保育のコラム

入社したばかりの保育士ですが、職場に馴染めず辞めたいです。今辞めたらキャリアに影響はありますか?

2023/03/31

入社したばかりの新任保育士が、なかなか職場に馴染めない、仕事がしんどいなどの悩みを持ち、入ったばかりだけど辞めたいと感じる事はよくあるようです。

しかし、新任で辞めたら今後の保育士キャリアに影響があるかどうか心配になって踏みとどまってしまうケースも多いでしょう。

この記事では、そんな新任保育士が、自分のために1歩を踏み出せるようなヒントをお伝えします。

 

新任保育士が辞めたいと思う主な理由

 

憧れの保育士。保育士養成学校を卒業して資格取得、晴れて念願の保育士になったのに、いざ現場に入ってみると、人間関係に悩んだり、あまりのブラックぶりに驚いたり困惑したり、といった新任保育士は後を絶ちません。

では、新任保育士が辞めたいと思う主な理由を見てみましょう。

 

理由1:覚えることが多すぎる

 

保育士は、一般的なイメージでは、「子どもと遊んでて楽そう。」とも誤解されやすいですが、実は見えないところで業務量が多く、一人にかかる負担が大きい職業です。

 

新任保育士は保育だけでも覚えることが多くてただでさえ大変なのに、事務仕事もかなり多くて覚えることが多すぎると感じるでしょう。

子ども達や保護者の顔と名前をすぐに覚えなければいけないのはもちろんですが、これが担任のクラスだけでなく、他のクラスも早番遅番の関係で覚えなければいけません。

 

保育の1日の流れ、一人一人のケアや他の先生との連携、保育中注意しなければならない事柄や連絡帳の記入・保護者対応・清掃手順などなど日々の保育だけでも覚えることはたくさんありますが、加えて今後の保育準備・会議・保育室の装飾・行事準備等々毎日盛りだくさんです。

また、事務作業も、保育日誌・保護者へのお便り・一人一人の子どもの成長記録となる児童票・保育計画の月案・週案等あります。

これらすべての業務を覚えて行かなければならないので、新任保育士は大変な思いをしています。

 

理由2:先輩保育士からの当たりが強い

 

新任保育士は、先輩保育士や園長から日々指導を受けます。

大切な子どもの命を預かる仕事ですから、責任は重大ですので一人前の保育士になってほしいと思ってしっかり指導しています。

温かい目で見守りながら、適切な指導をしている園もありますが、中には行き過ぎた指導の園も残念ながらあります。

言い方がきつく、当たりが強い先輩保育士もいて、言われた新人保育士はつらいでしょう。

 

さらに、激務で心に余裕のない先輩保育士が、イライラをぶつける、新人いじめをするなどの理不尽なケースもあります。

厳しすぎる指導は、怖くて萎縮してしまい、ますますミスを誘発してしまいます。

当たりが強い先輩保育士がいると、辞めたいと思う新任保育士が後を絶たないという悪循環になり、職員の定着率が低くなります。

 

理由3:職場の人間関係に馴染めない

 

理由2のような先輩がいると、新任保育士は居場所を失い、なかなか人間関係に馴染めなくなります。

 

同期がいれば、お互い励ましあったりリフレッシュしたりすることで、先輩保育士の当たりの強さにくじけずに頑張れるのですが、小規模ですと同期がいないケースもあります。

そういった状況だと、新任保育士は孤独になりやすいです。

 

先輩保育士が温かく迎え入れてくれて働きやすい園もありますが、このようなつらい状況の園ですと辞めたいと感じます。

 

理由4:実際の保育士の仕事と自分の理想の間にギャップがある

 

新任保育士は、誰もが初めに自分の理想を思い描いているかと思います。

やりたい保育や、なりたい保育士像など。

しかし、実際に現場に入ってみると、現実の厳しさを知り、なかなか理想の実現とはいかない場面もあり、多くの保育士はギャップに悩みます。

 

自分の経験や知識不足であれば、何年か後には理想を叶えることはできるでしょう。

しかし、自分では到底変えられない、どうにもならない環境等もあり悩むのです。

 

園の方針と自分の理想があまりにもかけ離れている場合は、転職を検討する方が良いでしょう。

 

理由5:サービス残業や持ち帰り仕事が多すぎる

 

