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「保育」のお役立ちコラム

保育に「認定療法的手法」を取り入れる

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1、1番へのこだわり
つぎの事例は、2歳児のものです。
 
Y子、H男、R男、T男が保育士の「ホールに行こうか」という誘いに対し
「行く!」と返事をして片づけを始める。
そして4人が靴を履き始めたころにM子が4人の姿に気づき、
M子「M子もいきたい!」
と言ったので、一緒に二階へ行くことにした。
 
靴を履いているとM子とY子のやり取りが始まる。
M子「(Y子に対し)M子ちゃんが一番に行ってもいい?」
Y「良いよ!じゃあ明日はY子ちゃんが、一番だからね!」
すると、そのやり取りを聞いていたためか
H男「H男君も一番がいい!」
と言う。
 
M子もY子もなかなか返事をしないので、保育士が
保『それじゃあ、今日の行くときはM子ちゃんが一番、帰るときはH男君が一番。明日はY子ちゃんが一番になったらどう?』
と、それぞれの顔をよく見ながら提案してみる。
すると3人とも「うん」と返事をしたので、M子が先頭となり二階へ向かう。
 
ホールではボール遊びをして身体を動かしたり、ままごとをしたりする。 
M子と一緒にままごとをしているときに
保『M子ちゃん、さっきは順番このお話をしているときに“うん”って言えて偉かったね。』
と、告げるとM子はとても嬉しそうな表情であった。
保『お片づけをしてそろそろ帰ろう』
と、声をかけると、帰りは一番になると約束したH男が真っ先に片付け始める。
 
並ぶ前にもう一度
保『来るときはM子ちゃんが一番だったから、帰りはH男君が一番だよ。』
と伝える。するとY子が
Y子「Y子ちゃん一番がよかった…」
と暗い表情になる。
しかし、H男との約束もあったのでY子に“明日は一番だからね”と声をかけようとすると、M子が
M子「Y子ちゃん一番がよかったの? 明日は一番だよ」
と声をかけてくれた。するとその声掛けでY子はうなづき、並ぶことができた。
 
保育士が
保『M子ちゃん、Y子ちゃんありがとう』
と、声をかけて部屋に戻る。M子は部屋に戻るまでY子にとても優しく、ぐずることもなかった。
 
 2歳児になると、1番ということにこだわりを持つようになります。それ自体が悪いことではないのですが、それがあまりにも強すぎるとたえずトラブルを起こすことになります。こだわりをどのように活かしていくかが、大きな課題だと言えるのではないでしょうか。
 
2、「こだわり」を子どものペースで関わる契機に
“強いこだわりをどう捉えるか”によって、保育士の関わり方も違ってくるのではないでしょうか。
『こだわりはいけないこと?』という捉え方から、
何故こだわるのかを子供の姿から捉え、どのようにしていったらよいかを考えることが大切なのです。
 
保育士の方に、こだわりを全面的に否定することなく、
その理由を考え、ともかくとことんこだわりを出させる状況を作り、
ゆっくりと子どものペースで関わりながら過ごしていってもらうようにしました。
それが、少人数保育の良さを活かすことにもつながると考えたからです。
こだわりを十分出し、安心して生活できるよう少人数保育をしてきたことで、
次のような変化が起きていきました。
 
①落ち着いた空間で、トラブルも少なく楽しい気持ちを共有できた。
②大きい集団の中では、子どもの声が聞き取りにくく、細かく対応できないこともあるが、少人
数保育だと、子ども同士の声ややり取りも良く届く。
③保育士も子どもの気持ちをじっくりと受け止められる。
④子どもが楽しいと思える遊びを、繰り返し経験することで、こだわりが少なくなり、安心して
過ごせるようになってきた。
 
また、事例や日々の保育をとおして、子どもたちの心が変化していきました。
今までは友達に対して優しい気持ちを持つことが出来なかったり、
どうしても『自分が一番!』という気持ちが優先してしまう子どもの姿が多かったのですが、
こだわりに寄り添っていくことで、子どもたちが“認めてもらえて心地良い”“お友達と一緒で嬉しい”という『快情動』を感じられる機会が増え、認めてもらえない、こうじゃなきゃどうしても嫌だ!という『不快情動』からの立ち直りのコツを徐々に身につけられるようになっていったのです。
 
つまり、
「こだわりを発達を促していくための過程として寄り添うこと」
「少人数で子どもの気持ちや言葉を受け止めていくことが大切であること」
が明らかになっていったのです。
また、“他者にやさしくされ他者の気持ちを理解する”ことで
次への切り替えを自分自身で行うことができるようになっていきました。
不快情動から立ち直りと他者との融和も進んでいったのです。
 
3、認知療法的手法を
認知療法というのは、主に精神的な立ち直りをはかるために使われる方法です。
そうした医学的な方法を保育に取り入れていくことも大切なことなのです。
友達と遊ぶ事が楽しい・満足感を得る(=快情動を感じる)ことで、お友達との関わりの広がりが見えてくるのです。また、どんな言葉にも“hiddenメッセージ〈隠されたメッセージ〉”というものがあります。
そして子どもはそれを保育士〈大人〉から感じ取っているのです。
だからこそ、どのようなアドバイスやメッセージを子どもに送っていくのかが大切なのです。
例えばこだわる子供に対して、次のような形で声がけを変化させていくことが必要なのです。
 
①拒否的なメッセージ
~拒否するようなメッセージ~
『そんなにこだわっちゃだめよ』
~マイナスのイメージ~
こだわるっていけないことなんだ!
でも・・・自分をどう出したらいいの?

②肯定的なメッセージ(それに対して)
~良いことと捉えるメッセージ~
『そうか、そうしたいのね』
そうなの!気持ちを分かってもらえて嬉しい!
 
 子どもたちは受け止めてもらうことで自己肯定感が持てるようになりこだわる気持ちを出し、他者の気持ちも受け止めながら友達との上手な関わりを持てるようになっていくのです。
つまり、こだわりをだめなことと見ると、「自分の考えていることはダメなことなんだ!」という“hiddenメッセージ〈隠されたメッセージ〉”が伝わっていってしまうのです。
 
 こうした取り組みの結果、こだわりが少なくなってきた子どもたちは、
今何がしたいのかを伝えられるようになっていきました。
そして友達との遊びを楽しみ、相手を気づかえるようになっていったのです。
つまり、認知の仕組みを理解し、否定的な考え方を上手に肯定的な考え方に変化させていってあげることが、保育士としての大きな役割だと言えるのです。


 

増田 修治 先生
(ますだ しゅうじ 先生) 
 
白梅学園大学子ども学部子ども学科准教授。
小学校教諭、埼玉大学非常勤講師をご経験。
2001年に「児童詩教育賞」受賞。
こどもたちに「ユーモア詩」を書かせるなど、子育てに関
しての講演、著書出版などでご活躍され、NHK「にんげん
ドキュメント」、テレビ朝日「徹子の部屋」でも紹介されまし
た。
著書には『子どもが育つ言葉かけ』『笑って伸ばす子ども
の力』 『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』『子ども
が育つ言葉かけ』 『笑う子育て実例集』など。




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2012.03.01
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