保育のコラム

【保育士体験談16】もう少し視野を広げて資格の活かし方を知ってほしい

2023/07/19

今の職場を辞めたい、転職したいと考える保育士さんの中には、人手不足や退職のタイミングなどにより、「今辞めたら園や他の保育士に迷惑がかかるのでは……」と二の足を踏んでしまっている方は多くいます。

保育士さんは責任感が強い方が多いため、「年度末まで」「あと1年は続けよう」とズルズルと働き続けてしまい体や心を壊してしまう方が多くいるのが現状です。

今回は、考えすぎてしまってなかなか転職に踏み切れない保育士さんの参考になればという思いで、実際に転職に成功されたMさんにインタビューし、体験談を聞かせていただきました。

【保育士体験談16】もう少し視野を広げて資格の活かし方を知ってほしい

保育士になったきっかけ・理由〜兄弟の存在があったから〜

──Mさんが保育士になったきっかけや理由を教えてください。

ある程度年の離れた兄弟の面倒を見ているうちに、自然と保育士のようなことをしていたのがきっかけです。

中学生ぐらいのときに、保育士をやりたいと思ったタイミングで母親にお願いしてピアノを習わせてもらい、そのままスムーズに保育士になったという流れです。

──どのような流れで保育士資格を取得されたんですか?

保育科がある短期大学の2年課程を修了し、そのまま幼稚園教諭と保育士の免許を取りました。

Mさんのこれまでの経歴〜ライフステージの変化やキャリアアップにより3度の転職を経験〜

──これまでの経歴を教えてください。

短期大学卒業後はそのまま私立幼稚園に就職しました。

私立幼稚園で4年間働きましたが、結婚を機に公立保育園に転職し臨時職員として4年間働きました。

その後出産をしたことや、保育園が閉園してしまったことがきっかけで私立保育園にパートとして転職。

今は保育科の専門学校講師の仕事をメインとして、大学の非常勤講師やベビーシッター、保育園での仕事を掛け持ちしながら働いています。

つらくて辞めたいと思ったのは私立幼稚園のときだけで、あとは結婚・出産などのライフスタイルの変化やキャリアアップが理由で転職しています。

保育スキルは上がっていくのに給料は上がらないことに気づき、キャリアアップを目指して保育科の専門学校講師に転職

──保育科の専門学校講師に転職しようと思ったのはなぜですか?

35歳を過ぎたときに、自分の保育スキルは勤務年数とともに上がっていくのに時給は上がらないことに気づいたんです。

他の業種の人たちはどんどん昇給をして、いいお給料をもらえている年齢ですよね。

このままずっと保育士を続けていたら給料は上がらないし、休みも取りづらいままだと思ったので、保育士の仕事を減らして専門学校の講師になりました。

──保育士から専門学校の講師に転職する方は珍しいと思うのですが、どうやって専門学校の講師という選択肢を見つけたんですか?

1年目の先生たちとお団子を作りながら「どこの学校から来たの?」という話をしていたときに、専門学校の保育科の話題が出たんです。

そのあとになんとなく専門学校の講師に関するページを見たら、実務経験が2、3年あれば講師になれると書かれていて、私でもなれるんだと思いました。

それが専門学校の講師という選択肢を見つけた経緯です。

専門学校の講師という選択肢を見つけた時は、「私は保育に関するスキルや知識を後世に伝えていくんだ」と心に火がついたような感覚になりました。

──自分の今持っている力を最大限活かせる場所を見つけたような感覚になったんですね。

そうですね。

20代のころは園長や主任のポジションに就きたいと思ってたんですけど、子どもが3人いるとなかなか叶いにくくて。

でも、50歳、60歳になった自分を想像した時に「パートのまま迎えたくない」と思ったんですよね。

園長や主任と同じぐらいのキャリアを積みたいと思っていたので、別の形でキャリアを積んでいくことに決めました。

──ライフステージ的にはどのようなタイミングで専門学校の講師になったんですか?

子どもが2歳だったので、子育て真っ只中の時期でした。

保育園で働いていた時期はフルタイムはちょっと難しいけど、パートだとキャリアが積めないことに葛藤を抱いていました。

──その葛藤を解決する働き方が、キャリアアップ、給料、休日の取りやすさなどの条件を満たした専門学校の講師だったんですね。

そうですね。

私は社会貢献をして、その対価をきちんともらうことを目標としているんです。

保育士で働いていたときの2倍以上の対価をもらえることを目標にしていたら今の働き方になりました。

保育現場での経験がある人は専門学校で需要があった

──保育科の専門学校ではどのような働き方をされているんですか?

