伝えるかは園長や上司に聞いてから進めるようにしましょう。

 休職からそのまま退職になったケースでは、挨拶できない事を悔やむかもしれませんが、それも園側の方針に従いましょう。

 

うつ病で辞めたいと思ったら無理をせず、まずは休もう!

 

「うつ病」と診断されてまで、無理に頑張って出勤せず、まずは休みましょう。

「休むと迷惑がかかる」「もっと頑張らなくちゃ」と自己犠牲を払ったり、「できない自分やミスばかりする自分」を責めたりして頑張ってしまう事が、すでに冷静な判断が出来なくなっている状態です。

 

あなたの心は、すでに自覚している以上に悲鳴をあげている状態なので、まずはじっくり療養してください。

 

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