新着情報

<まもなく卒園式>行事業務に追われる保育士100人の本音調査! 7割以上が、行事業務に「精神的・肉体的に負担」を実感

2023/02/10
ニュースリリース

憂鬱な行事準備...増える残業、自腹で購入 “行事のための保育になってしまっている”実態が明らかに

 

子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ(https://konnect-labo.jp/)」を運営する株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、https://www.g-asuka.co.jp/index.htm)は、イベントや行事を行う保育園に勤める保育士108名を対象に、保育士の行事業務の負担に関する実態調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。

 

■調査サマリー
保育士の行事業務の負担に関する実態調査
 
■調査概要

調査概要:保育士の行事業務の負担に関する実態調査

調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査

調査期間:2023年1月19日〜同年1月20日

有効回答:イベントや行事を行う保育園に勤める保育士108名

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

 

≪利用条件≫

1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。

2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。

URL:https://konnect-labo.jp/

 

■保育園での実施行事、第1位「卒園式」、第2位「クリスマス会」

 「Q1.あなたの勤務する保育園ではどのような行事を行なっていますか。(複数回答)」(n=108)と質問したところ、「卒園式」が82.4%、「クリスマス会」が81.5%、「運動会」が80.6%という回答となりました。

Q1

・卒園式:82.4%

・クリスマス会:81.5%

・運動会:80.6%

・誕生日会:79.6%

・入園式:78.7%

・遠足:78.7%

・お別れ会:68.5%

・生活発表会(劇や作品):64.8%

・ひなまつり:58.3%

・お遊戯会(音楽会):37.0%

・お餅つき大会:37.0%

・作品展:34.3%

・お泊まり保育:25.9%

・謝恩会:23.1%

・その他:0.9%

 ー57歳:七夕まつり、節分の会、夏の集い

・わからない/答えられない:0.9%

 

■保育士の行事に関する業務、7割以上が「製作の準備」や「行事後の片付け」と回答

 「Q2.あなたは、どのような行事業務を行なっていますか。(複数回答)」(n=108)と質問したところ、「製作の準備」が74.1%、「行事後の片付け」が71.3%、「壁面の装飾」が60.2%という回答となりました。

Q2

・製作の準備:74.1%

・行事後の片付け:71.3%

・壁面の装飾:60.2%

・行事の運営:54.6%

・行事の計画:53.7%

・行事の作成:52.8%

・その他:3.7%

 ー52歳:行事の為の物づくり

・わからない/答えられない:1.9%

 

■全体業務の中で行事業務の割合は、半数以上が「30%以上」と回答

 「Q3.あなたは、年間を通した行事業務(行事・製作含めた業務)について、全体の業務の中でどのくらいの割合を占めていますか。」(n=108)と質問したところ、「30%~40%未満」が22.2%、「40%~50%未満」が11.1%という回答となりました。

Q3

・50%以上:17.6%

・40%~50%未満:11.1%

・30%~40%未満:22.2%

・20%~30%未満:21.3%

・10%~20%未満:13.9%

・10%未満:6.5%

・わからない/答えられない:7.4%

 

■行事業務に関して、約8割の保育士が「精神的な負担」を実感

 「Q4.あなたは行事業務が精神的に負担に感じた経験はありますか。」(n=108)と質問したところ、「かなりある」が37.1%、「ややある」が42.6%という回答となりました。

Q4

・かなりある:37.1%

・ややある:42.6%

・あまりない:15.7%

・全くない:0.0%

・わからない/答えられない:4.6%

 

■精神的負担のエピソード、「休日も仕事のことを考えていた」(57.0%)や「行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている」(54.7%)

 Q4で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q5.行事業務が精神的に負担に感じた経験を具体的に教えてください。(複数選択)」(n=86)と質問したところ、「休日も仕事のことを考えていた」が57.0%、「行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている」が54.7%、「子ども一人ひとりに向き合う時間が取れなかった」が47.7%という回答となりました。

Q5

 

・休日も仕事のことを考えていた:57.0%

・行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている:54.7%

・子ども一人ひとりに向き合う時間が取れなかった:47.7%

・休日に行うこともありプライベートとの両立ができなかった:43.0%

・責任が重かった:38.4%

・保護者対応に気を使うことが多かった:37.2%

・仕事を頼まれると断れなかった:31.4%

・その他:3.5%

 ー32歳:衣装や小道具などの準備物の多さ

 ー41歳:アイディアをひねり出すのが大変だった

 ー34歳:衣装や小道具などの準備に追われること

・わからない/答えられない:1.2%

 

■他にも「大きな行事がコロナや天候で中止になりかけ、保護者からのクレームがたくさん来た」や「いろんな先生の方向性の違いがあり、意見をまとめることが難しい」などで負担を実感

 Q4で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、行事業務が精神的に負担に感じた経験があれば、具体的なエピソードを自由に教えてください。(自由回答)」(n=86)と質問したところ、「大きな行事がコロナや天候で中止になりかけ、保護者からのクレームがたくさん来た」や「いろんな先生の方向性の違いがあり、意見をまとめることが難しい」など56の回答を得ることができました。

 

