保育のコラム

放課後等デイサービスで働く保育士の仕事内容を紹介!給料や1日の流れも詳しく解説

2024/01/27

保育士が活躍できる場として、保育園のほかにあげられる職場のひとつが放課後等デイサービスです。療育分野に興味を持っている保育士の方は、どんな職場か気になっているのではないでしょうか。本記事では、放課後等デイサービスで働く保育士の仕事内容を、給料や1日の流れなども含めて詳しく解説します。

 

放課後等デイサービスとは

放課後等デイサービスは、障がいのある子どもや発達に特性のある子どもたちを対象とした通所支援サービスで、放課後や休日に支援を受けることができます。このサービスは2012年4月に児童福祉法で定められ、比較的新しい保育福祉サービスとして提供されています。

このサービスは、6歳(小学校1年生)から18歳(高校3年生)までの子どもたちが利用できます。主な目的は、子どもたちの生活能力を向上させるために必要な訓練を行ったり、地域交流を通じて社会性を育んだりすることで、子どもたちの自立を支援することです。同時に、学校や家庭と連携しながら、学校や家庭以外の場所で、各子どもの状況に合わせた支援を提供します。

また、放課後や長期休暇中には余暇活動や創作活動を行い、子どもや家族の生活の充実に貢献することもあります。このサービスは、子どもたちが安心して成長し、社会で活動するためのスキルや自信を身につけるのに役立つ重要なサポートを提供します。

参考|厚生労働省
放課後等デイサービスガイドライン (mhlw.go.jp)
障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要 (mhlw.go.jp)

 

放課後等デイサービスと保育園の主な違い

放課後等デイサービスは、学校教育法に規定される学校(幼稚園や大学を除く)に在籍している障がいのある子どもや発達に特性がある子どもを対象としています。対象年齢は通常、6歳(小学校1年生)から18歳(高校3年生)までです。ただし、放課後等デイサービスの利用が引き続き必要であり、その福祉を損なうおそれがあると認められる場合、満20歳に達するまで利用することができます。

一方、保育園は厚生労働省によって次のように定義されています:『日々、保護者の委託を受けて、保育が必要な乳児または幼児を保育することを目的とする施設(児童福祉法第39条第1項)』。保護者が仕事や第2子の出産などの理由で家庭での保育が困難な場合、未就学児が保育園に入園できるようになります。

 

放課後等デイサービスと児童発達支援施設の違い

放課後等デイサービスと児童発達支援施設の主な違いは、対象年齢です。放課後等デイサービスは、6歳(小学校1年生)から18歳(高校3年生)までの子どもを対象としています。一方、児童発達支援施設は、主に未就学の障がいのある児童で、集団療育や個別療育が必要であると認められる子どもを対象としています。

児童発達支援施設には、通所支援を提供する事業所と、地域支援を行う役割を持つ児童発達支援センターがあります。通所支援では、障がい児への発達支援やその家族への支援が行われます。一方、児童発達支援センターは、地域全体への支援を提供し、情報提供や相談支援などを行います。

参考|厚生労働省
障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要 (mhlw.go.jp)

 

放課後等デイサービスの配置基準

放課後等デイサービスの配置基準は、以下の通りです。

 

<通常の放課後等デイサービス>
■児童指導員及び保育士 障がい児10名につき2名以上
10名を超えるものは、5又はその端数を増すごとに1名加えて得た数以上
■ 児童発達支援管理責任者 1名以上
■ 管理者 1名以上

※日常生活を営むのに必要な機能訓練を行う場合には機能訓練担当職員を、日常生活及び社会生活を営むために医療的ケアを恒常的に受けることが不可欠である障がい児に医療的ケアを行う場合には看護職員を、それぞれ置かなければならない。
※児童指導員又は保育士のうち、1名以上は常勤でなければならない。
※児童発達支援管理責任者のうち、1名以上は専任かつ常勤でなければならない。

 

<重症心身障害児のための指定放課後等デイサービス事業所>

■  嘱託医 1名以上
■  看護職員 1名以上
■  児童指導員又は保育士 1名以上
■  機能訓練担当職員 1名以上
■  児童発達支援管理責任者 1名以上
■  管理者 1名以上

 

2017年の児童福祉法改正により、保育士の必要性が高まった

2017年、厚生労働省は「放課後等デイサービス」に関する職員配置基準を厳格化しました。新たな基準では、「置くべき従業者を児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者とし、そのうちの半数以上を児童指導員又は保育士としなければならない」と規定されました。この基準の厳格化により、保育士の役割と必要性が高まりました。

