保育のコラム

保育士が転職する時に必要な在職証明書って何?請求方法や注意点を解説

2024/03/13

保育士が転職する時に必要な「在職証明書」という書類はご存知でしょうか?

転職先の保育園に提出しなければならず、あなたの給料に大きく影響するものです。

 

「在職証明書なんて聞いたこともない」

「どうすれば受け取れるの?」

と不安に思ってしまうかもしれません。

 

そこで今回は、在職証明書についての基本的なことから、請求方法や注意点にいたるまで詳しく解説していきます。

転職を考えている保育士の方や、転職先の保育園がすでに決まっている方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。

 

在職証明書とは?

在職証明書とは、保育士が認可保育園に何年勤務していたかを証明する書類です。

 

認可保育園へ転職する際に必要で、転職経験がある場合は、今まで勤務したすべての認可保育園の在職証明書を用意しなければいけません。

 

1日6時間以上、月20日以上勤務している保育士が対象となります。ただし、認可保育園以外で働いていた場合は、保育士の勤務年数の対象とされません。

 

転職時に在職証明書が必要となる理由

なぜ、認可保育園へ転職する際に在職証明書が必要なのでしょうか。

これには、「処遇改善加算制度」という補助金制度が関係しています。

 

この制度は簡単に言うと、保育士の給料アップのための取り組みのこと。

保育士の給料が他の職種に比べて低く、保育士不足を招いていたことが理由で国が実施しました。

 

この制度には、保育士の勤務年数に応じて給料が上がる「処遇改善手当Ⅰ」と、役職に就くと給料が上がる「処遇改善手当Ⅱ」があります。

在職証明書は、「処遇改善手当Ⅰ」を申請する際に、勤務年数を証明する意味で必要になります。

 

詳しい内容が知りたい方は、子ども家庭庁ホームページをご覧ください。

 

パートやアルバイトでも必要になるケースも

保育士の中には、パートやアルバイトなどの雇用形態で働いてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような非正規雇用だった方も在職証明書が必要になるケースがあります。

 

原則として、1日6時間以上・月20日以上、勤務してきた保育士が対象となるので、転職先の保育園で求められた際には提出をしましょう。

 

保育士が在職証明書を受け取る方法

それでは、保育士が在職証明書を受け取るにはどうすればよいのでしょうか。

基本的に在職証明書は、保育士自身が前の職場に依頼して受け取らなければなりません。

 

受け取り方法は、

・退職日に手渡しで受け取る

・退職後に郵送してもらう

 

の2つのパターンがあります。

 

以下に詳しく解説しましたのでご覧ください。

 

【1】退職日に手渡しで受け取る

在職証明書を退職日に手渡しで受け取る場合、発行に時間がかかる場合があるので、あらかじめ保育園側に作成を依頼しておきましょう。

 

退職後の勤務先が決まった時点で、早めに話をしておくことがベターです。

ちなみに、在職証明書を自分自身で作成しなければならない場合があることも念頭に置いてください。

その際は、以下のような必要項目を盛り込んで作成する必要があります。

 

自分で作成することも想定して、あらかじめ必要項目を把握しておくとよいでしょう。

 

・発行依頼者の氏名

・生年月日

・雇用期間

・雇用形態

・役職

・職務内容

・勤務地

・発行日

・発行元の保育園名

・発行元の保育園の住所

・証明印

 

【2】退職後に郵送してもらう

退職してから転職が決まった場合や、複数回転職している場合は、退職後に郵送してもらうことができます。

在職証明書の作成が退職日までに間に合わなかった場合も同様ですので、退職日に受け取れなかったからといって焦る必要はありません。

 

退職後に郵送してもらう場合は、依頼文を作成する必要がある!

在職証明書を退職後に郵送してもらう場合は、発行してもらうための依頼文を作成する必要があります。

書いたことがない人もいると思いますが、書くためのポイントがありますので参考にしてみてください。

 

在職証明書の依頼文の内容

在職証明書を発行してもらうための依頼文の書き方について、下記の「表1」にまとめました。

 

内容に漏れがないように、きちんと確認しながら記載しましょう。

依頼文を送付する封筒にくわえて、保育園側が発行した在職証明書を返送するための返信用封筒と切手を同封すると、心遣いが伝わって印象がよくなります。

 

表1:依頼文に記載する項目と書き方

項目

書き方

宛名

書面の左上に、依頼する保育園名を正式名称で記載します。

作成した年月日

書面の右上に、依頼文を作成した年月日を記載します。

件名

書面の上段中央に件名を記載します。

「在職証明書発行のご依頼について」など簡潔でわかりやすい件名をつけましょう。

挨拶分

依頼文のはじめに「拝啓」などの頭語を書き、頭語から1文字空けて、季節にふさわしい時候の挨拶を書きます。

「時下」は季節に関係なく使用できるので便利です。

本文

「さて」「早速ではございますが」などの言葉で話題を切り替えて本題に移ります。

本文には、「新しい園への転職が決まったため、在職証明書を発行してほしい」という旨を記載しましょう。 

その際、以下の項目を明記します。

・発行部数

・返送期限

結びの言葉

本文を書き終えたら、「大変お手数をお掛けしますが、何卒宜しくお願い申し上げます」といった文言と、頭語と対になる結語「敬具」などを記載します。

差出人の情報

書類の一番下に、自分自身の氏名・住所・連絡先(電話番号)を記載します。

連絡先は、日中連絡が取りやすいものにしましょう。

 

