保育のコラム

【神奈川県】保育士向けの家賃補助が手厚い自治体4選!条件や上限補助額は?

2024/01/26

神奈川県では、自治体によって保育士の家賃補助制度(保育士宿舎借り上げ支援事業)が設けられています。この制度は、保育士不足に対応し、新たな人材の確保と現役保育士の定着を促進するための施策の一環として実施されています。保育士が継続して働きやすい環境を整えることを目的としています。

本記事では、自治体別の保育士宿舎借り上げ支援事業について解説し、特に手厚い支援を行っている自治体を紹介します。

 

【神奈川県】保育士向けの家賃補助(宿舎借り上げ支援事業)が手厚い市町村4選

神奈川県では、保育士向けの家賃補助制度(宿舎借り上げ支援事業)が充実している市町村は、人口が多く待機児童の解消を目指す都市部に集中しています。この制度は、国の新子育て安心プラン(待機児童解消を目的とした政策)に賛同する市町村によって実施されており、家賃相場が高い地域では特に保育士にとって貴重な支援となります。

 

ただし、この宿舎借り上げ支援事業は、保育所などを運営する法人に提供される補助金であり、直接保育士個人に補助が行われるわけではありません。各保育園がこの制度を利用して家賃補助や住宅手当を設定しているのです。これらの情報を踏まえ、具体的な市町村の状況を見ていくことにしましょう。

 

【1】横浜市

神奈川県の中でも、県庁所在地であり政令指定都市の横浜市は、保育士向けの家賃補助制度を充実させていることで知られています。横浜市は、このような制度を全国に先駆けて導入したという長い歴史があります。

補助基準上限金額:
82,000円(一戸当たり月額)

補助率:
借り上げた宿舎の家賃と共益費・管理費の合算額(補助基準額)の3/4を補助金として法人に支給。残りは法人が負担するよう定めています。

国1/2 自治体1/4 事業者1/4負担 保育士負担ゼロ

補助を受けるための条件(勤務時間、対象施設など):

・対象となる施設での家賃補助を行う保育士の勤務条件

保育所等に勤務する、勤続10年までの常勤保育士。ただし、月120時間以上保育に従事している事。

・対象となる事業者

横浜市内において、次の施設・事業(以下、「保育所等」という)を運営する者で、保育士宿舎を借上げてそこに保育士を居住させている者。

1.認可保育所
2.認定こども園
3.小規模保育事業
4.移行計画書の承認を受けた横浜保育室
5.事業所内保育所
6.家庭的保育事業

※施設長や保育園設置事業者の住居は補助対象としない。

・その他:この金額は、あくまでも市の定める要綱上の上限額です。各法人ごとにルールや金額を定めていることがありますので、詳細については各法人にお問合せください。

参考:保育士宿舎借り上げ支援事業 横浜市 (yokohama.lg.jp)

 

【2】川崎市

神奈川県内で横浜市に次いで人口が多い政令指定都市の川崎市でも、保育士の人材確保を目的とした家賃補助制度が充実しています。川崎市における制度の上限や条件は、横浜市と同様、国の規定に準じたものとなっています。

 

補助基準上限金額:
82,000円(一戸当たり月額)

補助額(一戸当たり)は、月額82,000円と補助対象経費を比較し、少ない方の額に4分の3を乗じて得た額です。

補助率:
借り上げた宿舎(入居期間中のみ)の家賃と共益費・管理費の合算額(補助基準額)の3/4を補助金として法人に支給。残りは法人が負担するよう定めています。

国1/2 自治体1/4 事業者1/4負担 保育士負担ゼロ
敷金、礼金、手数料等は補助対象外です。

補助を受けるための条件:

対象となる施設での家賃補助を行う保育士の勤務条件

1 施設長を除く、常勤(正規雇用)の保育士、看護師、准看護師、保健師、小学校教諭、幼稚園教諭、養護教諭であること
※条例等により保育士に読み替えられるものに限ります。
2 世帯主又は準ずる者(世帯総収入の50%超)であって、住宅手当等を受けていないこと
3 法人に採用された日から7年以内であること(※)

※ただし、令和2年度に事業対象だった方で引き続き令和5年度も事業対象となる場合には10年以内、令和3年度に事業対象だった方で引き続き令和5年度も事業対象となる場合には9年以内、令和4年度に事業対象だった方で引き続き令和5年度も事業対象となる場合には8年以内です。