理由1で述べたように、保育士は業務が多すぎて先輩保育士も悩んでいます。

新任保育士は特にまだ慣れていない分効率よくする工夫や使いまわしをする等の工夫スキルもそなわっていないため、時間がかかるでしょう。

 

新任保育士だから業務が少なめということもなく、初めから負担が多いのも事実です。

保育時間に保育以外の業務が出来ないため、サービス残業や持ち帰り仕事となります。

 

園の取り組みや人員配置により、事務時間を設けてサービス残業や持ち帰り仕事を極力なくしている園もありますが、多くの園はサービス残業や持ち帰り仕事が当たり前になっています。

先輩保育士がやっているのに新任保育士が断るなんてことは出来ません。

 

理由6:保護者との信頼関係をうまく築けない

 

保護者の方は、大事な子どもを預けるという気持ちから、出来ればベテランに預けられたら安心と思っている方もいます。

 

新任というだけで、何かと厳しい目で見られがちです。

 

中には、新人や若手の保育士に寛大で温かい目で見てくださる保護者もいますが、「新人」というだけで何かと厳しく言ってくる方もいます。

 

保育士の仕事では、保護者との信頼関係を築くことが非常に重要になってきますが、子ども同士のトラブルの説明や、保護者のクレームに対して、新任保育士は経験値が低いがゆえに、どう対処していいかわからずストレスを感じます。

 

「入社したばかりなのに……」と自分を責める気持ちが辞めたい気持ちに蓋をしていることも

 

「辞めたい」と思っても、「入社したばかりなのに・・・・」と自分を責めてしまい、それが自分の本当の気持ちに蓋をしてしまうこともあります。

どんなケースがあるか見ていきましょう。

 

よくあるケース1:入社して1年も経っていないのに辞めるのは園に迷惑がかかると感じてしまう

 

「入社して1年も経っていないのに辞めるのは園に迷惑がかかる。」と感じてしまうケースがあります。

しかし、新任保育士が定着しないとなればそれは園にも問題がある場合がほとんどです。

園には、入社してまもない新任保育士を温かく迎えて適切な指導をしつつも、サポートしていく必要がありますが、あなたへのサポートが万全でなかったということになります。

 

そして、あなたが退職や休職の意向を相談したら、園はなんらかの対応をしなければなりません。次の採用が決まらず人手不足、等の状況は園側の問題であってあなたに責任はありませんから、1年も経っていないのに辞めたら園に迷惑がかかる、と思う必要はありません。

 

よくあるケース2:入社して1年も経っていないのに辞めるのは今後の転職や保育士キャリアに影響が出ると考えてしまう

 

新人で入社して1年も経っていないのに辞めると今後の転職や保育士キャリアに影響が出ると考えてしまうケースはよくあります。

しかし、『第二新卒』という言葉もあるように、入社して1年たたずに辞めても今後の成長を見込んで採用してくれる保育園や保育施設はたくさんあります。

 

昭和の時代は、いわゆる終身雇用の時代で「いい会社に入って働き続ける。定年まで職務をまっとうする。」事が当たり前であり美徳とされていて、「早い段階で転職する人は飽きっぽい。我がままだ。」と思われることもある時代でした。しかし現代は多様性が認められる時代で、様々な働き方が受け入れられている時代です。

現代では、1年〜3年の新人のうちに退職する人の事を『第二新卒』と言い、一般でももう一度再教育して活躍して欲しいと期待される世代でもあります。

 

保育士業界でも同様に、1年目は期待される世代ですから、入社して1年も経っていないのに辞めた事で今後の転職や保育士キャリアに影響が出る、ということはありませんので安心してください。

 

辞める・辞めないに期間は関係ない!自分を責めるよりも「この職場は合っていなかった」と考えよう

 

辞める、辞めないに勤続期間は関係ありません。

「辞めたい」と悩んだら、自分を責めたり我慢したりしてはいけません。

「赴任してから数ヶ月しか経ってないのに辞めるなんて……」と罪悪感を抱えるのではなく、「自分はこの職場は合っていなかった。」と考えて、次のステップに進むのが良いでしょう。

 

1年未満で辞めたとしても保育士キャリアに影響はない

 

上記で述べたように、『第二新卒』という考え方があり、1年未満で辞めたとしても、保育士キャリアに影響はありません。

 

