保育のコラム

HSP気質で毎日気疲れしてしまいつらいです。HSPは保育士に向いてないのでしょうか?

2023/08/29

自分はHSP気質で毎日気疲れしてしまいつらい、といった保育士さんは多いのではないでしょうか?
保育士の業務はとても多忙ですし人と人の関りが主ですから、気疲れしてしまうのも「保育士に向いてないのでは?」と悩むのも無理はありません。

この記事では、HSPの方の特性やその特性によって保育士に向いていないと言われるところと、逆にその特性だからこそ向いている点、HSPの保育士がその良さを活かして働くことができる場所について、お伝えします。

 

そもそもHSPとは?どのような特性を持った人を指すの?

 

そもそもHSPとは、正式名Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、いわゆる繊細さんと呼ばれる、人一倍感受性が豊かで敏感なタイプの人を言います。

これらの特性は生まれつきで、次のような特徴があります。

・他の人が気にならないようなところが気になるので、きめこまやかでよく気が付く
・共感力が高く、人の痛みや怒りなどの感情が良くわかる
・人の本質や考えている事を見抜くことができる
・多方面に気を配ることができる

よく気が付き、人への配慮に常に気を配っている分、人より気疲れしてしまう面もあります。
また、よくも悪くも人の感情エネルギーや多くの情報を受け取ってしまうので、外出して帰宅するとぐったり、なんていうことも珍しくありません。

 

HSPが自分らしく仕事を続けるためには、HSPに向いている仕事を選ぶことが大切

 

HSPの方はその特性により、環境によっては仕事が長続きしなかったり、周囲の目が気になって萎縮してしまったり、HSPではない人以上に気疲れしてしまったりといったことがあります。
そのため、その特性を活かした向いている仕事と、よりつらい状況になってしまう向いていない仕事があります。

しかし、特性を長所として捉えることで長続きしやすく、自分に合った仕事や働き方を見つけるができます。

 

では、そもそもHSPは保育士に向いてる?向いてない?

 

では、そもそもHSPの方は保育士に向いているのでしょうか?向いていないのでしょうか?
結論から言うと、向いている向いていないは一概には言えません。

その繊細さゆえに、発揮できる良い面もあります。
同時に、HSPではない方よりもつらい状況になる場面も多くあるのです。

HSPでも自分らしく働けるかどうかは環境次第、と言えるところもあります。

 

HSPが保育士に向いていない6つの理由

それでは、HSPの方が「自分は保育士に向いていない」と悩みがちな、主な理由を紹介していきましょう。
あくまで、悩むポイントであって、HSPの方が保育士に向いていないということではありません。

 

理由1:女性社会で上司・同僚との人間関係がギスギスしやすいから

 

まだまだ男性保育士の少ない女性社会の保育士業界では、男性がいないがゆえに、女性独特の複雑な人間関係に陥りがちです。
また、小さい社会という事で、キツイ物言いをする上司や先輩、同僚がいると人間関係がギスギスしやすいです。

HSPの方は、そういった空気には敏感です。

誰かが機嫌が悪いのを敏感に察したり、ちょっとした言葉に傷付いてしまったり…と振り回されて疲弊してしまうことも多いでしょう。
たとえ、自分が直接巻き込まれていなくても、いたたまれなくなってしまう傾向にあります。

 

理由2:子どもや保護者の気持ちに感情移入してしまい、心が振り回されてしまうから

 

HSPの保育士は、子どもや保護者の気持ちに感情移入してしまう事もあるでしょう。
1人1人みんな違いますし、子ども同士、保護者同士の人間関係もいろいろ起こります。トラブルも起きます。

そんな中、それぞれの気持ちがわかるからこそ、心が振り回されて疲弊してしまうことがあるでしょう。
本当ならば自分の責任だと悩む必要のないものまで受け止めてしまい、あれこれ悩むのがHSPの特徴でもあります。

 

理由3:上司や同僚の意見に対して共感しやすいため、板挟みになりやすいから

 

上司や同僚の意見が分かれた時など、どちらの言い分も気持ちもわかり共感できるのが、HSPの方の良さでもあります。
しかし、そのことで板挟みに合い、つらい状況になってしまう事もあります。

状況によっては、当人同士ではないのに、間で板挟みになった事で責められてしまうなど、とばっちりを受ける事もあります。

 

理由4:子どもの想定外の行動は刺激が強いから

 

子どもは想定外の行動をすることが良くあります。
危険を伴う行動や、友達とのトラブルなど、毎日いろいろな事が起こります。

HSPは、こういった予期せぬ行動や突発的な危機が苦手です。

苦手ゆえに、予想されるリスクを回避するための計画や行動の能力が高いのも特徴ですが、HSPの保育士にとって、子どもの想定外の行動は刺激が強すぎてストレスとなるようです。

 

理由5:保育園という限られた空間の中に多くの人が集まっていること自体に気疲れしてしまうから

 