※対象者の人数制限なし

その他:
・事業実施者(法人)が所有している物件は対象外です。(借り上げに限る)
・宿舎が川崎市内である必要はありません。

参考:川崎市保育士宿舎借り上げ支援事業 (city.kawasaki.jp)

 

【3】鎌倉市

鎌倉市は神奈川県内でも特に人気のあるエリアで、人口も多いため、保育士向けの家賃補助制度が手厚く設けられています。鎌倉市の制度も、横浜市や川崎市と同じく、国の定める規定に沿って実施されています。

補助基準上限額:
82,000円(1戸当たり月額)

補助率:
補助基準額 82,000 円と、借上げ費から保育士負担額を引いた額を比較して低いほうの額の3/4。

対象となる保育士:認可保育所、認定こども園、地域型保育事業所、企業主導型保育事業所等に勤務する常勤の保育士のうち、保育所等に採用された日から起算して10年以内の者

 

その他:
・平成 24 年度以前に保育所等が借り上げる宿舎に入居している者を除く。

参考:鎌倉市/鎌倉市で保育士になりませんか (city.kamakura.kanagawa.jp)
鎌倉市 (city.kamakura.kanagawa.jp)

 

【4】海老名市

海老名市では、「保育対策総合支援事業費補助金交付要綱」に基づく「保育士宿舎借り上げ支援事業実施要綱」に従って、保育士向けの家賃補助制度が設けられています。

補助基準上限額:
82,000円(1戸当たり月額)

補助率:

保育園等の設置者が実施する場合は 国1/2、市町村1/4、保育園等の設置者1/4、保育士負担ゼロ

対象となる保育士:
採用された日から起算して10年以内

参考:
海老名市民間保育所運営費等補助金交付要綱 05-8-9.pdf (city.ebina.kanagawa.jp)
首相官邸サイト:h29yosan_sankou2.pdf (kantei.go.jp)

 

神奈川県で家賃補助(宿舎借り上げ支援事業)を実施しているその他の自治体

 

横須賀市

家賃の上限補助額:43,500円(一戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:3/4
補助対象項目:家賃
対象施設:私立保育所、認定こども園、小規模保育所
条件:雇用開始から5年以内の常勤保育士
その他:主任・園長は不可

 

相模原市

家賃の上限補助額:54,000円(一戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:3/4(家賃上限:72,000円)
補助対象項目:家賃及び共益費(管理費)
対象施設:保育所、認定こども園(幼稚園型認定こども園を除く)、小規模保育事業A型
条件:指定保育士養成施設の新卒者で、自宅からの通勤時間が概ね1時間以上の方

 

厚木市

家賃の上限補助額:50,000円(一戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:7/8
条件:常勤・正社員
その他:主任・園長は不可

 

大和市

家賃の上限補助額:1施設当たり月額328,000円
その他:園が借り上げた宿舎を利用の場合に市が園に対して支給する
保育士への支給額や家賃上限額は園の規定によって決定

 

座間市

家賃の上限補助額:61,000円(1戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:自己負担はなし
(市が1/4負担、法人が1/4負担、国が1/2負担)
条件:常勤保育士
その他:主任・園長どちらも不可

 

綾瀬市

家賃の上限補助額:40,000円(1戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:月額家賃から住宅手当を控除した額。
補助対象項目:家賃
条件:
(1)市内認可保育施設に勤務する保育士、保健師、看護師、子育て支援員
(2)当該年度を基準に、綾瀬市内の保育施設に勤務を開始してから7年以内の方
(3)独身で単身世帯の方又は独身で当該年度において18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子と同居する方
(4)常勤職員又は1日6時間以上かつ1か月20日以上勤務する方(それと同等の勤務条件と市長が認めるものを含む。
(5)保育施設を設置し、又は運営している事業者の役員ではない方
期間:当該年度を基準に採用から7年間とし、育児休業等の期間は除く

 

藤沢市

家賃の上限補助額:61,500円(1戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:
補助対象経費(【月毎の事業対象経費】―【月毎の本人負担額】)×4分の3×月数
補助対象項目:賃借料・共益費(管理費)
条件:次に掲げる要件のいずれにも該当する方
(1)保育士資格を有すること。
(2)常勤の職員であり,保育施設を適用事業所とする社会保険に加入していること。
(3)保育士本人、同居人が住宅手当等の支給を受けていないこと。
(4)雇用開始された日の属する年度から起算して10年以内であること。
その他:1施設当たり7人分

