保育のコラム

年長クラスの担任保育士ですが、責任が重く辞めたいです。年度途中でも辞めることは可能でしょうか?

2023/07/27

年長クラスの担任は、子ども達が巣立つその時まで見守ることができますし、とてもやりがいがありますね。その反面業務が多く、責任も重大でしょう。

プレッシャーに押しつぶされそうになり、悩む保育士は多くいます。

 

しかし、責任感が強くて園児思いの優しい先生ほど、「辞めたい」と思い悩んでも「卒園まであともう少しだから頑張ろう」などと考え、我慢してしまいがちです。

 

この記事では、年長クラスの担任を受け持つと、どのような悩みを持つのかと、「辞めたい」と思った時どう進んでいけば良いかをお伝えします。

 

年長クラスはやりがいのあるクラスだが、その分プレッシャーが大きい!

 

年長クラスの担任はとてもやりがいがあると感じる保育士は多いでしょう。

年長クラスは、卒園して小学校入学という大きな人生の節目を迎えます。

 

送り出す時、「大きくなったね」「たくましくなったね」などと、感無量と感じる事でしょう。

反面、小学校に行くまでに習得して欲しい事や教えなければいけない事も多く、また卒園までの準備の業務も多いため、プレッシャーが大きいとも言えます。

 

年長クラスの保育士が辞めたいと思う主な理由

 

それでは、年長クラス担任の保育士が辞めたいと思う主な理由を、シチュエーションも交え具体的に見てみましょう。

 

理由1:1人で多くの子どもを見る必要があり、責任が重すぎる

 

そもそも法律で定められている、子ども何人に対して保育士1名という配置基準では、1人の保育士が大勢の子ども達を見なければなりません。

参考資料1の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」によると、

第三十三条 2

保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね二十人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね三十人につき一人以上とする。ただし、保育所一につき二人を下ることはできない。

と定められています。

つまり、4歳児・5歳児クラスの配置基準は子ども30人に対して保育士1人となります。

加配保育士の設置基準に満たない限り、1人で30人の子どもを見る必要があります。

そのため、1人の保育士が背負う責任は重く、プレッシャーに押しつぶされて辞めたいと悩んでしまうケースが多々あります。

 

<参考資料1>

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(第三十三条)」

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 | e-Gov法令検索

 

理由2:園児の運動量が多く、体力的な負担が大きい

 

年長児ともなると、体が大きく成長し、運動量が多くなります。

パワーがとてもあり元気いっぱいで、年長児ともなると午睡時間を設ける必要のない子がほとんどです。

このような子ども達を指導し、健やかな成長へと導いていくには、保育士も体力がないとやっていけません。

保育士の体力的な負担も大きく、毎日へとへとになって「辞めたい」と感じるようです。

 

理由3:行事などで高いレベルを求められるため、プレッシャーが大きい

 

年長クラスは、当然のことながら保育園の中で一番年上のクラスであり、年下のクラスの園児たちの見本であり、憧れの対象でもあります。

そのため、行事などでも他の年齢のクラスよりも高いレベルを求められます。

園内でも、日頃から周囲の期待を感じることも多いでしょう。

さらに保護者からの期待も大きくなりがちなので、プレッシャーが大きくなって押しつぶされそうになり、「辞めたい」と悩むケースが多いようです。

 

理由4:前年の年長さんと比較されるのがストレスになっている

 

理由3の行事の演目や日頃のクラスの様子などで、何かと前年の年長クラスと比較される事が多いでしょう。

前年と同等かそれ以上を、園長や主任や他の保育士、さらには保護者にまで期待されてしまうといった事は起こりやすいです。

そのような環境はプレッシャーになると同時に、「自分がやりたい保育」「今年の年長クラスの個性や特色に合う演目」をのびのびとやりづらい空気にもなります。

過去の年長クラスと比較されると、それがストレスとなって「辞めたい」と悩みます。

 

