保育のコラム

新卒で保育士ですが、「3年は同じ職場にいなければ、次の転職に影響する」は本当ですか?

2023/02/27

新卒保育士で、辛くて辞めたいと考えた時、周囲に相談するとほとんどの場合止められて、考え直すよう諭されるかもしれません。

「3年は同じ職場にいなければ、次の転職に影響する」と言われて我慢する方もいるでしょう。

でも、本当にそうでしょうか?

3年我慢したほうが良いのか?新卒の転職は不利なのか?

 

この記事では、新卒で辞めたいと悩む方がどうしたら良いか、検討のひとつとして参考にしてください。

ずっと保育士編集部

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

新卒の保育士が辞めたいと思う主な理由

保育士を志し、養成校を卒業、晴れて念願の保育士になったのに、想像していたのと違う、こんなはずじゃなかった・・・と、つらい思いをしている新卒保育士は多くいます。

では、どのような時に、辞めたいと悩むのでしょうか。

 

理由1:覚えることが多くて体力的にも精神的にもきつい

 

保育士養成校や、実習でたくさん学んでいても、学びは終わりではありません。実際に現場に出ると、まだまだたくさんのことを覚えなくてはいけないのです。

 

すべての業務が初めての経験ですから、日々の保育業務の他、掃除などの雑務、さらには事務や行事準備等々、覚えなくてはならない事はたくさんあります。

 

保育士としての専門的な知識だけでなく、社会人としてのマナーもこれから学んでスキルを上げていくのです。

 

新人保育士はまだまだわからないことばかりなのが普通の事なので焦る必要はありません。

一度聞いただけではなかなか覚えることは難しいものです。不安な時は恐れず確認の質問をしましょう。

しかし、保育園や先輩によっては、質問しにくい空気で悩んでしまい、精神的に辛くなるケースもあるようです。

 

理由2:やりたい保育と実際の仕事にギャップがある

 

自分の理想とする保育と、園の方針や先輩保育士のやり方等にギャップを感じると、辞めたいと悩む事もあります。

 

保育士は、自分がやりたい保育や理想の保育園像などを胸に抱き、期待して就職する事でしょう。

多くの保育士にとって、保育園の運営方針や保育理念は働くうえで非常に大事な要素であり、やりがいとなります。

反対にそういったところが合わないと感じると、辛くなるようです。

 

理由3:上手く仕事をこなすことができないことで自分を責めてしまう

 

新卒保育士は、上司や先輩保育士から常に指導を受ける立場ですが、時々そのアドバイスがキツイと感じたり、いつも怒られてばっかりと自信を喪失してしまったりといった事もある事でしょう。

新卒保育士は、いろいろなことがまだ出来なくて当然ですが、先輩と比較して上手く仕事をこなせない自分を責めてしまい、思い悩むケースが多いようです。

 

理由4:給料や労働時間などの待遇に不満を感じる

 

新卒に関係なく、給料が低いと言われている保育士。

業務の大変さや責任の重さから考えても見合っていないと感じるとモチベーションも下がるでしょう。

また、早番遅番等のシフト制になっているにもかかわらず早朝から夜遅くまで勤務していたり、残業や持ち帰り仕事があったりといった事が多い園だと、まだ慣れていない新卒保育士では、体力的にも辛くなります。

 

このように、労働環境・待遇や給料に不満を感じて辞めたいと思うようです。

 

理由5:職場の人間関係にうまく馴染めない

 

園長と先輩保育士ですでに園の雰囲気が出来上がっている中に飛び込むのは不安がつきものですね。

特に同期入社がいない、またはいても同系列他園配属など、励まし合える仲間がいない状況では、馴染めるかどうかが働きやすさにかかってきます。

 

そんな中、厳しい指導を受けて萎縮してしまったり、先輩保育士の保育のやり方に疑問を感じたり、といった事が原因でコミュニケーションを円滑にすることが難しくなるケースもあります。

このように、職場の人間関係にうまく馴染めないと感じて辛いと、辞めたいと思うようです。

 

そもそも新卒で保育士を辞めても大丈夫?今後の転職活動やキャリアに影響はある?

 

新卒1年目で辞めてしまうと転職活動に不利なのではないか?と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

 

昭和の時代は、いわゆる終身雇用の時代で「いい会社に入って働き続ける。定年まで職務をまっとうする。」事が当たり前であり美徳とされていて、「早い段階で転職する人は飽きっぽい。我がままだ。」と思われることもある時代でした。しかし現代は多様性が認められる時代で、様々な働き方が受け入れられている時代です。

また、現代では1年〜3年目で退職する人の事を『第二新卒』と言い、一般でももう一度再教育して活躍して欲しいと言われている世代でもあります。

 

本人が新卒気分で努力しなければネガティブな結果になってしまいますが、前向きに考えた結果の方向転換であれば受け入れられることの方が多いでしょう。

保育士1年目は、まだまだ「伸びしろ」を見てもらえる段階なので、大きなつまずきになることはありません。

 

また、今は保育士不足で、求人を出しても保育士が集まらないというのが現状です。

そのため、1年目で転職をしたぐらいでは、特に不採用の理由にはならない事がほとんどですので、心配する必要はありません

 

「なぜすぐにやめようと思ったのか?」という点についてはきちんと回答を用意しておこう!