 

茅ヶ崎市

家賃の上限補助額:54.000円(1戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:家賃上限73,000円で3/4負担千円未満切り捨て
(令和元年からこの制度を使っている方のみ、家賃上限82,000円の3/4負担で最大61,000円補助)
条件:茅ヶ崎市内の保育園常勤保育士
その他:主任・園長どちらも不可

 

伊勢原市

家賃の上限補助額:43,500円(1戸当たり月額)
家賃補助の上限割合:3/4(1人当たり家賃上限58,000円)
条件:市内の保育所、認定こども園、小規模保育施設に対し、施設が宿舎を借り上げて、保育士さんに貸与する場合、施設に対し補助を行っています。
※実際の補助金額や条件等詳細については日々変更される可能性もあり、実際と異なる場合があります。

 

神奈川県の保育士が家賃補助を受けるための条件

神奈川県内の各自治体における家賃補助制度に関する情報を確認したところで、次に保育士が家賃補助を受けるために満たすべき条件について詳しく見ていきましょう。

 

条件1:宿舎借り上げ支援事業を利用可能な保育園に就職する

保育園によっては宿舎借り上げ支援事業を活用しているところもあれば、そうでないところもあります。家賃補助を受けるためには、この支援事業を利用している保育園に就職する必要があります。求人情報をチェックする際には、「住宅手当」や「家賃補助」といった項目があるかどうかを確認しましょう。また、対象となる保育園は自治体によって異なるため、特に認定こども園や企業主導型保育園については注意が必要です。

 

条件2:各市町村ごとに異なる条件をクリアする

前述のように、自治体ごとに異なる条件が設けられています。これらの条件を満たすことが求められます。居住している地域や、就職を希望する地域の条件を調査し、それらをクリアできるか、または条件を満たしている自治体に就職することを検討するとよいでしょう。

 

神奈川県の保育士が家賃補助を受ける時の注意点

神奈川県で家賃補助を提供する保育園に就職が決まった場合、把握しておくべきいくつかの重要な注意点があります。これらの点について詳しく解説していきましょう。

 

注意点1:個人ではなく法人で不動産契約を結ぶ

保育士宿舎借り上げ支援事業は、法人が不動産業者との契約を行い、保育士に住宅を提供する制度です。保育士が個人で部屋を契約するわけではありません。

 

注意点2:個人負担が必要な費用がある

自治体によっては、国の施策に従って、法人(経営者)が費用の1/4を負担することが定められていますが、それがない場合は保育園の裁量によります。また、保育士本人にも負担が発生することがあります。

 

注意点3:物件の探し方は園によって異なる

物件を探す方法は園によって異なり、就職または異動が決まった後、保育園が指定する物件に入居するか、保育士が自分で探す場合があります。自分で探す場合は、指定された条件の範囲内か、家賃の上限を超える分を自己負担することもあります。

 

注意点4:家賃補助の制度が廃止される可能性がある

保育士宿舎借り上げ支援事業は、将来的に変更または廃止される可能性があります。すでに期間を短縮している自治体もあるため、毎年の見直しを行っています。国の施策が廃止されると自治体も補助を行えなくなり、家賃補助がなくなる可能性もあります。

 

神奈川県の家賃補助の上限額は自治体によって様々!

神奈川県内の保育士宿舎借り上げ支援事業について解説してきました。この補助の上限額は自治体によってさまざまです。

この事業は、保育士個人に直接支援を提供するものではなく、事業者に対する支援として機能します。保育士に直接自治体から給付が行われるわけではありませんが、自治体の制度が充実していれば、それによって保育園の運営が助けられ、結果的に保育士への家賃補助が充実することもあります。

就職や転職を考える際、どの地域を選ぶかは大きな判断材料となるでしょう。特に親元を離れて一人暮らしを検討している場合は、興味のある地域で家賃補助が提供されているかを確認することが重要です。

家賃補助の有無や条件、金額などは保育園によって異なるため、就職・転職先の保育園でこれらの詳細を確認することを忘れないでください。

 

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