<自由回答・一部抜粋>

・32歳:コロナの感染症対策をした行事にするのが難しかった。

・40歳:作品展や生活発表会の内容は、いろんな先生の方向性の違いがあり、意見をまとめることが難しい。上の先生には意見が言いづらい雰囲気もある。

・28歳:園長が急にやり直しなどを求めたり、前年度を上回るレベルのものを求められる。

・41歳:何をするか、何を作るかなどを決めるまでが何より大変でプレッシャーだった。

・36歳:大きな行事と月の誕生日会の担当が、重なると気持ちが落ち着かずストレスだった。

・41歳:オペレッタの本など、行事に必要な物を個人で購入しなくてはいけない。

・34歳:大きな行事がコロナや天候で中止になりかけ、保護者からのクレームがたくさん来た。

・35歳:日常の業務が多くそれだけでも日々の中では消化しきれず残って仕事をしているのに、行事が重なると残業をしないと回らないため体力的にも精神的にも負担となっている。

 

■行事業務に関して、7割以上の保育士が「身体的な負担」を実感

 「Q7.あなたは行事業務が身体的に負担に感じた経験はありますか。」(n=108)と質問したところ、「かなりある」が31.5%、「ややある」が40.7%という回答となりました。

Q7

・かなりある:31.5%

・ややある:40.7%

・あまりない:25.0%

・全くない:0.0%

・わからない/答えられない:2.8%

 

■身体的負担として、53.8%が「残業や持ち帰りの仕事があった」と回答

 Q7で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q8.行事業務が身体的に負担に感じた経験を具体的に教えてください。(複数回答)」(n=78)と質問したところ、「残業や持ち帰りの仕事があった」が53.8%、「休憩時間を削って準備を行った」が30.8%という回答となりました。

Q8

 

・残業や持ち帰りの仕事があった:53.8%

・休憩時間を削って準備を行った:30.8%

・休日に出勤した:9.0%

・体調不良になった:3.8%

・睡眠時間が十分に取れなかった:2.6%

・その他:0.0%

・わからない/答えられない:0.0%

 

■約3人に1人の保育士が「園児一人ひとりに向き合った保育」ができていないと回答

 「Q9.あなたは、現在、園児一人ひとりに向き合った保育が実現できていると思いますか。」(n=108)と質問したところ、「あまりそう思わない」が27.8%、「全くそう思わない」が6.5%という回答となりました。

Q9

・非常にそう思う:15.7%

・ややそう思う:45.4%

・あまりそう思わない:27.8%

・全くそう思わない:6.5%

・わからない/答えられない:4.6%

 

■園児に向き合う保育実現への障壁、「業務が多いから」が86.5%で最多

 Q9で「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した方に、「Q10.園児一人ひとりに向き合った保育実現の障壁になっていることを教えてください。(複数回答)」(n=37)と質問したところ、「業務が多いから」が86.5%、「保育士の人手が足りないから」が70.3%、「特定の園児につきっきりになるから」が40.5%という回答となりました。

Q10

・業務が多いから:86.5%

・保育士の人手が足りないから:70.3%

・特定の園児につきっきりになるから:40.5%

・満足な収入・待遇が得られていないから:37.8%

・保育士同士で仕事をサポートできていないから:27.0%

・その他:0.0%

・わからない/答えられない:0.0%

 

■「行事手当」等の待遇改善により、93%の保育士が「行事に対する意欲は向上する」と回答

 Q4で「かなりある」「ややある」と回答した方に、「Q11.もし行事業務を行う際に「行事手当」等の待遇改善があれば、行事に対する意欲は向上しますか。」(n=86)と質問したところ、「かなり向上する」が47.7%、「やや向上する」が45.3%という回答となりました。

Q11

・かなり向上する:47.7%

・やや向上する:45.3%

・あまり向上しない:7.0%

・全く向上しない:0.0%

 

■まとめ

 今回は、イベントや行事を行う保育園に勤める保育士108名を対象に、保育士の行事業務の負担に関する実態調査を実施しました。

 保育園における行事業務に関して、「休日も仕事のことを考えていた」や「行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている」との声が多数挙がり、約8割の保育士が「精神的な負担」を実感していることが判明しました。園によっては、 上司が急にやり直しを求めたり、行事に必要な物に対し個人での購入が求められているような実態もあるようで、コロナ禍においては「感染症対策をした行事にするのが難しかった」という新たなプレッシャーも追加されたようです。また、全体業務の中の行事業務の割合が「30%以上」を占めている保育士が半数以上いることもわかり、結果として、残業や持ち帰りの仕事などで、7割以上が「身体的な負担」も実感していることが明らかになりました。

 園児や保護者にとって、行事は園生活の思い出となる重要な役割を果たしています。また、「保育所保育指針解説(厚生労働省、平成30年2月※)においては、行事は「保育所と家庭での日常の生活に変化と潤いがもてるように、子どもの自主性を尊重し、日々の保育の流れに配慮した上で、ねらいと内容を考える。」とされています。ただその一方で、これらの行事が「園児一人ひとりに向き合った保育」の実現に繋がってはいない実態が浮き彫りとなりました。主な理由として、保育士への業務負荷が課題であると考えられ、身体的だけではなく精神的にも負担が深刻化しているようです。保育士の心身の健康は保育の質を左右する他に、心身の安全性が確保できない労働環境が続くと離職率が高まる懸念もあり、人材不足はさらに深刻化するでしょう。さまざまな業種において健康経営が叫ばれる近年においては、保育園においても健康経営に取り組む必要があるといえるでしょう。保育士が働きやすい環境作りが叶うことで、保育園の行事はより園児に向き合った保育に繋がりやすくなるのではないでしょうか。

※厚生労働省 「保育所保育指針解説 」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf