保育のコラム

どう関わる?保育士の保護者対応のポイントや事例別の対処方法を紹介!

2021/01/04

キャリアコンサルタントに相談する

実際に保育士として働いていると、一度ならずとも保護者にお叱りを受けることや対応の不適切さを指摘されるという場面に遭遇することがあるはずです。

保育士は問題に向き合い、改善することが求められるわけですが、中には理不尽なクレームがあることも事実です。

保護者対応を行うことは、ときに大きなストレスとなり、残念ながらそれが原因で「離職したい」と考える保育士も多く存在します。

しかし、せっかく志を持って保育士になったのですから、保護者対応も上手に行って、自身の保育士としての成長や保護者とのさらなる信頼関係の構築につなげられたら、とても素晴らしいですよね。

この記事では、保育士が保護者対応を行う際のポイントや注意点などについてご紹介していきます。

“ずっと保育士編集部”

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

どんな時?保育園で保護者対応が必要となる場面とは

保育士が保護者対応を行う場面は、以下のようなシチュエーションです。

  • 保育園で過ごしている時間にケガ・お友だちとのけんかなどのトラブルがあった場合
  • 保護者が保育園の対応に不満を持ち、クレームを伝える場合
  • 保護者が保育園に改善要望などを伝える場合

伝達は、朝と夕方の送迎時、限られた時間内で行われることが大半です。

必ずしも良い内容の話ばかりではなく、情報や想いの行き違いが発生することもあります。

保育士としても保護者への伝達の仕方、保護者からの話を聞く姿勢には配慮が必要です。

保育士がしてはいけないNG言動とは?

ある調査では、保護者が保育士に最も求めているのは「安心して預けることができる」ということでした。

また、他にも「明るく気持ちの良い態度であること」「子どもの気持ちを受け止める」「子ども・保護者の立場に立った柔軟な対応をしてくれること」「子どもや保育園についてのこまめな情報共有をしてくれること」という要望もあります。

これらの保護者の要望に応えるためには、日々のコミュニケーションを通して保育士と保護者の信頼関係を構築することが大切だと言えます。

しかし、残念ながら、保育士側の何気ない発言内容がきっかけでクレームにつながってしまうこともあるため、保育士がしてはいけない言動にはどのようなものがあるかについて、詳しく紹介していきます。

1.保護者の事情を理解しようとしない

保護者は、それぞれが社会的な役割を担いながら日々必死で子育てと仕事の両立を行っています。

保護者の様々な事情や制約を鑑みずに、お迎え時間の違いに関する指摘や登園を控えてほしい旨など、保育園側の都合だけで一方的に伝えてしまうと、保護者は精神的に追い詰められたと感じてしまいます。

さらには「保育園は保護者のことを理解してくれない」という想いにつながってしまい、敵対心を抱くことでクレームにつながりやすくなります。

例えば「今日はお迎え早かったですね」などの発言は、保育士側は悪気なく言っただけでも、保護者にしてみれば「いつも遅い」と指摘されているように感じられることもあるので注意が必要です。

2.子どもを侮辱する発言をする

子どもをサポートする立場の保育士が、「この子は困った子です」「〇〇くんは落ち着きがないね」「普通だったらもう〇〇できて良いはずなのですが…」など、子どもを侮辱したり、他の子どもと比較して劣っているという意味の発言をすることは、明らかに不適切です。

世界一かわいい我が子に対して上記のような発言をされると保護者はとても傷つきます。

たとえそれが正しいことであったり、子どものためを思って言ったことだとしても、感情的なクレームに繋がりやすくなってしまいます。

保護者と良好な人間関係を築くためのポイント

日ごろから保護者と良好な関係を築いておけると、トラブルが発生した際にも保育士からの伝達事項が保護者に受け入れられやすく、スムーズに問題解決をすることにつながります。