理由5:就学に向けてのサポートが難しい

 

年長クラスの担任の一番重要な仕事は、就学に向けてのサポートです。

これについてのプレッシャーが、一番ストレスになる保育士は多いのではないでしょうか。

スムーズに子ども達を保育園生活から小学校へと繋げていくために、年長クラスでこれだけは身に付けるべき、という事を教えていかなければなりません。

また、近年問題視されている「小1プロブレム」を少しでも軽減していくために、様々な取り組みを行っている園も多いでしょう。

 

小学校の生活について説明し、徐々にその生活に近づけていく、幼少連携に取り組み「子ども達と入学前の小学校訪問」「小学校教員との交流会参加」など積極的な交流を図る園もあります。

そういった取り組みも年長クラス担任の重要な仕事ですが、普段から保育園生活や行事等を通して年長担任へのプレッシャーが大きい事に加えて、さらに業務と責任が増え負担に感じて悩む保育士も多いようです。

 

※小1プロブレムとは 

引用:小学校に入学したばかりの小学校1年生が集団行動が取れない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数ヶ月継続する状態。これまでは1か月程度で落ち着くと言われていたが、これが継続するようになり就学前の幼児教育が注目され出した。

出典:東京都教育委員会 東京都教育ビジョン

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/action/vision2004_contents.html

 

「年度途中だから」「卒園まで見届けないと」と自分を追い込んで仕事を続けるのはNG!辞めたいと思ったら、体力や精神面を尊重して判断しよう

 

さて、ここまで年長クラス担任の保育士が、プレッシャーに押しつぶされそうで「辞めたい」と思うのはどんな事柄や悩みなのか見てきました。

ここからは、そんな時どんな選択をしてどのように行動していけば良いのか、状況別に解説していきます。

 

判断1:相談できる場合は、上司や園長に相談しよう

 

相談できる状況や環境があるのであれば、まずは上司や園長に相談しましょう。

気持ちを聞いてもらうことで、心が軽くなることもあります。

思いがけないアドバイスをいただけることもあるかもしれません。

 

また、負担を軽くしてもらえないか交渉するのも1つの方法です。

雑務など担任でなくても出来そうな業務を分担する、アルバム整理のデータ化・仕組み化などによる業務効率化、部分的に補助の先生に入ってもらえる等、周囲のサポートを受けられるような対策を考えてくれる可能性もあります。

 

相談できないような人間関係であれば、退職や転職を検討しよう

 

相談できない状況の場合は、退職や転職を検討してみましょう。

ここで、年長クラスの担任の責任を考え、我慢して仕事を続けるのはNGです。

自分の体力や精神面を最優先に考えましょう。

 

判断2:体力や精神面に限界が来ている場合は、すぐに休職や退職をしよう

 

体力や精神面に限界が来ている場合は、すぐに休職や退職することをおすすめします。

まずは、現場から離れてゆっくり休養し、自分の心や体の回復に努める事が最優先です。

 

年度途中でも辞めることは可能!まずは自分の心と体を第一に考えよう

 

結論から言えば、年度途中でも辞める事は可能です。

子どもや保護者への影響や他の保育士に迷惑がかかることなどを考えて、踏みとどまってしまう場合もありますが、法的には何の問題もありません。

自己犠牲の考えは捨てて、まずは自分の心と体を第一に考えましょう。

 

「年度途中だから」「迷惑がかかってしまう」「卒園まで見届けないと」などと自分を追い込んで仕事を続けるのはNGです。

ここで無理をしてしまうと、体調やメンタルを壊してしまい、回復するのに時間がかかってしまう可能性があります。

特にメンタルは1度壊してしまうとなかなか回復しませんので、自分の心と体を第一に考え、無理せず退職・休職の判断をすることが大切です。

 

園に退職を承諾もらえず、退職に必要な書類を発行しない場合は、労働局や労働基準監督署に相談しよう

 

