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【2021年の出生数、過去最少81万人】空きが出る保育所が増加、生き残るために必要な「選ばれる保育園」になるためには?

2022/06/15
ニュースリリース

厚労省発表データを受け、保育業界の課題と展望レポートを発表

 

 株式会社明日香(本社:東京都文京区、代表取締役:萩野 吉俗、以下 明日香)が運営する子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」は、2022年6月3日に厚生労働省が発表した2021年の人口動態統計を受け、「保育業界の課題と展望」に関するレポートを発表いたしました。

 人口動態統計によると、2021年に生まれた日本人の子ども(出生数)は、前年より2万9,231人少ない81万1,604人で、1899年の調査開始以来過去最少となりました。(※1)

明日香_「保育業界の課題と展望」に関するレポート
 
■「外国籍利用者への対応」が今後の課題

 全国の保育所のうち、外国籍の利用者がいる保育所は、現在約60%に上っています。事業者や自治体は、外国籍の利用者に対し、人員配置や翻訳機などのICTの利用、人材育成及び職員教育などの対応を試みている状況ですが、具体的な取り組みにまで至らないケースが少なくありません。今後、更に増えるであろう外国籍の保育所利用者への対応は大きな課題となっています。

 実際に、当社が外国籍園児を保育した経験がある保育士106名を対象に行った調査(※2)によれば、保育士の94.4%が、外国籍園児への保育に難しさを感じています。

明日香_「保育業界の課題と展望」に関するレポート_Q1

 

一方で、約7割が、外国籍園児の文化の違いについて学ぶ研修への参加経験がないと回答しており、そのうち約8割が研修を求めている実態が明らかになっています。

明日香_「保育業界の課題と展望」に関するレポート_Q2

 

明日香_「保育業界の課題と展望」に関するレポート_Q3
 
■いかに魅力を作れるかが「選ばれる保育所」への鍵

 人口動態統計(※1)によると、2021年の出生数は81万1,604人で、政府が描いていたシナリオよりも、6年ほど早く少子化が進行していることになりました。加えて、1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す「合計特殊出生率」においても、前年より0.03ポイント下がり、1.30と、過去4番目の低水準となりました。かつて、都心での待機児童問題が叫ばれましたが、出生数の減少により、空きが出る保育所も多くなってきているのが実態です。それに加えて、保育利用希望者の申し込みの偏在も大きな理由の一つです。具体的には、希望者が魅力を感じる「選ばれる保育所」に申し込みが殺到する一方で、「選ばれない保育所」には空きが生まれ、その差が広がっているということです。アイデアや魅力をいかに作れるか、またそれを明確に伝えられるかが問われていますが、まず、どれだけ事業者側がその点について理解できているかが問題です。経営主体によって上手く流れにのれているところと、そうでないところの傾向が顕著に出始めており、未だ流れに乗れていない事業者がどう対応できるかが課題となっています。

 

■保育士のモチベーションアップが保育所の魅力に

 この”上手く流れにのれている”事業者が「選ばれる保育所」を作れている要因の一つに、人材育成や保育士のキャリアパスを描けていることが挙げられます。最近では、大学などの研究機関と連携し、保育士に教育修士を取得させる企業があります。教育修士を取得した保育士がいること自体が、利用者にとっては魅力の一つとなっています。また、社内での昇進や昇給がオープンにされていることや、保育士が保育園の中だけでなく、本部の企画側に回ることもできるなど、多様なキャリアパスを用意することで働くモチベーションアップに繋がり、結果として、それらが「選ばれる保育所」を作れる要因の一つとなっているのです。

 

■保育業界でも注目されているデジタル化

 魅力作りにおいて注目されているのは、やはりICTやDXでしょう。ある事業者は社外取締役に大手IT企業の代表を抜擢するなどしており、データ活用は魅力作りにおいて、今後重要性が高まると予想されています。また、どの事業者も「選ばれる保育所」を目指すことによって、利用者の保育所に対する価値観が多様化するという良い影響も考えられます。そうすれば、「昔ながらの保育」が特徴となって光を浴びることもあるでしょう。魅力作りとは新たなことを創造することよりも、自施設の姿を明確化することにあるとも言えるわけです。

 

■母子保健と児童福祉の連携強化により今ある保育所の更なる活用を

 保育事業者を取り巻く環境は、未だ厳しい状況に置かれています。政府は令和7年度までに、女性の就業率を82%まで上げることを目標にしている一方で、出生数の更なる減少や、保育士の就業率の低下も考えられています。2022年5月5日、総務省が発表した15歳未満の子どもの推計人口(4月1日現在)によると、前年より25万人少ない1465万人で、41年連続の減少となりました。3歳ごとの年齢区分別でみると、年齢が低いほど人数が少なくなっているようです。(※3)保育事業は、ある年の出生数の増減がすぐに短期的な数字としてインパクトを受けると共に、それが中長期に渡って響く業界であるため、中長期の計画を立てることが非常に難しい事業であると言えます。これには、母子保健と児童福祉の連携強化も大きな鍵となります。「誰でも使える保育所であること」、そして、「多目的化すること」が重要です。子ども食堂の例などがありますが、預けるだけの保育から子どもの福祉へ考えを広げることで、空きのある保育所の活用方法も見えてきます。保育所を統廃合へと向かわせるのではなく、今ある保育所をより良く活用する方向を目指すべきであると考えています。

 

※1:厚生労働省「2021年人口動態統計月報年計」     

    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/kekka.pdf

※2:調査概要:外国籍園児への保育課題に関する実態調査

    調査方法:株式会社IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査

         調査期間:2022年6月10日〜同年6月12日

        有効回答:外国籍園児を保育した経験がある保育士106名

        ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

※3:総務省「​我が国のこどもの数​」https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1310.html