以下の点に留意しながら積極的なコミュニケーションを取れるように日常的に心がけてみると良いでしょう。

傾聴を心がける

多くの保護者は初めての子育てと忙しい仕事の両立に疑問や悩みを抱えているものです。

また、第2子以降であっても、子どもによっては不安な気持ちになることもあります。

保育のプロである保育士に、子育てについての相談をしたいときもあれば、愚痴を聞いてもらいたい気持ちになることもあるでしょう。

クレームに限らず、保護者が保育士に対してなにか話をする際は、まずは一通りの話を聞くようにすると良いです。

保護者が話をしている最中に口を挟むことはもちろん、反論することはあまりせずに、「話をとにかく聞く」という傾聴の姿勢が、保護者と保育士の信頼関係の基本となります。

保護者とのコミュニケーションが苦手だと感じている方は、「話す」という事に意識が向きがちですが、まずは相手の話を「聞く」という事を意識すると良いです。

身だしなみは清潔感を意識する

「人は見た目が9割」という書籍もあるくらい、やはりパッと見の印象は大切です。

これは決して特別な美醜の良し悪しのことを言っているのではなく、髪型・メイク・服装など、目で見てわかる清潔感を意識すれば足りることです。

また、いつも明るく笑顔で過ごす、あいさつをする、言葉遣いに注意するなど、社会人として当然の振る舞いをするだけで、保護者は保育士に好感を持つことができます。

保護者の立場に立ってみて、どんな保育士であれば大切な我が子の保育を任せたいと感じられるか考えてみると良いでしょう。

連絡帳は保護者が楽しく読めるように工夫する

保護者と保育士が日々やり取りする連絡帳も信頼関係を築くための重要なツールです。

連絡帳を書く際には、子どもが楽しんでいた様子、褒めたこと、進歩が見られたことなど良い話を書き、ネガティブな伝達事項がある場合は、お迎え時に口頭でそっと伝えるようにするのがコツです。

保護者にとって、我が子の成長を伝えてくれる連絡帳は毎日の楽しみのひとつです。

後から何度も読み返し、子どもが大きくなっても大切に取っておく人もいるほどですから、読んでうれしい気分になってもらえるものにしたいですね。

連絡帳の書き方やポイントについての詳細は、次の記事でも詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてください。

>>「保育士の信頼度が増す!保護者に伝わりやすい連絡帳の書き方のコツ」の記事を見る

保護者からクレーム!5つの事例をもとに対処法を解説!

まずは日常的なコミュニケーションを通して信頼関係を構築することが大切であることをお伝えしましたが、それでも保護者からクレームを受けてしまう事はあります。

まずは、どんなクレーム内容でも共通の対処ポイントを説明します。

表1:クレーム対処のポイント

話を最後まで聞く

まずは保護者の話を最後まで聞きましょう。途中で話を遮ったり、反論をするのはNGです。不満を助長し、怒りの火に油を注ぐことになりかねません。

状況を整理し、保育園の対応に不備があればきちんと謝罪する

保護者の話を聞きながら、状況を整理し、正確に把握するように努めましょう。そのうえで、保育園の対応に不足や問題点があれば、誠意をもって謝罪をし、改善に努める必要があります。一方で、安易な謝罪やその場しのぎの回答をするのはやめましょう。問題を大きくすることにつながります。

問題をひとりで抱え込まず、先輩保育士や園長に報告・相談し、チームで解決する

クレームを受けると「自分の責任だから自分で解決しなければ」と思ってしまうかもしれません。しかし、ひとりで抱え込み、保育園内で情報伝達ができていないことで、返って問題が大きくなってしまう場合も多々あります。速やかに保育園内で情報共有をして、チーム全体で対応するようにしましょう。

中立の立場で話をする

主観や感情は排除して、事実を話すように心がけましょう。特に子ども同士のトラブルの際には、どちらの子どもが悪いなどと決めつける発言はNGです。

代替案を出す

保育園として対応ができることに限界がある場合もあります。どのような対応をどこまでならできるのか、また保護者の要望する対応が難しい場合は、理由をきちんと説明するようにしましょう。

対応できることはすぐに行って、保護者に報告する

対応していることがわかれば、誠意が伝わり保護者も安心してくれます。反対に、保護者への報告を全くせずにいると「伝えたのになにもしてくれない」と新たなクレームにつながりかねません。

この他にもクレームの種類は多種多様なので、よくあるクレーム次に事例別の対処方法についても抑えておきましょう。

子ども同士のトラブルに関するクレームへの対処法

一緒に過ごす時間が長い子ども同士の間では、頻繁にトラブルが起こります。

ほんの一例ではありますが、「外遊びをしている際に、お友だちに砂をかけられて目に入ってしまった」「言葉で伝えられない子どもに噛みつかれた」などが考えられます。

子どもが怪我をした場合は、どのような状況で怪我をするに至ったのか、怪我の程度はどの程度なのか、保育園はどのような対応をしたのかなどをお迎え時に口頭で詳細に伝えましょう。

また、怪我の程度によっては保護者の職場に連絡を入れたうえで、速やかに保育士が病院へ連れて行く必要があります。

被害者側の園児の保護者が加害者側の保護者に謝罪を求める場合、また逆に加害者側の保護者が謝罪をしたいので相手の連絡先を教えてほしいと希望する場合は、「保育園から個人情報を伝えることはできない」「保育園が仲立ちする」などの方針を伝え、理解してもらったうえで対応しましょう。

