保育のコラム

【保育士体験談12】まずは自分優先で休職や転職をしてほしい

2023/07/19

今の職場を辞めたい、転職したいと考える保育士さんの中には、人手不足や退職のタイミングなどにより、「今辞めたら園や他の保育士に迷惑がかかるのでは……」と二の足を踏んでしまっている方は多くいます。

保育士さんは責任感が強い方が多いため、「年度末まで」「あと1年は続けよう」とズルズルと働き続けてしまい体や心を壊してしまう方が多くいるのが現状です。

今回は、考えすぎてしまってなかなか転職に踏み切れない保育士さんの参考になればという思いで、実際に転職に成功された男性保育士Tさんにインタビューし、体験談を聞かせていただきました。

【保育士体験談】まずは自分優先で休職や転職をしてほしい

Tさんのこれまでの経歴〜転職回数は1回。それぞれの保育園で長期間働く〜

──これまでの経歴を教えてください。

保育士の資格が取れる専門学校を卒業後、1つめの保育園に就職し5年間勤務しました。

その後現在働いている保育園に転職したという流れです。

転職先の保育園で働き始めて3年ほどになります。

保育士になった理由は幼稚園が楽しかった思い出が鮮明に残っていたから

──保育士になったきっかけや理由を教えてください。

幼稚園が楽しかった記憶が鮮明に残っていることが大きな理由です。

それに加えて赤ちゃんや子どもがすごく好きだったので、高校生ぐらいになった頃から自分も先生になってみたいなと思い始め、保育士を目指しました。

──保育士は女性が9割と言われている職場ですが、男性保育士であるTさんは男女比について気になりませんでしたか?

職場環境的に女性が多いことは多少気にしていました。

でも、男性が保育士になることで女性にはできない業務や保育ができるという面ですごくメリットがあるなと思っいて。

自分が保育士になることでメリットがあるんだったらやってみたいなと思いました。

──男性が少ないという点をポジティブに捉えたんですね。

そうですね。ポジティブに捉えていた面が多かったです。

+αの仕事をしていたのに給料に変化がないことが徐々に不満になっていった

──前の保育園から転職したきっかけや理由を教えてください。

男性だからという理由で+αの業務を任されていたことが大きな理由の1つです。

保育園に出入りする業者の対応やメンテナンスのスケジュール管理、保守契約の商談などを全部1人で管理していて。

最初は他の人と違う仕事をしているのがちょっと嬉しかったりもしましたが、給料は全く変わらず、他の保育士と同じ仕事を終えた後に業者に関する仕事もやるという感じだったので、徐々に不満になっていきました。

あとは、女性特有の陰湿な人間関係も転職した理由の1つです。

先輩保育士が若手の保育士をいじめることが結構あって。

子どもの前ではいい顔をするけど、裏では陰湿な人間関係に嫌気がさして転職を決めました。

──人間関係については巻き込まれていたというよりは、はたから見ているのがつらかったということですね。

そうですね。

注意したこともあったんですけど、こちらに飛び火することもあったので、関わらないでおこうと思いました。

でも関わらないなら関わらないでいじめみたいなことが起きていて。

そういう環境から抜け出したいという感じでした。

1人を敵に回すとみんなが敵になってしまうんじゃないかという気持ちもあって、女性社会に溶け込むのがなかなかうまくいかなかった感じがあります。

内定をもらったこともあり、年度途中で退職

──転職はいつごろ決心して園に伝えましたか?

前の保育園では5年働いていましたが、4年目ぐらいから転職を考えるようになりました。

辞める半年ぐらい前から転職活動を始めて内定をいただいた後、大体転職する3ヶ月前ぐらいに辞める旨を伝えたという感じです。

──年度途中で辞められたという感じですか?

内定をいただいていたということもあって、年度が終わるまで引き延ばすと内定を取り消されないか不安だったので、年度途中で辞めました。

スマホから利用できる転職サイトとハローワークを併用して転職先を見つける

──転職の際に利用したサービスはありますか?

ハローワークと転職サイトを利用しました。

──転職サイトを利用した理由を教えてください。

ハローワークに行けないときは隙間時間にスマホで調べることもあったので、スマホから検索できる転職サイトを利用しました。

担当者がつく転職エージェントを使おうかなと思っていましたが、友達に「このエージェントを使おうかな」と相談したときに、友達は希望した条件と全く違う会社を紹介されたと聞いて。

ハローワークや転職サイトでも求人は載っていたので使いませんでした。

昇給の提案はあったが、園長に対して不信感があったため押し切る形で退職

──転職する際に引き留めはありましたか?