園に退職を承諾してもらえず、退職に必要な書類を発行してもらえない、というトラブルの可能性はゼロではありません。

万が一そのような事が起きた場合、労働局や労働基準監督署に相談すると良いでしょう。

 

平日はなかなか時間を取るのが難しいと思いますが、土日の相談窓口や電話相談ホットラインなど、土日夜間対応もあります。

自治体によるので、お住いの地域で調べてみてください。

 

判断3:体力や精神面に問題はないが辛くて辞めたいと考えてしまう場合は、一旦3日以上の短期休暇を取得してリフレッシュをしよう

 

体力や精神面に問題はないけど、つらくてやめたいと常日頃考えてしまう場合は、いったんリフレッシュする事をおすすめします。

 

3日以上の短期休暇を取得してリフレッシュすれば、だいぶ気持ちが落ち着き、再度「頑張ろう」という気持ちになれることも考えられます。

保育園、特に年長クラス担任の時は1人担任である場合が多く、なかなか休暇の難しいポジションではありますが、園長や主任に相談してみましょう。

自分が休みでも主任が入ってくれるでしょうから、心配せず自分のリフレッシュを優先させましょう。

土日祝日も組み合わせて、少しの有給休暇で済む場合もありますので、工夫してみるのも良いかもしれません。

 

年長クラスの保育士が年度途中で辞める一般的な流れ

 

年長クラス担任の保育士が年度途中で辞める時の一般的な流れについて解説します。

いきなり退職届を出すのではなく、相談という形で園長や主任に時間を取ってもらう事から始めます。

退職の意思は、法的には退職希望日の14日前までに申告をするよう法律で定められていますが、一般的には1ヶ月程度前に申告するのが良いとされています。

また、年度末退職の場合、保育園は担任等の人員配置に影響があるため、年末までに(12月頃)伝えるケースもあります。

 

年度途中で退職する決意が固まっている場合は、大きな行事の準備時をさけ、行事が終わってひと段落したタイミングでの退職をおすすめします。

そのタイミングから逆算して1ヶ月くらい前に申告するのがベターです。

年度途中となると、園は代わりの保育士を探す猶予も必要だからです。

 

まずは直属の上司に退職意思を伝え、その後園長に伝えます。

園長に伝えた後に、保育園側から退職に関する書類等が発行されますので提出します。

退職日には保険証や貸与品の返却を行い退職となります。

 

一緒に働く同僚などに伝えるタイミング等は、保育園側の指示に従うようにしましょう。

職場の環境などに配慮して情報の解禁日を設ける保育園もあります。

 

また、引き継ぎについても、後任者が困ることのないようにできる限りしっかりと行いましょう。最後までしっかり責任を持つことで、子ども達と保護者の不安や混乱を最低限に出来る可能性があります。

 

子ども達や保護者へ退職を伝えるかどうかは、保育園の方針によります。

直接自分から伝えたいという思いがあったとしても、今後の影響を考えて退職後にプリントなどで伝えるのみにするなど保育園側にも方針があります。

特に担任の子ども達や保護者には、事前に伝えたい気持ちになりがちですが、ここはこらえるべきです。

周囲への混乱を招かないためにも、退職についてどのように伝えるかは園長や上司に確認してから進めるようにしましょう。

 

年長クラスの担任をしている保育士が辞めたいと思ったら、年度途中であっても自分の体調と精神面を尊重して判断・行動しよう

 

年長クラスの担任を受け持っている保育士が、「辞めたい」と思った時の選択肢と行動はいくつかありましたね。

リフレッシュして「よし、頑張ろう」と前向きな気持ちになれるのならよいですが、もしも自分の体調と精神面に限界を感じているならば「子ども達の卒園まで見届けたい」「卒園まで責任をもたなくては」などと自分を追い込んで我慢してしまうと、あなたの体と心が悲鳴をあげてしまうでしょう。

 

そうなる前に、年度途中でも自分の体調や精神面を尊重して判断し、行動していきましょう。

 

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