また、こういったケガや事故などの対処はご自身お一人で行うのではなく、必ず上司や園長などと相談して園全体で対処しましょう。

虫さされなど、些細なことに関するクレームへの対処法

生活環境や価値観が違えば、ひとつのことに対する考え方も違います。

保育士にとっては「虫さされ程度」「些細なこと」と感じるようなことであっても、保護者にとっては「うちの子は皮膚が弱いから掻き壊してトビヒになったら大変」「なぜこんな大切なこと伝えてくれないの?」と感じることもあります。

「虫さされについて教えてくれないと困る」「保育園にいる間にたくさん虫にさされた」などとクレームがある場合は、見落としがあったことについては謝罪をし、そうは言っても全てを防ぎきれるわけではないことを伝えて理解してもらえるように努めましょう。

また、注意しても虫にさされてしまった場合は、発見しだい薬を塗るなどの具体的な提案をしてみるのも良いでしょう。

行事やイベントに関するクレームへの対処法

行事やイベントは保護者にとって自分の子どもの成長を間近で見られる貴重な機会であるが故に、自分の子ども以外が見えなくなってしまう事があります。

そのため、クレームが起きやすい機会とも言えます。

起きやすいとされるのは以下のようなクレームです。ある程度起きやすいクレームと対処法は事前に把握しておくようにしましょう。

表2:行事やイベントに関するクレームへの対処法

行事・イベントの日程を告知するのが遅い。そのおかげで仕事の調整がつかず参加できない!

保育園に子どもを預ける保護者は、それぞれ仕事を持っており、必ずしも土日祝日が休みの職業ばかりではありません。そのため、行事やイベントの日程はなるべく早く決定し、保護者に連絡するように努めましょう。

しかし、天候の都合や各種手配・調整の関係でどうしても連絡するのが遅くなってしまうことは実際にあります。

連絡が遅くなってしまった場合は、まずは謝罪をしたうえで、やむを得ない事情があったことを真摯に伝えるように努めましょう。

行事・イベントの写真に我が子が写っていない!

せっかくのイベントで我が子の写真が1枚もないというのは、保護者にしてみればやはりガッカリしてしまいます。

イベントに参加する子どもの人数が多い場合は満遍なく撮影するのは難しいですが、まずは謝罪をし、平均的に全員の写真を撮れるための今後の対策を伝えましょう。

発熱など急病時の対応に関するクレームへの対処法

表3:発熱など急病時の対応に関するクレームへの対処法

発熱時のお迎え要請が頻繁過ぎる!

発熱時のお迎えは、保育園によって「37.6度以上はお迎え要請する」などのルールがあるはずなので、まずはルールについて率直に伝えて理解してもらいましょう。また、子どもが元気そうにしていても熱がある以上は病気の可能性があり、保育園が判断することができない以上、どうしてもお迎えにきてもらう必要があることを真摯に伝えましょう。

発熱したら保育士が病院を受診させてほしい!

保育士が病院を受診させられるのは怪我の場合に限っているなど、保育園の方針やルールを伝えて理解してもらえるように努めましょう。

但し、保護者もそれぞれ働いている中で、頻繁には休みが取りにくい、何度も子どもの急病で早退・休暇を繰り返して社内の人間関係がうまくいかなくなっているなどの事情を抱えていることもあります。

保護者の立場にはきちんと理解を示して話をするように注意が必要です。

保育園での過ごし方についてのクレームへの対処法

表4:保育園での過ごし方についてのクレームへの対処法

子どもが嫌いなものは食べさせないでほしい!

食物アレルギーに触れない範囲で、様々な食材を知ることやバランスの良い食事をとることは、子どもにとって大切であること、とはいえ保育園では無理やり食べさせているわけではないことを伝えると良いでしょう。

子どもが家で気に入っているおもちゃを保育園にも置いてほしい!

保育園に置いているおもちゃには、ひとつひとつ目的やねらいがあること、計画的に買い増し、入れ替えをしていることを説明し、子どもが楽しく遊んでいる様子やお友だちと譲り合いをしている様子などを伝えると良いでしょう。

保護者との関係づくりはコミュニケーションが大切!

保育士としてどんなに完ぺきな対応していても、多様な考え方や価値観が存在する以上、大なり小なりクレームになってしまうことは避けられません。

ときには一方的で理不尽に感じられることもあり、保護者対応に疲れてしまうこともあるかもしれませんが、クレームにうまく対応できれば保育園全体のレベルアップと保育士自身の成長につなげることができます。

冷静かつ適切な保護者対応ができるようになって、子どもにも保護者にも信頼される保育士を目指しましょう。

 

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