保育のコラム

保育士として保護者からのクレームが怖くて辞めたいです。クレームへの対処法や解決策はありますか?

2023/01/26

保育士の仕事で避けて通れない保護者からのクレーム。

その対応に悩み、不安を抱える保育士は多くいます。

精神的にもつらくなり、辞めたいと思う方もいるのではないでしょうか。

 

また、昨今では、理不尽すぎると感じるクレームや要求も多くなってきている傾向にあります。

 

本記事では、クレームはどのようなものがあるか、どんな対処をすればよいか、また解決策などをお伝えします。

今クレーム対応に悩んでいるあなたのヒントになれば幸いです。

 

保育士の離職理由の第7位は保護者対応の大変さ!

 

保育士という仕事の中で、クレーム対応は避けては通れません。

そのなかでも、近隣住民からのクレームもまれにありますが、保護者からのクレームが大半です。

クレーム対応は非常に難しく、慎重に行わなければいけない事で、対応を間違えるとさらに大きなトラブルになりかねないものです。

保育士自身や園に原因がある場合もありますが、理不尽に感じるクレームや、信じがたい要望もあり、保育士がつらいと感じるケースは少なくありません。

東京都福祉保健局の発表する「保育士有資格者全体の実態」 の資料によると保育士の離職理由第7位に『保護者対応の大変さ』とあげられている通り、保護者との関係に悩む保育士は多くいます。

 

「保育士を辞めたい」と感じてしまう代表的な5つのクレーム

 

それでは、保育士が「辞めたい」と感じてしまうのはどんなクレームか、理不尽なクレームや要求を中心に、代表的な事例を見てみましょう。

 

【1】保育園の規則に関するクレーム

 

事例:

・発熱のたびに職場に電話をしてきて困る!

 

病児保育室でなければ、発熱すればお迎えをお願いするのは当然のルールなのですが、仕事を早退しなければならなくなるため、イライラをぶつけてくる保護者の方はいます。

保育園では、子どもの体調回復のためと、園内での感染の危険等も考え、お迎えをお願いする基準を定めています。

それらを理解していないか、わかっていてもイライラをぶつけてしまっているのでしょうか。

 

事例:

・少しお迎えが遅れてしまったくらいで、延長保育料を払うなんて!

 

5分10分くらいのお迎えの遅れだと、「少しくらい」と延長保育料に納得しない保護者がいます。

連絡なく遅れる場合もあります。

いかなる理由があろうとも、定められた時間までにお迎えがなく、延長保育となった場合には延長保育料が発生する、ということを理解していただけてないのですね。

 

【2】子ども同士のトラブルに関するクレーム

 

事例:

・子ども同士のケンカやトラブルは、うちの子は悪くない、相手の子が悪いと決めつける

・うちの子に怪我をさせた子どもの親から謝罪がない。

 

集団生活の中で、おもちゃの取り合いなど、子ども同士のケンカやトラブルを避けて通ることはできません。

どちらが悪い、という決めつけではなく、どちらにも言い分はあります。

保育士は両方の言い分を聞いて解決へと導きます。

 

保護者間のトラブルに発展しないよう、相手の名前を伝えずに起こった事実を保護者に伝える事もありますが、相手の名前を聞き出そうとしたり、「うちの子は悪くない」と決めつけたりする事があります。

 

【3】子どものケガや事故に関するクレーム

 

事例:

・保育園で遊んでいる時に足を擦りむいた。きちんと見ていなかった保育士が悪い。

・夕方迎えに行くと朝はなかった傷があるのだが、保育士は何も言ってくれない!

