保育のコラム

【保育士体験談15】これからもずっと今の園で働いていきたい

2023/07/19

今の職場を辞めたい、転職したいと考える保育士さんの中には、人手不足や退職のタイミングなどにより、「今辞めたら園や他の保育士に迷惑がかかるのでは……」と二の足を踏んでしまっている方は多くいます。

保育士さんは責任感が強い方が多いため、「年度末まで」「あと1年は続けよう」とズルズルと働き続けてしまい体や心を壊してしまう方が多くいるのが現状です。

今回は、考えすぎてしまってなかなか転職に踏み切れない保育士さんの参考になればという思いで、実際に転職に成功されたTさんにインタビューし、体験談を聞かせていただきました。

【保育士体験談15】これからもずっと今の園で働いていきたい

保育士になったきっかけは、純粋に子どもが大好きだから

──保育士になったきっかけや理由を教えてください。

純粋に子どもが大好きだからです。

小学生の時に親戚の家に赤ちゃんが生まれて、面倒をみていくうちに「子どもってかわいいな」「一緒にいると楽しいな」という気持ちが強くなっていきました。

あとは、近所に子どもがたくさん住んでいたので、その子どもたちを巻き込んで一緒に鬼ごっこやかくれんぼをしていたことも保育士になろうと思ったきっかけの1つです。

毎日のように遊んでいるうちに、最初は3人で遊んでいたのが4人、6人、10人と増えていって。

自分は子どもを引き寄せる素質があるのかなと思い、「子どもと関わる仕事に就きたい」「保育士になりたい」と思うようになりました。
 

──保育士になりたいと思うようになったのはいつ頃ですか?

小学校4年生のころです。

──男性保育士が少ない職種であることに抵抗はありましたか?

小学校4年生のころは男性の保育士さんって世の中にいるのかなと思うほど少なくて。

でも中学生のときに職業体験で行った保育園には運良く男性の保育士さんが1人いらっしゃったんです。

その保育士さんがとても温かい方で、周囲を笑わせるのもすごく上手で、子どもたちもすごくなついていて。

他の保育士さんもフレンドリーですごく印象に残ったので、「絶対保育士になろう」という気持ちになりました。
 

──ちなみに、保育士資格はどのような流れで取得されたんですか?

短期大学に行って保育士資格を取りました。

──短期大学に通っていた時はどういったアルバイトをされていたんですか?

学童クラブでアルバイトをしていました。

学童クラブでは主に小学生を相手にしていたのですが、すごく楽しかったのを覚えています。

保育園の子どもと比べたら体も大きいし、遊びのルールも覚えてくれやすいし、体力もあるので、ドッジボールやケイドロなどの激しい遊びを盛り込むことができるんですよね。

大人になってドッジボールやケイドロなんてなかなかしないと思うんですけど、そういった遊びをまた子どもたちと一緒にできることがたまらなく嬉しかったです。

Tさんのこれまでの経歴

──今の職場で働き始めるまでの経歴を教えてください。

短大卒業後、学童クラブに正職員として入職しました。

その後、雇用形態を非正規に変更し、院内保育所とのダブルワークを経て、院内保育所を運営する企業に正職員として入職。

入職した企業が運営していた小規模保育園で働いたあと、本部付エリア保育士として2社勤めました。

本部付きエリア保育士として働いた2社目の企業から転職し、現在は認可保育園で働いています。

──一番最初の入職先として学童クラブを選んだ理由はどういうところにあったんですか?

短大生の時に学童クラブで働いたことがきっかけとなって、卒業後は学童クラブで働きたいと思い、入職しました。

──学童保育から院内保育所に転職した理由を教えてください。

学童クラブで2年間働くなかで、学童クラブに通っている小学生の子どもたちはこれまでどういうふうに育ってきたんだろうという発達過程に関する興味が湧いてきたんです。

そこから乳幼児期に関わる仕事をしてみたいという気持ちが強くなってきたので、学童クラブと院内保育所とのダブルワークを経て院内保育所に入職しました。

──院内保育所から転職したのは何がきっかけだったんですか?

院内保育所では0〜3歳の子どもを預かっていたので、赤ちゃんの成長過程を勉強することができました。

0〜3歳の子どもの保育をする中で、他の保育園も見てみたいなと思ったので院内保育所を運営していた企業に正職員として入職しました。

──院内保育園から小規模保育園に移ったあと、本部付エリア保育士に転職された経緯を教えてください。

小規模保育園で働いていた時に、県外出張をさせてもらっていたことがあって。

1ヶ月半ぐらい泊まりで行って、出張先の保育園で勤務をするということがあったんです。

そうやって他の保育園で働かせてもらったことで、保育園の見方・考え方がすごく勉強になって。

他の保育園を見た経験から自分にとってプラスになる働き方だなと思ったので、本部付エリア保育士に転職しました。

本部付エリア保育士を経験したことによって視野が広がった

──本部付エリア保育士というのはどんな働き方なんですか?

