保育のコラム

絵本トーク7月号 子どもが夢中になる本

2017/10/05

◆◇◆◇◆◇子どもが夢中になる本◆◇◆◇◆◇◆

 

 梅雨が明けると一面の夏空。太陽が容赦なく照りつけます。海開き山開きももうすぐ。海山におでかけしたくなる季節になりましたね。今月は夏を豊かに彩る絵本と子どもが夢中になる本をご紹介します。

 

★夏を豊かに彩る絵本(*お薦めの年齢は目安です)

 ①0歳~    ②1歳半~     ③2歳半~       ④3歳~       ⑤4歳~         ⑥5歳~

                
                

 ①『おさかないっぱい』増田純子/さく こどものとも012 2011年5月号 福音館書店 

 *赤青黄色のカラフルなおさかな。いっぴき・にひき・いっぱいの繰り返しが、赤ちゃんを惹きつける。

②『かにこちゃん』きしだえりこ/さく ほりうちせいいち/え くもん出版

 *堀内氏の優れた画業が、稀代の詩人の言葉に寄り添う。夏の海を美しく抒情豊かに描いた絵本。

③『おさるのジョージ キャンプにいく』M&H・A・レイ/原作 福本友美子/訳 岩波書店

 *しりたがりやのジョージは、キャンプ場でもてんやわんやの一騒動。無事マシュマロは焼けたかな?

④『きこえるきこえるなつのおと』マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 レナード・ワイズガード/絵

よしがみきょうた/訳 小峰書店

 *子犬のマフィンを通し、夏の風物を的確に音でとらえた絵本、子どもたちを日常と非日常に連れ出す。

⑤『めっきらもっきらどおんどん』長谷川摂子/作 ふりやなな/画 福音館書店

 *毎夏、必ず読み返すファンタジー絵本。ふりやななの画の伸びやかさに、子どもの心が解放される。

⑥『天人にょうぼう』谷真介/文 赤坂三好/絵 佼成出版社

 *七夕由来譚。谷赤坂の兄弟コンビによる各月の行事むかしむかしシリーズは、どれもお薦め・・・。

 

★子どもが夢中になる本とは…。

  自分のお気に入りは、何十回読んでも飽きない。何故でしょう。それは、だれも邪魔することができない、その子の持って生まれた特性=個性としか説明できません。

 

 僭越ながら、我が孫保育園児の例を申しますと・・・、

 

 

上の5歳7ヶ月の年長男児は、小さい頃は乗り物にはまっていましたが、今はすっかり興味関心が移り冒険・妖怪・忍者もの、ことばあそびなどに夢中。『エルマーのぼうけん』『シンドバットの冒険』『ガリバー旅行記』『いいからいいから4』などにのめりこみながら、『かさぶたってどんなぶた』などのことばあそびの詩の本や、最近はまた(*自分がネズミ年なので頑なにネズミの本にこだわる)ネズミが主人公の絵本『番ねずみのヤカちゃん』を読み返しています。

 

 

         ⑦            ⑧         ⑨       ⑩            ⑪             ⑫

 

          

 

⑦『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット/さく ルース・クリスマン・ガネット/え わたなべしげお/やく 福音館 書店

 

⑧『シンドバットの冒険』(こども世界名作童話25)吉本直志郎/文 若菜等/絵 ポプラ社

⑨『ガリバー旅行記』(こども世界名作童話37)ジョナサン・スウィフト/作 飯豊道男/文 村井 香 葉/絵 ポプラ社

⑩『いいからいいから4』長谷川義史/作 絵本館

⑪『かさぶたってどんなぶた』小池昌代/編 スズキコージ/画 あかね書房

⑫『番ねずみのヤカちゃん』リチャード・ウイルバー/さく 大社玲子/え 松岡享子/やく 福音館書店

 

 

 一方、1歳3ヶ月の下の男子は、1歳の誕生日を境に、俄然乗り物に関心を示し始め、今は『はらぺこあおむし』と乗り物だけ。他は全く受け入れません。特に電車・バス・飛行機が大好き。『はたらくじどうしゃ』『うみへいくピン・ポン・バス』『しゅっぱつしんこう!』『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』『エアポートきゅうこうはっしゃ!』『とべ!ちいさいプロペラき』など実物に近い絵柄の絵本を、読んで「デンニャ(電車)・キ(飛行機)・バ(バス)」と言いながら持ってきます。第2子というのは、聞きしに勝る恐るべき存在で、通常乳幼児が喜ぶ遊具には殆ど興味を示さず、兄の後ばかり追いかけて、今や兄の分厚い乗り物図鑑にまで、侵入しはじめました。

 

 

  ⑬      ⑭      ⑮      ⑯      ⑰      ⑱

     

 

 

⑬『はたらくじどうしゃ』鈴木まもる/さく・え 金の星社

 

⑭『うみへいくピン・ポン・バス』竹下文子/作 鈴木まもる/絵 偕成社

⑮『しゅっぱつしんこう!』山本忠敬/さく 福音館書店

⑯『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』間瀬なおかた/作・絵 チャイルド本社

⑰『エアポートきゅうこうはっしゃ!』みねおみつ/作 PHP研究所

⑱『とべ!ちいさいプロペラき』小風さち/文 山本忠敬/え 福音館書店

 

 このように、夢中になる本・はまる本は、一人一人年齢・性別・興味関心などで異なるため、タイムリーな個々の対応が必要になってきます。絵本相談では、そこをきっちり聞き出すことで子どもに寄り添う本の選書がスムーズになり、夢中になれる分野やはまるものがある場合は、逆に絵本選びは易しく思えます。そして各個人の興味関心や好きな分野をぐーんと伸ばしてやり、深めていけば、より適切なその個に合った本に出会えるのではないかと、日々孫の生活や絵本相談の中で感じています。夢中になれる本に出会うことが、本好きになる近道であり、読書への入り口、はじめの一歩といえるのではないでしょうか・・・。

 

 

★さっそくトライ!今月のミニおはなし会                  

 今月は0歳~2歳児対象のミニおはなし会をご紹介します。

まず、上記紹介の『かにこちゃん』を読んだ後、わらべうた♪こまんかこまんかで、波遊びを楽しんでみませんか。(歌詞:こまんかこまんか こまんかなみ まちっとふとなれ)

 遊び方は、①膝載せあそび。子どもを膝に載せ、膝をだんだん高くしていって、波乗りに見たて、すべ

り台のように膝から赤ちゃんを滑らせながら唱える。②小さな布遊び。布を小波に見立て、小さな布を振りながら唱える。③大きな布遊び。布を大波に見立て、両端を持って振ったり、パラバルーン風にかぶせたりして遊ぶ。子どもたちはこの遊びが大好き。

*参考図書 『新訂わらべうたであそぼう 乳児のあそび・うた。ごろあわせ』コダーイ芸術教育研究所著 明治図書

では、次回をお楽しみに・・・・ 

 

(「はぐはぐの樹子ども図書館」館長 金澤和子)

 

 

 

 【プロフィール】

 

  「はぐはぐの樹子ども図書館」館長。司書・保育士。
   横浜市・南区地域子育て支援拠点内「はぐはぐの樹子ども図書館」で、絵本相談・おはなし会・わらべうたなどを通し、子育て支援に従事。

  子どもと本をつなぐ活動を始めて25年。

  市民グループ「子どもと本」代表。

  著書:『赤ちゃんと絵本であそぼう!』一声社

 

 

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