保育士 / 幼稚園 / ベビーシッターの求人・派遣などの総合保育サービス【明日香】
Tel.03-6912-0015
Tel.045-316-5515
Tel.052-232-7715
Tel.06-6155-7755
「保育」のお役立ちコラム

保育の現場で抱えている問題(12月)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

年々、落ち着きがなかったり、乱暴だったり、いわゆる「気になる子」「育てにくい子」と言われる子どもたちが増えてきているように感じることがあります。そのような子ども達と日々関わり疲労困憊し、保育に自信が持てなくなっている保育者達も少なくありません。一人の保育者では到底抱えきれない多くの問題を、他職種協働で子どもを支援することが子どもの最善の育ちを保障することと分かりながら、目の前にある他機関に手が届かない現実に集団保育の限界を感じます。


そして、ここにあげる事例はあくまでも一部に過ぎず、抱えている問題は山積みです。



「不安や攻撃性を持つ子ども」


 ひときわ体の大きいA君は3歳児クラスからの入園です。入園当初から席に座って待つことが難しく「シ-ル帳を出して」の簡単な指示にも従うことができませんでした。当初は、環境の変化に戸惑っているのかとも思いましたが、月日が経ってもA君の行動には変化が見られませんでした。一番になることにこだわるA君は、思いが通らないと大声を出したり、保育の邪魔をするようになりました。


 4歳児クラスに進級したA君は、「どれの帽子?」と誰をどれと言ったり「どうして○○なの?」と質問が多くなり、何回答えてあげても同じ質問をしていました。また、片足立ちは「5」まで数える前に足をついてしまったり、積み木を高く積み上げることに苦戦したりする姿が見られました。


 現在のA君は、初めての経験やできそうもないと思うことには、失敗を恐れ参加しようとしません。保育者にスキンシップを求めたり、保育者を独占する様子が見られます。些細なことで友達とトラブルになり、それを制止しようとすると、保育者を蹴ったり叩いたりする姿が見られます。絵本、紙芝居、ビデオは集中して観ることができません。絵本や紙芝居を読もうとすると声を出して邪魔をします。跳び箱、縄跳び等のような体を使うことは熱心に取り組みますが、失敗すると不機嫌になり他児に八つ当たりをしたり、気持ちの立て直しには時間がかかります。


 何事においても自分の思いを優先させ気分のままに部屋を出て行ったり、保育者を試すかのような行動を繰り返したりすることで、ストレスを解消しているように感じられます。教育熱心な家庭で育つA君は、現在ピアノ、スイミング、そして進学塾にも通っています。A君にとって親の過剰な期待に添うことが非常なストレスになっているようにも思えます。親の前では「いい子」を演じようとするA君ですが、頬や太ももにアザを作って登園することがあります。最近のA君は、お母さんの前で常に「いい子」ではいられない状況にあることが推察できます。

 今のありのままのA君の様子を、担任が折に触れお母さんに伝えてきましたが、あまり心配した様子も見られず、専門家に様子を見てもらうといったことができないまま保育をせざるを得ません。



「運動や操作の面で困難さを抱える子ども」


 B君は3歳児クラスからの途中入園です。丁度、お遊戯会の練習の時期に重なり、B君は大きく変わった環境の変化に戸惑っていました。お遊戯会の練習では、両足を揃えて2~3歩ピョンピョンと跳びながら前に出て行くのに勢い余り、決められた場所に止まることができませんでした。室内を移動するときは、爪先立ちで歩く姿が見られました。厚着の傾向があり真っ赤な顔をしている時は、一枚脱ぐように促しますが、がんとして応じてくれないところがありました。


 4歳児になったB君は、生活のリズムが整わず登園が10時を過ぎることもたびたびあり、遊びの中で友達と関わる機会がほとんどありませんでした。偏食が多く、特に野菜にはまったく手をつけず、食べる意欲が見られませんでしたが、保育者のすすめに一口だけ食べようとする姿がありました。排泄、排尿、衣服の着脱は自立し、生活の仕方が分かりできることは自分でしようと頑張る姿が見られました。


 現在のB君の登園時間は入園当初と変わらず、連絡帳には就寝時間は午前2時、起床時間は、午前9時と記されています。相変わらず朝の遊びに参加できることはほとんどありません。言語面においては、保育者の質問に答えることは難しいところがありますが、B君から好きな電車に乗った体験をよく話してくれます。