 

 

新卒で転職が不利になることはありませんが、転職活動においては、「なぜ1年目で転職しようと思ったのか?」をしっかり答えられるようにしておきましょう。

 

面接などで、転職理由を聞かれることは多いと思います。

また、保育園側に「また採用してもすぐに転職してしまうのではないか?」という懸念を与えてしまうことは事実です。

 

できれば、転職理由をプラス要素で答えるようにしましょう。

「あれが嫌だったから辞めた」とか、以前の園の悪口になってしまう回答は印象が悪く聞こえますが、「こういうことがやりたかった」「こういう保育士になりたいと思った」「こういう園で働きたいと思った」など、自分が経験したことから、スキルアップを目指すようなプラスの要素を話せるようにすると良いでしょう。

 

以下の表にマイナスの回答をプラスへ変換する事例をご紹介します。

 

マイナスの回答

プラスの回答

<例>

残業が多くて疲れ切ったので辞める

<例>

将来園長になりたいと思っており、効率の良い仕事をするために取り組んでおられる園のやり方を知りたいと思ったので、退職して勉強しなおしたいと思った

仕事量が多く、正規保育士にかかる負担が大きい

もっと一人ひとりの子どもたちと触れ合いたいと思い、転職を希望しました。前職では、担任一人にパートの補佐保育士を4名でひとクラスを担当していました。ねらいの設定から、書類の作成、クラス行事の企画、連絡帳の記入など、私一人が担当せねばならず、子どもの保育のほとんどを補助の保育士にお願いしていました。保育士としての事務スキルなどは向上したとは思いますが、業務に追われ一人ひとりの子どもたちの成長に直接時間を割くことができませんでした。できればもっと人員配置に余裕を持って子どもとの接する時間を大切にできる園で働きたいと感じています。

人間関係が上手くいかず辞める

保育士同士の協力をしたアットホームな環境で働きたいと思い転職を決めました。以前の園は大規模園で一人ひとりの役割がはっきりしていました。そのため、お互いに何でも意見を出しあうというよりは、自分の仕事を自分だけで完遂するということが求められました。もちろんそのことで身についた力はたくさんありますし、勉強もさせていただいたと思っています。しかし、私は根本的には人が好き、子どもが好きで保育士になったため、できるだけ小規模で、協力をしたり意見を出し合ったり、他者の視点を取り入れた仕事の仕方をしたいなと考えています。

 

 

また、下記の記事は、保育士1年目で転職を迷っている方のQ6Aです。

新卒保育士が退職を決意し、転職活動をする事を検討した時、どのような点に注意すれば良いのかがわかりやすく記載されています。

ぜひ参考にしてみてください。

 

>>保育士1年目で転職しても大丈夫ですか?その後に影響はありますか?

 

 

今後の転職やキャリアについては安心してOK!まずは辞めたい気持ちや体調を優先することが大切

 

ここまでで、新卒だからといって転職が不利になるというわけではない、ということをご理解いただけたのではないでしょうか?

 

親などに相談すると、「3年は同じ職場にいなければ、次の転職に影響する」と反対されるかもしれません。

しまし、無理をして続けた結果、体調やメンタルを崩してしまうと休業せざるを得ない状況になったり、回復に時間がかかったりと、今後の転職やキャリアに影響しています。

 

「3年は同じ職場にいなければ、次の転職に影響する」というのはあくまで一般論です。

自分の心と体を最優先にして、辞めることを検討することが大切です。

 

新卒で保育士を辞める場合の流れ

 

保育士を辞める場合の流れは基本的に新卒も新卒以外も変わりありません。

ここでは、一般的な流れをお伝えします。

STEP1:直属の上司に相談または報告をする

 

誰に最初に相談または報告するべきかは、保育園によって違うかもしれませんが、基本的には直属の上司にまず相談します。

一緒に担任を組んでいる担任リーダーや主任保育士などです。

しかし、直属の上司が退職の原因となっている場合など、直属の上司に言えない場合は、その上の上司に伝えます。

 

STEP2:園長に辞める意思を報告する

 

直属の上司に伝えた後は、園長に辞める意思を報告します。

タイミングは、保育士であればやはり年度末のタイミングがよりスムーズになりますから、年度末に退職するのであれば、おおよそ年末までに伝えておけば来年度の人員配置に混乱もないでしょう。

ただし、年度末まで勤務するのはしんどいという場合は、自分のメンタルや体調を最優先に検討しましょう。

 

年度途中に退職するのであれば、労働基準法では退職届を退職希望日の2週間前までに提出するよう定められています。

園独自の規定がある場合もあり、それぞれ違うかもしれませんが、おおよそ1ヶ月前までに申告すると良いでしょう。

 

STEP3:職場へ周知する

 

職場への周知は園によって方針が違いますので、園長または人事に指示をもらいましょう。

退職が決まったとたん職員間で気まずくなることを避けたいためや、保護者や園児への混乱を防ぐため、ギリギリまで知らせない事もあります。

 

STEP4:業務の引き継ぎ

 

職場への周知のあとは、自分が行っていた業務の引継ぎです。

担当の役割、担当した園児についてなど、しっかりと引き継ぎます。

多忙な保育園業務の中で引き継ぎ時間を設けることが出来ないまま退職となるケースもありますので、書類を見ればわかるように残しておくことも大切です。

 

STEP5:退職

 

事務手続きや引継ぎを終え、無事退職となります。

退職の日までは、業務に尽力します。

最終日には、しっかりとお礼の挨拶をしましょう。

 

つらかった嫌な思い出しかなかったとしても、良い印象を残したほうが賢明です。

 

また、保護者や園児への挨拶は園の方針に従いましょう。

挨拶は行わずプリントや掲示版のみ、といった園もあります。

 

 

新卒で保育士を辞めても全く問題ない!まずは自分の心と体を優先して判断しよう!

 

いかがでしたでしょうか?

「1年目で保育士を辞めるなんて、私って保育士に向いていないのかな。」「私って駄目な人間だな。」などと自分を責める必要はありません。

ましてや我慢しすぎる事もありません。

むしろ我慢して働いていると、心や体を壊してしまうかもしれません。

 

新卒で辞めても全く問題ありませんので、まずは自分の心と体を優先して判断しましょう。

 

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