 

活発に遊ぶ子どもたちに、怪我はつきもの。

擦りむくなどの小さな怪我は日常茶飯事です。

保育士は、大きな怪我のないようにしっかりと気を配っていますし目を離しませんが、100%怪我をさせない、というのは不可能です。

「我が子だけをしっかり見ていて」と言うほど、団体生活であり大勢の子どもたちがいる保育園だという事を理解しない保護者もいます。

怪我をさせたくない一心で、外遊びを嫌う保護者もいます。
しかし、過保護になってしまえば子どもの成長・発達を妨げてしまうことを理解してもらいたいですね。

 

【4】保育園行事に関するクレーム

 

事例:

・その日は仕事があるから行事の日を変更してほしい

・行事やイベントで配役や順番を決めたら「うちの子を主役にしてほしい。」「なぜこんな地味な役なのか」

 

行事に関して、自己都合を押し付けてくる保護者や、我が子が主役にならないと納得しない保護者がいます。

すでに決定している年中行事を一人の保護者の都合で簡単に変更できるものではありませんし、子どもの配役も自分だけ主張が通るわけではないことなど、周囲の事を想像できないのは、悲しいですね。

また、親の見栄だけで、我が子が本当はどんな役をしたいのか、も無視している可能性もあります。

 

【5】給食やおやつに関するクレーム

 

事例:

・アレルギーではないけど、我が家の方針で〇〇を飲ませないで(食べさせないで)欲しい。

・うちの子の嫌いな〇〇を給食のメニューに入れないでほしい

 

給食に関して、個別の丁寧な対応を心掛けている保育園もたくさんあります。

離乳食の進み具合・アレルギー対応・園によっては宗教上の理由でNGな食品まで対応しています。

しかし、アレルギー診断書も出ていないのに、特定の食品を他の子と違うものに変える対応はしていない保育園が大半です。

ましてや、嫌いだから抜くなんてことは対応できません。

むしろ、ご家庭と連携してどうやったら嫌いなものを克服し、食べてくれるようになるかを考えます。

 

クレームが原因で辞めたいと考えている保育士の主な解決策

 

クレームが原因で「辞めたい」と考えた時、どのように対処すれば良いのでしょうか?

主な解決策は3つあります。

 

1、上司に相談する

 

クレームに関して、一人で抱えてはいけません。

まずは、主任保育士やクラスリーダーなど、直接の上司に相談しましょう。

クレームの内容や状況も含め、つらいと感じている自分の心情もしっかりと伝えます。

クレーム内容によっては、一人の保育士としてではなく、園として対処することで解決することもあります。

 

2、クレーム対応のポイントを意識して対処する

 

クレームの内容が、保護者の自己中心的な考えによる理不尽な要求なのか、我が子を心配するあまりの事なのか、保育園や保育士側にも非のあることなのか、など、しっかり状況を考えてみましょう。

保護者がどのような心理で伝えてきたのかが重要です。

 

その上で、保育園側として謝罪しなければいけないこと、保護者に理解してもらわなければいけないこと、など、ポイントを意識して対処することが大切です。

 

3、体調に影響が出ている場合は休職や転職をする

 

あまりの理不尽さに、思い悩んで心身ともに疲れてしまう保育士もいます。

体調に影響が出てしまっている場合は、休職や転職をするのも、選択肢のひとつです。

 

クレームに対処する時の4つのポイント

 

クレームを受けた時に、実際にどのように対処するのが望ましいでしょうか?

問題がこじれて大きくならないためにも、早めの対処が肝心です。

ここでは、保護者との信頼関係を築くための、クレームに対処する時の4つのポイントを見てみましょう。

 

ポイント1:まずは保護者の意見を最後まで聞いて共感する

 

クレームを受けた時、まずは保護者の意見を最後まで聞くことが重要です。

理不尽なクレームや要求を受けると、反論したくなるかもしれませんが、否定したり途中で言葉を遮ったりといった言動は、ますます相手の感情を逆撫でするだけです。

気持ちをおさえて冷静に「反論せずに最後まで話を聞いてみる」事です。

どれだけ理不尽でも、まずは受け止める姿勢を持ちましょう。

 

受け止めると言っても、保護者の言いなりになるのとは違います。

事実を受け止め、保護者の主張や気持ちに共感する姿勢を示して話を聞きます。

そうすることで、相手も徐々に冷静になってくれるでしょう。

 