 保育士1年目は、まだまだ「伸びしろ」を見てもらえる段階なので、大きなつまずきになることはありません。

また、今は保育士不足で、求人もたくさんあります。そのため、1年経たずに転職をしたとしても特に不採用の理由にはならない事がほとんどですので、心配する必要はありません。

 

ただし、「なぜすぐにやめようと思ったのか?」という点について、転職の際の採用面接で必ず聞かれることになります。

保育園側に「また採用してもすぐに転職してしまうのではないか?」という懸念を与えてしまうことは事実です。

ポジティブな内容の回答を準備しておきましょう。

「あれが嫌だったから辞めた」とか、以前の園の悪口になってしまう回答は印象が悪く聞こえますが、「こういうことがやりたかった」「こういう保育士になりたいと思った」「こういう園で働きたいと思った」など、自分が経験したことから、スキルアップを目指すようなプラスの要素を話せるようにすると良いでしょう。

 

新任保育士が辞めたいと思った時の2つの対処法

 

新任保育士が辞めたいと思った時に対処すべき、2つの方法を紹介します。

 

【1】相談できる場合は、上司や園長に相談する

 

相談できるような状況があれば、まずは直属の上司である主任保育士か園長に思い切って相談しましょう。

今つらい状況だという事と、自分の体調や思っている事を正直に伝えます。

精神的にも体力的にも不調を感じているようであれば、病院に受診しておくのも良いかもしれません。

 

【2】相談できない場合は、転職を考える

 

上司や園長に原因がある、日々忙しすぎて話している時間がない、などなかなか相談出来ない場合は、転職を考える事をおすすめします。

相談も出来ない状況から状況が改善するのはなかなか難しい事です。

 

体力的・精神的に限界なのであれば、一旦休職をしてから元気な状態で転職を考えよう

 

体力的・精神的に限界を感じるのであれば、いったん休職をしてまずは休養を取り、元気な状態になってから転職を考える事をおすすめします。

転職活動をするにもパワーが必要です。体力と気力が残っていないのであれば、まずは休養を最優先にしましょう。

特に、心は一度壊れると回復までには時間がかかります。

まずは自分の心と体第一で判断しましょう。

 

新任保育士が辞める時の一般的なフロー

 

新任保育士が辞める時の一般的なフローは、先輩保育士と同様です。

 

退職を決意したら、まずは退職の意思を伝えることから始まります。

 

退職の意思は、法的には退職希望日の14日前までに申告をするよう定められていますが、一般的には1ヶ月程度前に申告するのが良いとされています。

すぐに辞めたいといった場合も相談しましょう。

 

誰にまず伝えるかという順番は非常に大事になってきます。同僚などに先に伝えると思わぬトラブルになることもあります。

まずは直属の上司に退職意思を伝え、その後園長に伝えます。

 

その後、保育園側から退職に関する書類等が発行されますので提出します。

退職日には保険証や貸与品の返却を行い退職となります。

 

一緒に働く同僚などに伝える場合は、保育園側の指示に従うようにしましょう。

職場の環境などに配慮して情報の解禁日を設ける保育園もあります。

また、引き継ぎについても、後任者が困ることのないようにできる限りしっかりと行うことで、あなた自身の今後の成長に繋がります。

 

子どもたちや保護者へ退職を伝えるかどうかも保育園の方針によります。

せっかく関わりのあった方々へ直接自分から伝えたいという思いがあったとしても、今後の影響を考えて退職後にプリントなどで伝えるのみにするなど保育園側にも方針があります。

周囲への混乱を招かないためにも、退職についてどのように伝えるかは園長や上司に聞いてみてから進めるようにしましょう。

 

新任保育士が「辞めたい」と悩んだ時は、期間よりも辞めたい気持ちを尊重しよう!

 

入社して1年未満での休職や転職に罪悪感を覚える必要はありません。

今後の転職や保育士キャリアを心配する必要もありません。

 

新任保育士が「辞めたい」と悩んだ時は、勤務期間よりも、自分の体調や辞めたい気持ちを尊重して決断しましょう。

 

保育士求人_記事下バナー

 

カテゴリ
保育士キャリア
保育士・幼稚園教諭・ベビーシッターの求人専門サービス「ずっと保育士」