1コマずつ仕事をいただいています。

「この教科で2コマお願いします」というふうに頼まれて、承諾するような形です。

──専門学校ではどのような経歴を持った方が働いてらっしゃるんですか?

10年以上保育士として働いてきたベテランの方が多いです。

保育現場でバリバリ働いていた先生を採用したいということだったので、15年ほど保育士として働いてきた私は結構すんなり採用していただきました。

──保育士として長年働いていた方は実体験から授業ができるから重宝されるということなんでしょうか?

そうですね。

保育科の専門学校でも保育園に携わっていない講師が教えていたりするので、生徒が保育園の生の声を聞くことはなかなかないみたいで。

長年保育現場で働いていたというところに需要がありました。

転職サイトは使わず、自分で情報を掴みながら働きたい職場を絞り込んでいった

──転職する際は転職サイトなどのサービスを使われましたか?

転職サイトなどは使わず、自分で情報を掴んで応募先の園にコンタクトを取る形をとっていました。

自分で調べて「いいな」と思った保育園に知人がいたら紹介してほしいと頼んだり、チラシを見て応募したりしていました。

転職サイトの求人票を見るよりも、自分が希望する働き方や、やりたい保育で検索して、絞り込んでいくことの方が多いですね。

求人票よりも、保育園のホームページなどから情報を得ているような感じです。

スムーズに転職を進められたのは、園長先生と信頼関係ができていたから

──お話を聞いていると比較的スムーズに転職されてきたのかなと感じるのですが、その理由はどこにあると思いますか?

保育園は本当に辞めづらいので、辞めることに対して葛藤はもちろんありました。

でも、運が良いことに園長先生と信頼関係ができていたんですよね。

10年ぐらいの付き合いだったので、認めていただいて大事にしてくれていたというのがスムーズに転職できた理由の一つでした。

──転職の話をした時はどのような反応が返ってきたんですか?

転職をしたいという話をしたときに「やりたいようにやりなさい」と言ってくださいました。

「でも、うちでも必要だから週1回でも月1回でも来てほしい」とも言っていただいたので、今でも席を置かせてもらっています。

──次にもしもう一度保育園で正職員として働くとしたら、こちらの園長先生がいる保育園がいいなという感じですか?

そうですね。

他の園で働くイメージは今のところ持てませんね。

新入りだったら融通が利かないし、どんな先生がいるのかもわからないし。

やっぱり上司との関係って大切だなと思います。

給料が高くなったことで休みが取りやすくなったのが今の職場の良いところ

──今の職場で実際に働いてみて「ここはいいな」と思うところを教えてください。

給料面や休みの取りやすさには満足しています。

給料面では、時給換算すると保育園でパートをしていた時の3倍以上の金額をいただけているんです。

同じ時間働いたとすると、週に2日ぐらい休んでも保育園でパートをしていた時よりお給料が多いですよね。

そうなると、お金の面でも休みが取りやすいので、子どもの用事に付きそう時間も取りやすくなったのは良いところだと思います。

今転職などに悩んでいる保育士の方に向けたアドバイス〜もう少し視野を広げて資格の活かし方を知ってほしい〜

──今、転職などに悩んでいる保育士の方に向けて、何かアドバイスするとしたらどんなことを伝えますか?

保育園にいてくれるから保育園が成り立っていると思うので、保育士として働いていることを否定してほしくないんです。

給料の低さや働きにくさでみんなが保育士という職業から遠のいてしまうと、日本で働いている保育士さんは激減しちゃうんじゃないかなと思います。

今保育園に残っているのは、やりがいを感じていたり、子どもたちと一緒にいたいという思いがあったりする人たちだと思っているので、もし続けられるのであれば残ってほしいなと思います。

もし保育園で働くことに迷っているのであれば、幼稚園教諭や保育士の免許を活かせる別の場所で働く方法を見出してほしいと思います。

保育士って本当はすごく選択肢があるのに、それを知ってる保育士さんって少ないんですよね。

だからもう少し視野を広げて資格の活かし方を知ってほしいです。

  • ポイント1:保育園で働くことに迷っているのであれば、別の場所で働く方法を見出す
  • ポイント2:もう少し視野を広げて資格の活かし方を知ることが大切

ー 取材協力:株式会社トビバコ

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