同時に、厚生労働省は「放課後等デイサービスガイドライン」の順守と、評価結果の公表を事業者に義務付ける方針も発表し、2017年4月から施行されました。これにより、放課後等デイサービスの提供において、子どもたちへの適切な指導と支援の質が向上し、保育士の役割がますます重要となりました。法改正は、子どもたちの健全な発育と発達に焦点を当てたものであり、保育士の専門性が高く評価される一方で、その役割の責任も増大したと言えます。

 

放課後等デイサービスで働く保育士の仕事内容

それでは、放課後等デイサービスで働く保育士の仕事内容を詳しく見てみましょう。

 

【1】支援計画に基づいた発達支援

放課後等デイサービスでの保育士の主な仕事は、通所する子どもの支援計画に基づいた発達支援です。支援計画は、児童発達支援管理責任者が個別の支援計画書を作成します。

個別支援計画書とは、放課後等デイサービスにおいて明確な目標を持って子どもの発達を支援するための計画書のことです。

個別支援計画に基づき療育プログラムを行います。療育プログラムは、施設ごとに工夫を凝らしたマニュアルが用意されていることもあり、初めて療育保育士になった場合でも、先輩等に聞きながら取り組みやすいでしょう。2~3人の少人数グループで行うプログラムや、3~10人程度のグループで行う集団プログラムなどがあります。また、施設により社会との交流を促進する目的で、社会見学や地域活動に参加することもあります。その際は、子どもの特性を理解した適切なサポートを行うのも保育士の重要な役割です。

 

【2】利用者の送迎

放課後等デイサービスでは、施設により子どもの送迎サービスを行っている場合があります。送迎専門職員を雇うケースはほとんどなく、多くの施設は管理者や児童指導員、保育士などが交代で行います。

そのため、自動車の運転免許を持っている場合は送迎業務を担当する可能性もあります。免許を持っていない場合でも、子どもの乗り降りをサポートしたり、健康状況を把握したりする添乗員として送迎業務を担当することもあります。幼稚園の先生が、交代で幼稚園バスに乗り、園児の対応をするイメージと近いです。

 

【3】保護者対応

放課後等デイサービスの保育士の重要な仕事のひとつは、保育園の保育士と同様に保護者対応です。子どもの発達支援だけでなく、子どもの家族の支援も非常に重要です。育児に関する悩みや障がい・発達に関する不安などの相談に応じることも多いでしょう。保育士でありながら、療育従事者として適切な対応が求められます。また、より専門的な知識が必要な場合は、1人で解決しようとせず、児童発達支援管理責任者など他のスタッフと連携することが良いでしょう。

 

放課後等デイサービスで働く保育士の1日の流れ

放課後等デイサービスで働く保育士の1日の流れを、平日(放課後)と土曜日や長期休暇(休校日)に分けて紹介します。

 

平日(放課後)の流れ

11:00~14:00 出勤(開所準備・会議・支援プログラムの準備など)
14:00~16:00 送迎・来所(子どもたちに学校へ車でお迎え)
16:00~16:30 発達支援プログラム
16:30~16:45 休憩
16:45~17:15 学習支援プログラム
17:15~17:30 休憩
17:30~18:00 自由時間(宿題や友達との交流など)
18:00~19:00 送迎・退所
19:00~    退勤

平日は、子どもたちの学校が終わってからの放課後になるので、出勤時間は遅めです。子どもたちの送迎時間までは清掃などの環境を整えるほか、必要な会議に参加したり事務業務を行なったりします。

 

休校日の流れ

8:00~ 出勤 (開所準備・会議・支援プログラムの準備など)
9:00~11:00 送迎・来所
11:00~11:15 朝礼
11:15~11:45 発達支援プログラム
11:45~12:30 昼食
12:30~13:00 休憩
13:00~14:00 発達支援プログラム
14:00~14:30 休憩
14:30~15:30 学習支援プログラム
15:30~16:00 おやつ
16:00~16:15 終礼
16:15~17:00 送迎・退所
17:00~ 退勤

土曜日や夏休み・冬休み期間中は、朝から子どもたちを受け入れるため、朝早く出勤して夕方退勤します。日曜日は休みとなる施設が多いです。

 

放課後等デイサービスの給料相場

放課後等デイサービスに勤める療育保育士の給料の相場は、正規職員で平均約22万円と言われています。地域や施設によって差があるので、ご希望の地域の求人等をチェックすることをおすすめします。18万円~27万円程度と大きな差があります。保育士として勤めながら実務経験を積み、資格を取って児童発達支援管理責任者になるなどキャリアアップすれば、給料アップを目指す事ができます。

 

放課後等デイサービスで働くメリット・デメリット

放課後等デイサービスで働く保育士のメリットとデメリットは以下のようになります:

 