HSPは、たくさんの人が集まる場がそもそも苦手です。
気遣いが出来るがゆえに、多くの人と常に接していて緊張感のある関係は苦手です。

そんな中、保育園という限られた狭い空間で、多くの人が集まっていること自体に気疲れしてしまい、HSPの保育士にとっては過酷な毎日です。

 

理由6:求められるスキルが多いため苦手な業務があるのは当たり前なのに、できないことがあると強い罪悪感を感じてしまうから

 

責任感が強く、プレッシャーを感じやすいHSPの方。
さらに、自己肯定感が低く、自分を責めがちな特徴もあります。

そのため、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」と自分を追い込みがちで、適当に手を抜く、誰かを頼る、ということが上手くできません。

保育士は求められるスキルが多いため、苦手な業務があるのは当たり前ですが、気楽に考える事は難しく、出来ないことがあると強い罪悪感を覚えてしまい、つらくなるようです。

 

向いていない面が目立つ一方で、保育士に向いている面も多くある!

 

前述したように、HSPの方は保育士に向いていないのでは?ということで思い悩むこともありますが、一方で保育士に向いている面も多くあります。

HSPの方の特徴そのものが、保育士に向いているところも多々あります。
どのようなところが向いていると言えるのか、見てみましょう。

 

1、子どもや保護者の気持ちに深く共感できる

 

HSPの保育士は、子どもや保護者の気持ちも察することができ、深く共感できる力があります。
保護者の方は、毎日仕事と子育てに追われながらも、子育てに関して様々な不安や悩みを抱えています。
そういった気持ちに寄り添うことができるので、保護者にとって信頼できる存在と言えるでしょう。

また、保育において、子どもたちの気持ちを理解し寄り添う事はとても重要です。
子どもたちの気持ちをよく理解し寄り添える保育士は、子どもたちにとって頼りになる大好きな先生となることでしょう。

 

2、多方面にアンテナを張ることで危険を察知できる

 

HSPの方は、多方面にアンテナを張ることが得意です。
さらに、些細な変化にも気付きやすいため危険を察知する能力も高いです。

これは、保育士としてはとても大切な能力と言えるでしょう。

子どもたちが安全に園生活を送る上で危険なことはないか、安全に遊べるか、等の気配りが良くでき、環境を整えて危険を未然に防ぐなど、リスク回避に能力を発揮します。
危険をいち早く察知することが出来れば、子どもたちを守る事ができます。

 

3、1人1人の保育方針について徹底的に考えられる

 

HSPは、人の感情や様子を感じ取る能力が高いため、一人ひとりの子どもの様子もよく観察しています。
また、些細な変化にもよく気が付くので、子どもたちの表情や行動から気持ちを察したり変化を見つけたりする能力に長けています。

これらは、一人ひとりの個性や発達を良く見て理解しているということです。

また、じっくり考え深く掘り下げる事も得意であるため、一人ひとりの個性や発達に合わせた保育方針を徹底的に考える事に役立ちます。

 

4、子ども全体に対して平等に接することができる

 

人の気持ちに敏感で気遣いができ、共感力が高いHSPの方は、相手の感情に配慮し誰もが気持ちよく過ごせるように心配りをします。
誰かが嫌な気持ちになることや争いを好まず、自分から人を傷つけることを好んですることはありません。
そのため、どの子どもにも平等に接することができ、差別やえこひいきなんてことは絶対にありえません。

これは保育士にとって非常に大事です。

 

HSPだからできる保育はある!保育士を続けたいのにつらい……という時は、まずは刺激を遮断してしっかりと休むことを意識しよう!

 

HSPだからこそできることがあり、保育士に向いている特性もあるとわかったところで、保育士を続けたいのにつらい、という時にやると良い事をお伝えします。

HSPは、刺激に過剰に反応してしまう特性なので、刺激を受けすぎて疲れてしまっている可能性が高いです。
意識して生活の中で刺激を減らす、刺激を遮断した空間で1人になる、といった工夫が大切です。

刺激を遮断する方法としては、下記のようなものが挙げられます。
まずは刺激を遮断して、しっかりと休むことを意識しましょう。

 

【聴覚】

耳栓をする
イヤホン・ヘッドホンをする
SNS通知音のブロック・電話着信通知音拒否
スマートフォンをサイレントにする
音楽を聴く
BGMが心地いいカフェなどに行く

 

【視覚】

SNSを見ない
度を落とした眼鏡をかける
サングラスをかける
ブルーライトカットをする
日傘をさす
スマートフォンの使用時間を減らす
本は紙で読む
部屋はダウンライト
PCスマートフォンは目に優しい明るさに調節

 

【嗅覚】

マスクをする
においがきつい飲食店街や化粧品売り場を避ける
喫煙所や喫煙可の店にいかない
愛煙家に近寄らない
きつい香水の人とは遠ざかる
化粧が濃い人に近寄らない

 

【触覚】

必ず服は試着してから買う
ぴったりすぎる服もだぼだぼすぎる服も着ない
すそが長すぎるものは着ない
チクチク・ごわごわする服は着ない
フリルやリボンなど、ゴテゴテついている服は着ない
長い髪は結ぶ
クーラーや暖房の出る位置をさけて座る
歩きやすい靴で歩く
心地よいパジャマと心地よい寝具で眠る

 

HSPの保育士がこれからも自分らしく保育の仕事を続けていくためには、自分の特性に合った保育園・保育施設への転職や、働き方の選び直しが鉄則!