在職証明書の依頼文の例

 

令和〇年〇月〇日

(依頼文を作成した年月日)

社会福祉法人〇〇会 〇〇保育園

〇〇〇〇 様(担当者名)

 

在職証明書の発行依頼について

 

拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。在職中は大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。

 

早速ではございますが、再就職のため在職証明書が必要となりました。

つきましては、ご多忙中のところ大変恐縮ではございますが、下記の項目にて在職証明書を[数量]部発行していただきたくお願い申し上げます。

 

なお、提出期限がございますので、〇月〇日までに返信用封筒にてご返送いただけると幸いです。大変お手数をお掛けしますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

敬具

 

1.氏名

2.性別

3.生年月日

4.郵便番号・住所

5.採用年月日

6.雇用期間

7.雇用形態

8.仕事内容・役職

以上

 

【氏名】保育花子

【住所】〒123-4567 〇〇県○○市〇〇 コーポ〇〇201

【連絡先】090-〇〇〇〇-〇〇〇〇(携帯)

 

在職証明書を請求する際の注意点

以前の職場に在職証明書を請求する際の注意点がいくつかあります。

場合によっては、書類が期限までに到着しなかったり、内容が違っていたりする可能性がありますので、ぜひチェックしてみてください。

 

注意点1:スケジュールに余裕を持って請求する

園によっては、行事が重なったり、人手不足だったりするなど、さまざまな理由で在職証明書の発行に時間がかかってしまう場合があります。

 

提出期限のギリギリになって発行を依頼してしまうと、発行元の園だけでなく、これから新たに勤務する園に対しても大きな迷惑がかかることになります。

 

そのため、在職証明書の発行を依頼する際は、必ずスケジュールに余裕を持って請求するようにしましょう。

 

注意点2:あらかじめ電話で依頼文を送ることを伝えておく

勤務していた保育園に在職証明書の発行を依頼する場合は、あらかじめ電話で依頼文を送ることを伝えておくことが大切です。

 

何の連絡もなしに依頼文だけ送ってしまうと、場合によっては他の郵便物に混じるなどして開封が遅れてしまいかねません。

 

園側としても、忙しい業務の中での発行作業なので、突然依頼文が送られてくるよりも、電話を一本入れるだけで印象がよくなり、協力的になってくれる可能性が高まるでしょう。

 

注意点3:履歴書の内容と相違がないか確認する

在職証明書に記載されている内容と、転職先に提出する履歴書の内容に相違がないか確認しましょう。

雇用期間や役職が異なって記載されていると、場合によっては経歴詐称を疑われてしまうことにもつながりますので、念入りにチェックしてください。

 

ただし、中には在職証明書をもらえないケースも……

在籍証明書は、退職者から申請があれば、ほとんどの園は発行してくれるでしょう。

ただし、中には在職証明書をもらえないケースも存在します。

 

もらえないケース1:園が廃業した

勤務していた園が廃業した場合、残念ながら在職証明書をもらうことができません。

在職証明書は、今まで勤務していた認可保育園のものをすべて用意する必要があるので、複数回にわたって転職をしている場合は特に注意しましょう。

 

もらえないケース2:在職時にトラブルがあった

在職時に園とトラブルがあった場合も、在職証明書をもらえない可能性があります。

在職証明書は、法的に発行が義務づけられている書類ではない任意の証明書です。

そのため、園によっては発行を拒否する場合があるかもしれないので、できるだけ円満退社をするように心がけておいた方がよいでしょう。

 

在職証明書がもらえない場合の対処法

それでは、在職証明書がもらえない場合はどのようにすればよいのでしょうか。

もらえない場合の対処法として2つにまとめましたので、いざという時にお役立てください。

 

対処法1:転職先の園に相談する

勤務していた園から在籍証明書を受け取れない場合は、転職先の園に相談しましょう。

園によっては、保育士としての正確な勤務年数がわかればよいケースもあります。

給与明細書や年金の加入記録がわかる年金定期便など、ほかの証明書類で代用可能かもしれません。

 

対処法2:勤務形態や条件を変更する

転職先での勤務形態や条件を変更することも、在職証明書がもらえなかった場合の対処法の一つです。

冒頭で書いたように、保育園が行政や自治体に在職証明書を提出する必要があるのは、保育士として1日6時間以上・週20日以上勤務していた場合です。

 

そのため、この基準を満たさなければ、処遇改善加算の対象にはならないので在職証明書の提出は必要ありません。

ただし、処遇改善加算の対象にならないということは、もらえる給料が低くなる可能性がありますので、あらかじめ頭に入れておきましょう。

 

在職証明書は早めに請求することが大切!

いかがだったでしょうか?

 

今回は、転職の際に必要な「在職証明書」について見てきました。

日ごろ関わるような書類ではありませんが、保育士の転職の際には、非常に重要な書類になることがわかっていただけたかと思います。

 

先述のとおり、在職証明書の発行を依頼しても、到着が遅くなってしまうことや、場合によっては発行ができない可能性もありました。

いずれにせよ、在職証明書は早めに勤務していた園に請求することが大切です。

 

あなたの給料を左右する大事な書類なので、「たかが書類」と思わずに、転職の際は必ず意識しておいてほしいと思います。

 

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