エリア内にある色々な保育施設に出向いて、保育業務のお手伝いをするという仕事です。

出向くのは主に人手不足の保育園ですね。

人手不足ということは保育士さんの負担が大きいので、そこに誰か一人でも入ってくれるととても助かるんですよね。

だから出向いた先の保育士さんが気持ちよく働けるように考えて仕事をしていました。

本部付エリア保育士は大変だったけど、とても勉強になりました。

しかし、ホテルでの寝泊まりが続く生活に苦痛を感じ、転職を決める

──本部付エリア保育士を辞めて認可保育園に転職しようと思った理由やきっかけはなんだったんですか?

一番はホテル生活だったことです。

僕は腰痛持ちなので、ベッドが合わないのは苦痛でした。

慣れない土地なので、ホテルから現場に向かうまでのバスの時刻表や乗り方を覚えたり、周辺の店を調べたりすることや、プライベートの時間を持ちにくいのが大変でしたね。

ホテル生活って言ったらリッチなイメージがあると思うんですけど、僕にとってはすごく苦痛でした。

あとは、色んな保育施設に出向いてみて、「やっぱり現場って楽しいな」と思ったんです。

僕には保育士として足りないものがたくさんあったけど、色んな保育施設で勉強させてもらったから、もう一度現場で働きたいという気持ちがありました。

認可保育園に転職する前に、他の企業でも本部付エリア保育士として1ヶ月勤めてから今働いている認可保育園に入職しました。

2社目の本部付エリア保育士を1ヶ月で退職し、現在の保育園に転職

──2社目に本部付エリア保育士として勤めた企業から転職した理由やきっかけを教えてください。

実は僕は喘息持ちなんです。

転職したころはちょうどコロナウイルスがはやっていて。

喘息を持っている人は罹患したら重症化すると言われていたので、健康面を優先して1ヶ月で辞めました。

やっぱり色んな保育園に行く仕事なので、罹患するリスクが高いと思ったことが大きな理由です。

──現在勤めている認可保育園にはどのような流れで転職されましたか?

今勤めているところには、知り合いに声をかけていただいて入りました。

園見学でいつもするのは「職員同士の人間関係が悪くなった時にどういう対処をしているのか?」という質問

──転職する前に園見学をされましたか?

保育園に電話をしたら、園長先生が「ぜひいらしてください」と言ってくださったので、園見学をさせてもらいました。

──園見学の際に注意して見たポイントはありますか?

注意して見たというか、園見学に行かせてもらったときにいいなと思ったのが、職員の声ではなくて子どもたちの声だけが響いていたことです。

今の保育園を見学するまでにいろんな保育園を見学させてもらったんですけど、他の園は職員の声が響いている印象があって。

子どもたちに怒っている声や「これからこれします」と指示している声ですね。

でも今の保育園は子どもたちの声だけが自然に響いているのがいいなと思いました。

──Tさんは様々な保育園の良い面も悪い面も見てこられたと思います。そんなTさんが考える、園見学で自分にとって良い保育園と悪い保育園を見分けるポイントはありますか?

僕が園見学の時にいつもさせてもらうのは、「職員同士の関係に亀裂が入ってしまったときはどのような取り組みをされていますか?」という質問です。

実際に対立してしまったら園長先生や主任の先生がどういうふうに対処されるのかという点は確かめて、自分の考え方に合うかどうか知っておいたほうがいいと思います。

今の保育園は個性を大切にしているのが良いところ

──今の保育園で働いてみて「ここはいいところだな」と思う点を教えてください。

今働いている認可保育園は80人定員の異年齢保育をやっているんです。

1クラスに1歳から5歳までの子どもが20人いて、それがすごく楽しいんですよね。

また、今の保育園は子どもに「やらせる保育」をしていないというのがすごく魅力的だと感じています。

大人も子どもも個性を大切にしている園なので、入ってからはありのままの自分を出しながら働かせてもらっています。

──管理職の先生方との関係性はいかがですか?

園長先生とクラス担任の先生は距離感があって直接相談にのってもらうことは難しいと思っていたんですけど、今の園長先生はすごく親身になって聞いてくれるんです。

なので、多分これからもずっと今の園で働いていくんじゃないかなと思っています。

現在転職などに悩んでいる保育士の方に向けたアドバイス〜これからもずっと今の園で働いていきたい〜

──肉体的にも精神的にも限界が来ているのに、なかなか転職に踏み切れない保育士さんにアドバイスするとしたらどんなことを伝えますか?

僕もそうだったんですけど、保育士さんってなかなかすぐに辞めさせてもらえないこともあるんです。

なかなか辞めさせてもらえないときは退職代行など、外部に頼ることも大切だと思います。

そのまま今の保育園にいたら、余計に悪循環になったり、体を壊してしまったりすることもあると思うので、外部に頼って今の環境から抜け出すことが大事だと思いますね。

  • ポイント1:「保育士同士が対立してしまったら」園長や主任はどのように対応するのか?という点は確認しておいたほうがいい
  • ポイント2:必要であれば退職代行などの外部の力を借りて、今の環境から抜け出す!

ー 取材協力:株式会社トビバコ

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