 

HSPの保育士が、これからも保育の仕事を続けていきたい、自分らしく働きたい、と思ったら、自分の特性に合った保育園・保育施設への転職を視野に入れましょう。

保育園の環境はHSPの方には刺激が強すぎる事が多々あることは前述しましたが、一方でHSPの保育士だからこそ働きやすい保育園や、その特性を活かすことができる保育施設も存在します。

また、正社員にこだわる必要もなく、自分に合った働き方を選びなおすことも大事です。

 

HSPに合った保育園や保育施設の特徴

 

それでは、HSPの保育士に合った働きやすい保育園や保育施設とは、どのような職場でしょうか?
その特徴について解説いたします。

 

特徴1:保育士の人数が充分に足りている

 

HSPの方は周囲にアンテナを張って気遣いができるので、HSPの保育士は子どもや保護者のことはもちろん、職員間の人間関係も常に気を配り、業務においてもよく気が付くので、どうしてもあれこれ自分で背負ってしまいます。

そのため、人数がギリギリで、1人当たりの業務負担が大きい保育園では、何かと背負ってしまいキャパオーバーになりかねません。

また、気疲れしてしまい体調を崩す事もあるので、人員配置に余裕がない保育園では、無理をして働いてしまいます。
保育士の人数が充分に足りていて、時には早退できる、有給休暇がとれるといった環境の保育園がおすすめです。

 

特徴2:相談できる環境が用意されている

 

保護者とのトラブルや保育に関する悩みなど、相談できる窓口が用意されている環境をおすすめします。
保育士のメンタルケアや、モンスターペアレンツから保育士を守る対策として窓口があります。

こういった相談できる環境が用意されていると、安心して働くことができます。

 

特徴3:残業や持ち帰り業務が少ない

 

保育士は、一般的にサービス残業や持ち帰り業務が当たり前のような悪しき習慣がありますが、すべての保育園や施設がそうであるとは限りません。
保育士の人数を充分確保し、事務時間を確保する、事務や雑務の業務効率化を図るなど、保育士の負担軽減に取り組み、残業少な目、持ち帰り禁止といった職場も存在します。

 

HSPの保育士は責任感が強くて真面目な方が多く、適度に手を抜く、誰かに頼る、といった事が苦手です。さらに、相手への思いやりも強いため、頼まれれば断れません。
そのためHSPの保育士は、残業や持ち帰り業務が少ない職場が適しています。

 

特徴4:急な出社がない

 

ひとつひとつの仕事に丁寧に取り組む事が得意な反面、突発的な事が苦手なHSPの方。
しかし、職場の空気を読み、頼まれれば断れないため、急な応援出社も断らないでしょう。

自己犠牲になってでも引き受け、無理して頑張ってしまいます。
HSPの保育士は、急な出社がない職場をおすすめします。

 

正社員での働き方がつらいと感じる場合は、派遣保育士など他の保育士をサポートする立場で仕事ができる働き方がおすすめ!

 

正社員保育士という働き方には重い責任がともないます。
HSPの保育士は他の人以上に責任を感じ、常に緊張感を持ち五感と脳をフル回転させています。

そのため、正社員での働き方はつらい、と感じるHSPの保育士も多いことでしょう。

つらいと感じる場合は、派遣保育士やパート保育士など、他の保育士をサポートする立場で仕事ができる働き方がおすすめです。
他の保育士をサポートする立場であれば、責任も主担任になる正社員ほどではありませんし、行事準備や行事時に多くの保護者や同僚・保育士の前に立つ、などの負担が軽くなります。

 

保育士はHSP向きの職業ではない!しかし働く場所や働き方を選ぶことで自分らしく活躍できる!

 

保育士という職業は、HSPの方には向いていない面もありますが、反面その特性を活かすこともできる職業です。
働く場所や働き方を選ぶことで自分らしく活躍できる未来があります。

いつも周囲を思いやるHSPの方だからこそ「私が辞めたら園や皆に迷惑かける」など周囲に気を遣って思い悩むかもしれませんが、まずは自分をいたわってあげてください。

そしてつぶれてしまう前に、自分らしく働くことができる職場を探してみてくださいね。
転職エージェント等に相談しHSPであることも伝えるのも1つの手です。

 

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