メリット

発達支援の知識と経験の獲得: 放課後等デイサービスでは、障がいのある子どもや発達に特性のある子どもたちに対する発達支援が主要な業務となります。この環境で働くことで、発達支援に関する知識が深まり、療育分野での実績を積む機会が得られます。新たな分野を切り開くチャンスです。

保育士としての視野の拡大: 通常の保育園でも発達に関する知識は必要ですが、放課後等デイサービスではそれ以上に発達支援に焦点を当てるため、保育士としての視野が広がります。自身の可能性を探求する機会が提供されます。

 

デメリット

異なる年齢層との関わり: 放課後等デイサービスの利用者は小学校1年生から高校3年生までの幅広い年齢層です。保育士としての志望動機が「小さな子どもが好き」「小さな子どもに関わる仕事がしたい」という場合、大きな子どもたちとの関わりに適応する必要があります。乳幼児とは異なる大変さがあるかもしれません。

高齢者の存在: 放課後等デイサービスでは高校生も対象となり、年齢の高い子どもたちも在籍しています。保育士は年齢に関係なく適切なサポートを提供する必要がありますが、年齢差が大きいことに適応するのは一部の保育士にとってはデメリットとなるかもしれません。

放課後等デイサービスでの保育士の仕事は、特定のスキルと柔軟性が求められるため、自身の適性や志向に合うかどうかを検討することが重要です。

 

放課後等デイサービスの仕事に向いているのはこんな人!

放課後等デイサービスの仕事はどんな人が向いているのでしょうか?自分は向いているかどうか、少し不安になった方もいるのではないでしょうか。 ここで放課後等デイサービスの仕事に向いている保育士のタイプを解説します。

 

<1>一人ひとりに時間をかけて向き合いたい人

大勢の子どもより一人ひとりとじっくり向き合いたい、そんな風に思っている保育士は向いていると言えます。保育園では、配置基準より多く職員を配置してゆったり保育を実現している保育園はまれです。

1人でたくさんの園児を見なければならず疲れてしまっていたり、1人でクラスを回すプレッシャーにストレスを感じていたりします。本当は、一人ひとりの子どもとじっくり向き合いたいのに、と悩む保育士も多いです。

放課後等デイサービスは、子ども10人に対して2人以上の配置が義務付けられており、基準以上の人員配置で加配加算を受けられます。そのため、施設側もなるべく多くの専門職を雇い、専門的なケアを提供できるように考えているケースが多いです。

充分な人員配置で、じっくりと子どもと向き合いたい、一人ひとりに合ったサポートで成長を見守りたいという人に向いています。

 

<2>児童発達支援について学びたい人

保育園に勤めていても、気になる子どもなど、いわゆる発達グレーゾーンの子どもと遭遇することがあります。事実、小学校でも1クラスに1~2人は発達障がい児がいると言われています。

障がいは、躾や本人の努力だけでは解消することができませんが、その特性を理解したうえで、療育的ケア、医療的ケアなど、それぞれの子どもに合わせて適切な支援を行うことが非常に重要です。

児童発達支援についてもっと深く学びたいという人には、放課後等デイサービスでの仕事が向いています。

 

<3>キャリアアップしたい人

保育園に勤めていると、なかなかキャリアアップするのは難しいかもしれません。経験と実績を積み、主任保育士や園長という道はありますが、時間もかかり、園長になれる可能性は少ないです。

その点、療育業界は、保育士や児童指導員の他に児童発達支援管理責任者という役職があります。
児童発達支援管理責任者は、決められた実務経験と発達支援に関する研修を受けることで得られる国家資格です。主な業務内容は、利用する子どもの個別支援計画の作成、スタッフの指導、施設全体の管理などです。

常に向上心を持ち、キャリアアップと役職を目指したい保育士が学べるルートがあり、向いていると言えます。

 

放課後等デイサービスの求人数は?

放課後デイサービスの求人数は多いのでしょうか?保育園と違い少ないかな?と不安に思う人もいるかもしれませんが、現状は伸びています。どういうことか詳しく見てみましょう。

 

放課後等デイサービスは利用者数・施設数ともに増加を続けている

厚生労働省による発表によれば、放課後等デイサービスの事業所数と利用者数は2012年の導入以来、持続的に増加しており、その需要は高まり続けています。したがって、今後も放課後等デイサービスの求人数が増加し続けると推測されます。

参考|厚生労働省障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要 (mhlw.go.jp)

 

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放課後等デイサービスは保育士の需要が高い仕事!

療育分野の仕事は今後ますます需要が高まる傾向にあります。個別の適切なケアが重要視され、国も制度を充実させているためです。保育士としての知識やスキルは放課後等デイサービスなどで活かすことができ、需要の高い職種の一つです。興味を持っている方は、ぜひこの分野に飛び込んでみることを検討してみてはいかがでしょうか。新たなキャリアの道が広がっています。

 

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