+αでやっている業務に対して少し昇給するという提案はありました。

でもすでに内定をもらっているのと、来年昇給したところでその金額がずっと続いていくとは思えなくて。

その場しのぎなんじゃないかなと思えたので、押し切って辞めました。

──昇給した金額がこの先も続くとは思えなかったのはなぜですか?

4、5年働いてると園長先生がどんな人なのかある程度わかってくるんですよね。

本当にこちらのためを思って、不満を汲み取って言ってくれたのか、その場しのぎで昇給するから残ってくれと言っているのか。

それを考えた時に、園長の人柄から考えるとその場しのぎなんじゃないかなと思いました。

保育園の規模と建物の綺麗さを重視して転職先を選んでいった

──転職サイトやハローワークではどのような条件で転職先を探しましたか?

保育園の規模と建物の綺麗さ、求人票に書いてある文言を重視しました。

規模は大きい方がいいと思っていたのでチェックしていました。

園見学の際に重視したこと

──園見学はされましたか?

コンタクトをとる前に4か所ほど、不審者にならない程度に車で通ってみたり、徒歩で見に行ったりしました。

保育士さんたちが外で子どもたちと遊んでいるときに、本当に楽しんでるのか、作り笑顔なのか少しわかるようになってきたので、規模や建物の綺麗さと合わせて保育士さんの表情も見ていました。

──家からどれぐらいの距離で探しましたか?

新しい保育園が決まったら引っ越しをすることも考えていたので、県をまたぐようでなければある程度遠い保育園まで視野に入れていました。

距離よりも失敗したくないという気持ちの方が強かったので慎重に選んでいきました。

面接時は残業や離職率などについて積極的に質問

──面接時に保育園に対して何か質問をされましたか?

保育士さんのスケジュール感や残業について知りたかったので質問しました。

あとこれはちょっと聞きにくかったんですけど、離職率についても聞きましたね。

併せて園の雰囲気とか、男女比率についても質問しました。

──今転職してみて、これは質問しておけばよかったなという項目はありますか?

本心では、年間の昇給などのお金の面や残業は実際にどれぐらいあるのかっていうちょっと込み入った話を知りたかったなと思います。

保育園には主任などの役職があるんですけど、男性でも目指せる園なのか、キャリアプランを描いて働けるのかなど聞けるのであれば聞きたかったですね。

転職先で働き始めてから、自然に笑顔がでるようになった

──事前アンケートで「現在自分らしく働けている」と回答していただきましたが、どのような点で自分らしく働けていると感じますか?

人間関係が全体的に良好なので、前の保育園よりも自然に笑顔がでるようになったなと思います。

自分だけに押しつけられる業務も今のところないので、業務の均等化ができているなと感じます。

ただし、マイナールールは改善してほしい

──現在の保育園で実際に働いてみて、ここを改善してほしいと思っているところはありますか?

どこ園もそうなのかもしれませんが、昇給にもう少し力を入れてほしいと思います。

あとは、この時間より前は早出の残業をつけてはいけないなど、その園だけのルールがあったりするので、そういうマイナールールはなくしてほしいですね。

現在転職などに悩んでいる保育士の方に向けたアドバイス〜まずは自分優先で休職や転職をしてほしい〜

──現在転職に悩んでいる保育士さんにアドバイスするとしたらどんなことを伝えますか?

辞めるときはどうしても子どもたちと会えなくなるとか、周りに迷惑をかけるんじゃないかっていう責任感も芽生えると思います。

でも、自分の体が壊れてしまったら、それこそ子どもたちの笑顔が見れなくなるので、まずは自分優先で休職や転職などをしてほしいなと思います。

──年度途中など関係なく自分の体を優先したほうが良いということですね。

そうですね。

やっぱり自分の体があってこそ働けると思うので。

心が病んでたらどうしても本当の笑顔を作れなくなると思うので、そうやって嘘の笑顔で接しているのは子どもたちにも保護者の方にも失礼ですよね。

心身ともに壊れそうになっているのであれば、休んだり休職したり転職して新しい環境を見つけたりして、フレッシュな気持ちで働いてもらいたいなと思いますね。

  • ポイント1:転職先を選ぶ際は実際に足を運んで自分の目で雰囲気や保育士さんの表情を確認する!
  • ポイント2:心身ともに壊れそうになっているのであれば、休んだり休職したり転職して新しい環境を見つけたりして、フレッシュな気持ちで働く!

ー 取材協力:株式会社トビバコ

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