 絵画、折り紙などは、初めから「無理だよ」と言って手をつけようとしません。粘土は丸めたり、伸ばしたりしますが形あるものを造ることはありません。エジソン箸に頼ってしまうB君に箸を手渡すと、両手で一本ずつ箸を持ち、食べ物を掬おうとします。使い方を教え、なんとか一対の箸を握り練習しています。最近は、箸を握った状態で、小さなものも掴もうと努力する姿が見られます。ハサミを使ってものを切る時には「できないよ」と言って大人に手伝いを求めます。


 未経験なことには、両手の平を顔の横でヒラヒラさせ、どうしたらよいのか分からず慌ててしまっている様子が見て取れます。外遊びでは、周囲の友達について行くことが難しくなり、友達の傍を一人走り回っていたり別の遊びをしていることが多いです。跳び箱、ゴム跳び、なんでも果敢に挑戦しますがなぜかうまくできません。B君の状態を正しく理解し、子ども自身が発達する力を後押しできるために、まずは専門機関へ繋ぎたいところですが、今までの面談では良い結果は得られていません。



「アザの絶えない子ども」


 C子ちゃんは3歳児クラスからの入園です。入園して間もなく担任がC子ちゃんの首筋に傷があることに気が付きました。原因を確かめると「パパがやった」とC子ちゃんは答えてくれました。C子ちゃんは、その後も頻繁に目の下にアザがあったり、後頭部が赤く腫れていたりとアザが絶えない日々でした。


 C子ちゃんは、園生活の中では見られませんでしたが、足の親指を噛む癖があり、皮が剝け痛がることがありました。身辺自立においては、排尿の失敗もなくなり紙オムツから布パンツに変えることをお母さんにすすめてみましたところ、帰宅後に失敗することが多いC子ちゃんが「パパに怒られるのがかわいそう」という理由から紙オムツを外すことができませんでした。この頃のC子ちゃんは早口で話し、どこか体が動いていたりと落ち着きがありませんでした。


 現在のC子ちゃんは、2~3日連続で鎖骨のアザと足のアザを自ら「パパがやった」と見せることがありました。未だにアザが多いC子ちゃんですが、C子ちゃん自身も午睡時に布団に入ろうとして壁や本箱に頭をぶつけたりと、不注意なところが見られます。何よりも以前に増しておしゃべりが多くなり、変わらず早口で落ち着きがありません。


 お母さんとは送迎の際に、C子ちゃんの家での様子を何気なく聞いたりしながらコミュニケ-ションをとっています。そして、再婚相手でありますC子ちゃんの義父の行為は、体罰とまでは言わないまでも、行き過ぎたしつけであると伝えています。又、C子ちゃんのアザについて児童相談所には、報告という形で伝えています。落ち着きのないC子ちゃんについ大声で「じっとしておけ」と言ってしまうお父さんに、C子ちゃんがなぜ落ち着けないのか考えてもらえる機会があればと専門機関の相談を勧めてきましたが、「俺がしつける」というお父さんの同意が得られず、お母さんの決心がなかなかつきません。


 A君、B君のお母さんは、就学期を迎えた自分の子どもについて、同年代の子ども達との育ちの違いを少しずつ感じ始めています。そして、ようやくA君もB君も専門機関に繋がることができました。C子ちゃんは、就学までにはまだ一年ありますが、お母さんは5歳の誕生日を迎えても落ち着かないC子ちゃんのことが気になり、お父さんに内緒で専門機関で診てもらうことにしました。

 専門機関に繋がるまでの2年半、集団保育の場において、担任であります保育者達は、子どもの様子に戸惑ったり、悩んだり、時には、暴れる子どもを抱きかかえながら涙し、配慮を要する子どもの増加によって起きるさまざまな問題を何とかしなければと、子ども達や保護者に向き合おうとしてきました。その努力が報われA君、B君、C子ちゃんは、これから専門家による成長に必要な適切なアドバイスを受けることができるようになります。

 その一方で、行事ごとに成長するわが子の姿を目の当たりにすると、できないことがあってもいつかできると可能性を信じたくなるお母さんの思いがあったこと、辛く悲しい決心をしたお母さんがいたことを、保育者は心に留めておかなければなりません。






田倉 輝子 先生
(たくら てるこ 先生)
 
森幼児園 主任保育士

【経歴】
・横浜私立 青葉幼稚園
・池田市立 社会福祉施設 やまばと学園
・横浜市 認可保育所 森幼児園
・公益社団法人 神奈川学習障害教育研究協会 会員

障害児保育に携わること30年。
療育センターでの経験を活かし、森幼児園では統合保育を実践されております。


Check♪ 明日香の研修でさらにスキルアップ&情報収集!!

2013.12.01
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
あなたにピッタリなお仕事が見つかる!