ポイント2:例外を作る判断をするのは控え、冷静に対応する

 

「受け止めると言っても言いなりになるのとは違う」というのを念頭に置き、クレームや要求をしてきた保護者の事だけでなく、全体の事を考えて冷静に対応することは忘れてはいけません。

一人の保護者のクレームを静めるために、例外を作って対応することは控えましょう。

 

ポイント3:クレームに対する回答を後回しにせず、早急に対応・報告する

 

曖昧な返事をしたり、回答を後回しにしたりすると、「あの先生に相談したのに、ちっとも動いてくれない。忘れているのか?」など、さらにクレームになることがありますので、早急に対応しましょう。

園長への問い合わせや園で検討などの案件になった場合、きちんと報告します。

時間がかかりそうな問題でも、進捗報告をすることを心掛けます。

そうすることで、真摯に対応していることが伝わります。

 

ポイント4:公平な視点で判断し、こちらに非があればきちんと謝罪する

 

クレームに対して、ただ謝れば良いわけではありません。

安易に謝るのは違います。

保護者の主張を鵜呑みにせず、事実確認をして公平な視点で判断することが重要です。

 

そのうえで、こちらに非があれば、それを認めてきちんと謝罪します。

 

もしも体調やメンタルに影響が出てきている場合は、休職や転職など一旦現在の環境から離れる判断をしよう!

 

保育士の仕事でクレーム対応はつきものですが、あまりにも理不尽なクレームですと、体調やメンタルに影響が出ている方もいると思います。

そんな時は、無理せず休職するか転職を決めるなど、いったん現在の環境から離れる判断をする事も視野に入れてみましょう。

 

<1>健康状態が悪い場合は、なるべく早く休職の相談をしよう

 

すでに心身に影響が出ていて、健康状態が悪い場合は、心も体も休めることが最優先です。

なるべく早く、園長に休職の相談をすることをおすすめします。

 

<2>健康状態に余裕はあるものの、疲れやしんどさを感じる場合は3日以上のまとまった休みや短期休暇を取得して休む時間を作ろう

 

健康状態はそんなに悪くはなく少し余裕はあるものの、疲れやしんどさを感じる場合は、心身が悲鳴をあげる前にリフレッシュすることが重要です。

3日以上のまとまった休みや短期休暇を取得して、仕事の事を考えずゆっくり休む時間を作りましょう。

 

<3>健康状態に特に問題がない場合は、転職を視野に入れよう

 

自分ではまだ大丈夫、と思っていても、気付かないうちにストレスをためているかもしれません。

このままの状態が続くと、体調を崩してしまうかもしれません。

そうなる前に、今特に健康状態に問題がなく、転職活動をする体力があるのであれば、転職も視野に入れましょう。

 

保育士が辞める一般的な流れ

 

保育士が「辞めたい」と思った時、クラス担任や業務の関係で、年度末等退職の時期を考えなくてはいけません。

そのうえで、退職の意思が固まった時、まずは直属の上司にあたる主任保育士やリーダーの方に退職の以降を伝え、次に園長先生に伝えます。

 

園によって対応も違うため、自分が園長先生に直接話す方が良いか、上司が園長先生に伝えてから行動するのが良いか、直属の上司に確認します。

その後、退職関係書類の提出等事務的な手続きをします。

 

また、ほかの先生や保護者に伝えるのか伝えないのかも園によって方針が違います。

子どもたちや保護者の混乱を防ぐため、最後まで伏せておき、退職後にプリントや掲示でお知らせする場合もあるので、指示に従いましょう。

 

体調やメンタルを崩してしまう前に、休職・転職を判断しよう!

 

保護者の理不尽なクレーム、自己中心的で我儘な要求などに日々対応していると、心身ともにかなり負担になりかねません。

しかし、心身を壊しては元も子もありません。

体調を崩したり、メンタルに支障をきたしたり、といった状態になってしまう前に、思い切って休職や転職の判断をして、行動しましょう。

 

 

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