2025.09.01
ニュースリリース
〜保育士給与10%上昇も「実感なし」が半数超、保育現場の構造的課題が浮き彫りに〜
株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)が運営する子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」は、保育園・幼稚園・こども園等で勤務する保育士・幼稚園教諭・保育教諭146名を対象に、【保育士編】育児介護休業法改正に関する意識調査を実施しましたので、お知らせいたします。
本調査のダウンロードはこちら:https://bit.ly/45EqG1n
※1|合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
≪利用条件≫
「Q1.あなたは、2025年4月に施行、2025年10月に施行予定の『育児介護休業法改正』について、知っていますか。」(n=143)と質問したところ、2025年4月の法改正は「内容まで詳しく知っている」が22.3%、「概要は知っている」が25.9%、「名前だけは聞いたことがある」が25.9%、2025年10月の法改正は「内容まで詳しく知っている」が17.5%、「概要は知っている」が27.3%、「名前だけは聞いたことがある」が27.3%という回答となりました。
<2025年4月の法改正>
<2025年10月の法改正>
「Q2.あなたは、現在の職場で育児休業を取得したいと思いますか。」(n=143)と質問したところ、「取得したいが、現実的に取得が困難である」が9.1%、「あまり取得したいと思わない」が5.6%、「全く取得したいと思わない」が4.9%という回答となりました。
「Q3.あなたは、現在の職場で育児休業の取得が可能ですか。」(n=143)と質問したところ、「取得可能」が69.2%、「取得できるが困難」が23.8%、「取得不可能」が3.5%という回答となりました。
Q2で「取得したいが、現実的に取得が困難である」「あまり取得したいと思わない」「全く取得したいと思わない」、またはQ3で「取得できるが困難」「取得不可能」と回答した方に、「Q4.育児休業を取得したくない又は取得が困難な理由を教えてください。(複数回答)」(n=49)と質問したところ、「人手不足で同僚に迷惑をかけるから」が38.8%、「収入面での不安があるから」が34.7%、「代替職員の確保が困難だと思うから」が30.6%という回答となりました。
「Q5.2025年4月に施行、2025年10月に施行予定の『育児介護休業法改正』の賛否を教えてください。」(n=143)と質問したところ、「賛成」が44.0%、「やや賛成」が37.1%という回答となりました。
※2025年4月・10月から施行される育児介護休業法の主な改正内容
・残業免除の対象となる労働者を「3歳までの子を持つ親」から「小学校就学前の子を持つ親」まで拡大
・3歳未満の子を持つ労働者に対してテレワークを事業主の努力義務として追加
・3歳~小学校入学前の子を養育する労働者が柔軟な働き方を実現するために、事業主が法令が定める5つの措置のうち2つ以上を導入し、労働者のニーズに合わせて制度を選択できる仕組みをつくることを義務化
Q5で「賛成」「やや賛成」と回答した方に、「Q6.今回の法改正に賛成している理由を教えてください。(複数回答)」(n=116)と質問したところ、「保育士も育児と仕事の両立がしやすくなると思うから」が55.2%、「働き方の選択肢が増えると思うから」が49.1%、「保育業界全体の働き方改革が進むと思うから」が41.4%という回答となりました。
Q5で「やや反対」「反対」と回答した方に、「Q7.今回の法改正に反対している理由を教えてください。(複数回答)」(n=11)と質問したところ、「保育の質の維持が困難になると思うから」が54.5%、「シフト調整や人員配置が更に困難になるから」が45.5%という回答となりました。
「Q8.あなたは、近年の保育士の処遇改善(給与アップ等)について、実感していますか。」(n=143)と質問したところ、「あまり実感していない」が33.5%、「全く実感していない」が18.9%という回答となりました。
Q8で「あまり実感していない」「全く実感していない」と回答した方に、「Q9.処遇改善を実感できない理由を教えてください。(複数回答)」(n=75)と質問したところ、「他業種と比較してまだ低水準だから」が53.3%、「給与の上昇幅が期待より小さいから」が42.7%、「業務負担に見合った改善ではないから」が38.7%という回答となりました。
■まとめ
今回は、保育園・幼稚園・こども園等で勤務する保育士・幼稚園教諭・保育教諭146名を対象に、【保育士編】育児介護休業法改正に関する意識調査を実施しました。
まず、育児介護休業法改正の認知度に関しては、2025年4月の法改正は74.1%、2025年10月の法改正は72.1%の結果となりました。また、現在の職場での育児休業取得について、約3割が「取得できるが困難/取得不可能」と回答しており、その理由としては、「人手不足で同僚に迷惑をかけるから」(38.8%)、「収入面での不安があるから」(34.7%)が上位に挙げられています。さらに、81.1%が、育児介護休業法改正に「賛成」の意向を示し、賛成理由では、「保育士も育児と仕事の両立がしやすくなると思うから」が55.2%で最多となりました。一方で、52.4%が、近年の保育士の処遇改善を「実感できていない」と回答しており、「他業種と比較してまだ低水準だから」(53.3%)や「給与の上昇幅が期待より小さいから」(42.7%)などの理由を挙げています。
今回の調査では、保育士の育児休業制度における複雑な現状が明らかになりました。法改正により制度の改善が期待されていますが、現場では慢性的な人手不足が影響し、制度を活用することが実際には難しいという構造的な問題が浮き彫りになっています。また、処遇改善の取り組みが進められているものの、保育士の多くがその効果を実感できていないことも判明しました。これらの課題に対処するためには、保育現場の人材確保を支援する包括的なサポート体制の構築が必要です。特に、保育士が育児と仕事を安心して両立できる環境づくりには、代替職員の確保や柔軟な働き方を可能にする居宅訪問型保育サービスなど、”保育士のため”の多様な保育サービスの活用が求められるでしょう。
また、2025年4月の制度改正により、教育・保育施設設置者の経営状況の公表が義務化されています。公的資金が適切に保育現場で働く人々に還元されているかを視覚化することが目的の一つとして掲げられていますが(※2)、人材確保をより円滑に行うには、こういった運営状況の透明性以外に、取り組んでいる内容を効果的に外部に伝える発信力も、保育事業者に求められていると言えるでしょう。
※2参照:こども家庭庁|保育所等における継続的な経営情報の見える化について
本調査のダウンロードはこちら:https://bit.ly/45EqG1n
当社の提供するサービスに関するお問い合わせはこちらからお願いいたします。
受付時間 / 9:00〜18:00(土日祝日を除く)